記事の目次

    本稿の執筆時は何かと暗いニュースが多かったので、少しでも明るい気持ちになってもらえるように......、と気持ちが華やぐモチーフを選びました。また、この記事が店頭に並ぶ頃は、ちょうどお花見の季節ですよね。エンターテインメントの仕事は、幸せを与えることができる素晴らしい仕事だと思っています。

    ※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 261(2020年05月号)からの転載となります。


    TEXT_早野海兵 / Kaihei Hayano(画龍)
    EDIT_三村ゆにこ / Uniko Mimura(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada

    Method 1:リアルタイムレンダリング

    リアルタイムレンダリングはゲーム制作の独壇場ではありますが、ポツポツと映像業界にも新しい芽が出始めています。近い将来、「昔はレンダリングに何時間もかかってね」なんて、お茶を飲みながら話すことでしょう(笑)。新しい技術に対しては、躊躇せず親しみをもって受け入れていく。映像業界で生きていく上で、そういった柔軟な姿勢は必要ですね。さて、「和クリエイティブ」シリーズ第4弾となる今回は、季節に合わせたモチーフを選びました。日本は四季が豊かで、毎月何かしら季節のイベントや行事があります。4月といえば、日本の春を代表する植物「桜」ですよね。日本人にとって非常になじみ深いモチーフで、筆者も過去に何度も仕事で制作しています。今回は、そんな桜に人工的なモチーフと融合させてみることにしました。日本の伝統的な道具である「かんざし」にレトロなからくりを組み合わせて、自然と文化と未来の共生を表現しています。


    Method 2:感覚のモデリング


    ▲今回はモチーフのポージング(シルエット)にこだわりました。シンプルなモチーフは、何よりもシルエットが重要です。


    ▲フリーハンドスプラインを使って、ラフスケッチのように納得するまで何度もくり返しラインを描きます。


    ▲スケッチが上手くいっても少し何かを付け足すとながれが止まってしまい、シルエットがまとまるまで何十回と描きました。そういえば、書道家は1枚の書を仕上げるのに何百枚も同じ字を書き込んで練習をするそうですね。


    ▲納得のいくラインが描けたら、そのラインにラフモデルを配置します。配置のバランスを見ながら決めていきましょう。

    Method 3:ゼネラリストの強みを活かしたシーン作成

    1:花を考える


    ▲ガラス細工のかんざしをつくろうと思います。まずはベースからつくっていきましょう。ここはあれこれと考えるより、まずは本物に忠実に。


    ▲デザインに雰囲気をもたせるため、表面にラインの模様を付け足します。


    ▲ラインの模様や細かい花弁は裏側にも付け足します。


    ▲本物のかんざしは針金のようなもので組み合わせていくのですが、今回はカラクリのような機械パーツで組み合わせてみました。


    ▲ちなみに、パスの変形をするとモデルが壊れるというエラーが突如発生。スムーズをかけると解消するのですが、不安なので一体化モデルはあきらめました(苦笑)。

    2:模様にひと味


    ▲ガイドのローモデルに合わせてハイモデルを配置していきます。3ds Maxはこういった作業が得意ですね。


    ▲細かい重なりなどは手作業で微調整した方が早かったりします(笑)。


    ▲全体を配置してライティングします。

    3:コンポジット


    ▲レンダリングしたままの画像をAfter Effectsにもってきます。色味はAfter Effectsで付ける予定でしたが、繊細な画なので被写界深度はレンダリング上で行いました。


    ▲素材を重ねて、全体的に明るく光の方向を強調しています。

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    Road to Generalist ゼネラリストになりたい! 12

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    Road to Generalist ゼネラリストになりたい! 12

    3DCGの情報と楽しさを正しく伝えたい!

    ゼネラリストの基本は「広く浅く」です。ゼネラリスト向けのピンポイントなチュートリアルとはいえ、まずは3ds Maxの基礎的な使い方について、重要なポイントに絞って覚えましょう。今回のテーマは「並べる」です。形をつくるまではモデラーのお仕事ですが、配置したりレイアウトしたりといった作業はゼネラリストのお仕事です。様々な「並べる」機能を駆使して構成していきましょう。

    Theme 鳥居2

    組木のパーツを並べる

    ▲まずは基本的な円形に配置してみましょう。ガイドにスプラインのリングを置いておき、モデルをXフォームモディファイヤで中心をずらします。これは3DCGならではの発想ですね。

    ▲組木が綺麗に重なる数を探しながら、クローンモディファイヤで数を調整していきます。このクローンモディファイヤは標準に搭載してほしいくらい、筆者が頻繁に使用する便利機能です。

    ▲次に、そのリングをクローンモディファイヤで縦方向にコピーして柱を作成します。同じモディファイヤを別要素で何度も重ねる、というのも柔軟な使い方ですよ。

    パーツを組み込む

    前に作成した「鳥居」のガイドとなる柱に合わせてFFDで変形します。これくらいの変形であればFFDが楽ですね。

    ▲組木から応用して作成したパーツを選択配置して、鳥居のパーツにもっていきます。並べる(配置する)機能ってたくさんあるんですよね。

    ▲配置したパーツをベースに、クローンモディファイヤでコピーします。

    ▲さらに上下にコピーして、まんべんなく埋めていきます。

    ▲全部並べたところで、下のパーツや上のパーツを別のパーツに取り換えてバリエーションを増やしていきましょう。置き換えモディファイヤが簡単なのでおすすめです。

    ▲一番上のパーツを「スプラインに配置」で並べていきます。オブジェクトからスプラインを抽出してそれをベースにします。

    ベース完成

    ▲こうしてベースを作成すると、オブジェクトの形に簡単に配置していけますね。

    ▲全部作成したものは片側しかないので、ミラーコピーして配置を完成させましょう。

    ▲実は、ベースのスプラインさえあればRailCloneのようなプラグインを使って数クリックで全て並べることもできるんです。これも知識の多いゼラリスト的な考え方ですね。

    NOTE

    ゼネラリスト的な考え方とは、「同じことをする場合も様々なアプローチで考える」ことにあります。より早く効率的で修正しやすい、様々なアプローチを知っておくことがとても大切です。「こんな機能が?」という機能が意外にも重宝したりするので、制作する前に考える習慣をつけておきましょう。



    [Information]

    [プロフィール]
    早野海兵
    日本大学芸術学部卒業後、(株)ソニー・ミュージックエンタテインメント、(株)リンクス、(株)ソニー・コンピューターエンタテインメントを経て、フリーランスで活動。2007年(株)画龍を設立。
    www.ga-ryu.co.jp
    www.kaihei.net
    Twitter:@Kai_ryu_Kai