>   >  いまどきCG業界のワーク&ファミリー:第2回:プラネッタのファーザー経営者&マザーアーティスト(前篇)
第2回:プラネッタのファーザー経営者&マザーアーティスト(前篇)

第2回:プラネッタのファーザー経営者&マザーアーティスト(前篇)

トピック2:子供の睡眠時間が短い

南家:中西さんの家庭も「迎え」は妻の担当ですか? 先ほど「夫の帰宅までが長い」と語っていましたが......。

中西:はい。「迎え」は私の担当で、朝は夫に全部任せています。当社の定時は10時〜19時(休憩1時間)ですが、私は出社時間を8時に前倒ししており、保育園の登園時間より前に家を出る必要があるんです。仕事は17時きっちりに終わらせ、お迎えに行ってから帰宅し、子供と遊んだり、ご飯を食べさせたりします。

南家:勤務時間を8時〜17時に前倒しすることで、フルタイムを実現しているわけですね。パートナーの帰宅は何時ですか?

中西:早いときは20時くらいですが、遅いと23時になることもあります。夫が帰宅したら、子供をお風呂に入れてもらい、その間に食器洗いなどの残りの家事をする、というのが普段のながれです。夫の帰宅が遅いと、お風呂以降の全ての予定が後ろ倒しになるので、まだ2歳児なのに0時頃まで起きていることに慣れてしまいました。お昼寝をしているから大丈夫かなと思いつつ、ちょっと不安に感じています。

南家:専門家によると、2歳児なら睡眠時間は11~14時間必要なんだそうです。本来の概日リズム(circadian rhythm)に合わせて、就寝時間を正常化してほしいなと強く思います。私の双子の息子は先天的に自律神経が弱く、症状によっては登校できないこともあるんです。ただ、自律神経を正常な状態に戻す手段は、薬を除くと生活習慣の改善だけなんです。医師から「就寝時間が遅いと、自律神経が乱れて症状の悪化につながります」と忠告されたこともあり、すごく気にするようになりました。パートナーの帰宅時間は非常に重要な課題ですね。

中西:はい。私1人で子供をお風呂に入れて、家事もやって、寝かしつけまでするのは難しいので、なるべく早く帰ってきてほしいなと思います。子供がいると、すぐ寄ってきて周りをウロウロするので、家事をやろうにも危なくてしょうがないんです。夫が帰宅したら子供の相手を任せられるので、その間に大急ぎで家事をやるようにしています。それに、うちの子供は家族3人が川の字に並んで寝ないと落ち着かないんです。小さい頃からそうしてきたので、それが当たり前になっていて「並んでないと嫌だ!」と言って寝てくれません。

南家:パートナーも横で寝ないと、起きちゃうわけですね。子供の毎日って、いわゆる「ルーティンワーク」が基本ですから、それが習慣になっているとしたら、当面は1人で寝てくれないでしょうね......。小さい頃に身に付けた生活習慣が、小学校に入学しても続いていくから、早い段階で生活リズムを整えることが大切なんだなと、自分の息子を見ながら実感しています。パートナーの職業は何ですか?

中西:ゲーム会社のプログラマーで、サブリーダーを務めています。だからα版の完成前などは仕事が詰まりやすく、帰宅時間の遅い日が続きがちです。

南家:ゲーム業界やCG業界は、夫の帰宅時間が遅くなりがちですよね。その結果、妻が1人で家事育児をすることになり、子供の睡眠時間にも影響してくるというのは私も思い当たるふしがあるので、すごく興味深いです。家事育児を2人でできると、手数が「倍」になるから、早さが全然ちがいますよね。

箱崎:.........うぅっ (ーー;)。


南家:一般論として言ったつもりなんですが、箱崎さん個人へのプレッシャーがますます大きくなっちゃいましたね(苦笑)。すいません!

中西:(笑)。4月には2人目の子供が生まれるので、どうなるんだろうと今から不安です。

箱崎:1人目が、良いお兄ちゃんになってくれるといいですね。

中西:そうですね。ゴミ捨てだったり、簡単な用事だったり、今も教えたことは自分でやってくれるので、今後の成長が楽しみです!

トピック3:仕事の時間が限られている

南家:中西さんの「マインドマップ」で、「しごと」の先に「時間がかぎられてる」と書いてあるのが気になります。私も常に同じことを感じているので。

中西:1人月分の勤務時間があるものの、今はアートディレクターとしての管理と、アーティストとしての制作の両方をやっているので、仕事が溢れがちです。とはいえ残業はできないから、溢れた分を自分が手を動かすことでカバーするのは難しいです。管理のスキルを上げてカバーできるようになりたくて「マインドマップ」には「出世したい」というトピックも書き出しました。

南家:具体的には、どんな仕事を担当していますか?

中西:キャラクターのモデリングからウェイト付けまでをセットで担当しています。アニメーションもやりたいという気持ちはあるのですが、時間は有限なので、アートディレクターとして、モデリングからアニメーションまでの全工程を統括できるようになりたいと思っています。

南家:職人のように制作に注力する働き方ではなく、アートディレクターとして指示を出す働き方にシフトすることで、担当工程を広げたいというわけですね。

中西:そうです。制作に注力するだけだと、時間が足りなくてモヤモヤするので、アートディレクターになることで「自分の手」を増やそうと考えています。

南家:その考え方は、よくわかります。

トピック4:自分の適性、自分の年齢、子供の成長

南家:Tさんの「マインドマップ」では、「しごと」の先に「スキル」「集中力」「あたま」と続いていますね。

T:ちょっと老化が始まっていて(笑)、管理の仕事は向いてない、集中力が続かない、頭が動かない、目も悪くなってきた......みたいな感じで、自分の適性やら年齢やら課題は多いですね。どうにかしたいです。管理の仕事の大切さは理解できますし、実際にやらせてもらったこともあるんですが、私には制作の方が向いているなと思ったので、今は制作だけをやらせてもらっています。

南家:現在の勤務時間はどうなっていますか?

T:出社は9時頃、退社は16時頃です。私の息子は発育が遅れ気味で、体が小さいんです。小児科の先生からは「睡眠を10時間はとるようにしてください」と指導されています。登校時間から逆算すると20時には寝かせないといけないので、16時には退社して、学童保育までお迎えに行くようにしています。息子は小学校の1年生ですが、この季節だと17時でも真っ暗ですから、お迎えが必要ですね。

南家:お子さんの特性に合わせて、退社時間を16時にしているわけですね。パートナーの帰宅時間は遅いですか?

T:遅くなりがちですね。夫はイベント運営会社に勤めており、帰宅が0時を過ぎたり、土曜や日曜も仕事があったりという状況なので、息子と接する時間が朝しかないんです。だから息子の登校時には途中まで夫が付き添っています。

南家:パートナーの仕事がそういう状況だと、ワンオペ育児になることが多そうですね。

T:そうですね。今はそれほど大変ではないですが、息子なりに社会と1対1で接するようになってきたので、小さいときとはちがう「事件待ち」のような状態になっています。息子が外で何かを起こしたら自分が出向くという感じで、昔とは悩みの内容がちがってきました。

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トピック5:経営者から見た、仕事と育児の両立

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