キャラクターの表情をつくるとき、笑顔などの「笑い」の表情はかなり基本的な感情表現の方法だと思いますが、意外と笑顔というのはつくるのが難しいものです。場合によっては、普通の笑顔のはずなのになぜか自然に見えなかったり、つくり笑いや愛想笑いのように見えてしまったりすることも多々あります。また、あえてつくり笑いや愛想笑いなどの特別な表情が要求される場合もあると思います。
ここでは、笑顔とつくり笑いのちがいについての基本的なポイントを紹介します。例えば、下図の左側のようなデフォルトの表情から笑顔をつくるとき、多くの人は右側のように口からポーズをつくることが多いと思います。
ただし、実はこれでは正しい笑顔にはなっていません。笑顔をつくるときには実は口の形だけでなく、目や眉毛のポーズも重要になってくるのです。
笑うことで口角が上がり、その影響で下のまぶたが上がるような印象をつくると、自然な笑顔の表情になります。この笑顔のポイントを逆手にとり、あえて口だけを横に広げて歯を見せるようなポーズをつくると、今度はつくり笑いの雰囲気が出てきます。
ここで今回のポーズの話に戻ると、このポーズの場合は"ごまかす"というテーマに沿うという点も含め、気まずいつくり笑いがキャラクターの感情表現にぴったり合う気がします。そこで今回のドローオーバーでは、そのあたりを意識して目の表情も変えてみました。口だけで笑顔をつくっているので、気まずさも表現できていると思います。
今回の添削はこんな感じです。最後に、いつもエイド宿題に参加してくださってありがとうございます! 皆さん本当に素晴らしいポーズをつくってくださるので、僕も勉強させていただいています。ぜひまた今後も参加してくださると嬉しいです!
「エイド宿題」とは?
「エイド宿題」はTwitterで始めたクリエイターの皆さんへ向けた新しい企画です。オンラインスクールAnimationAidのクラス内で出している「ポーズをつくる」という課題を、Twitterでみんなでやってみようというとってもシンプルな企画です。
●参加方法とやり方
・毎週月曜日にTwitter(@ryowaks)でその週のお題を発表するので、そのお題に沿ったポーズをつくってみましょう。
・CGでつくった、もしくは絵で描いたポーズにハッシュタグ(#エイド宿題)をつけてTwitterに上げましょう。
・ぜひハッシュタグで検索して、他の人がつくったポーズも見てみましょう。
・エイド宿題とは?
https://ryowaks.com/what-is-aidshukudai/
・エイド宿題 これまでのお題
https://ryowaks.com/category/aidshukudai/
Profile.
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若杉 遼/Ryo Wakasugi
2012年にサンフランシスコの美術大学Academy of Art Universityを卒業後、Pixar Animation StudiosにてCGアニメーターとしてキャリアを始める。2015年にサンフランシスコからカナダのバンクーバーに移り、現在はSony Pictures Imageworksに所属。CGアニメーターとしての仕事の傍ら、CGアニメーションに特化したオンラインスクール「AnimationAid」を創設、現在も運営のほか講師としてクラスも教えている。これまでに参加した作品は『アングリーバード』(2016)、『コウノトリ大作戦!』(2016)、『スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険』(2017)、『絵文字の国のジーン』(2018)、『スモールフット』(2018)、『スパイダーマン:スパイダーバース』(2019)など
●若杉遼 ブログ わかすぎものがたり
ryowaks.com
●AnimationAid
animation-aid.com