記事の目次

    今回は、久しぶりにZBrushのみでリアルな象の造形を行なっていきます。


    TEXT_森田悠揮 / Yuuki Morita(OnenessArt
    EDIT_三村ゆにこ / Uniko Mimura(@UNIKO_LITTLE



    様々なアプローチを模索する楽しみ

    最近の当連載では、Houdiniを使った作例もしくはZBrushを補助的に使い、HoudiniとZBrushの連携による作例が多かったのですが、たまにはZBrushのみで動物をつくってみたくなることがあります。自分のデッサン力を定期的に測りたくなるようなものです。

    筆者の場合、クライアントワークではZBrush、個人制作などではHoudiniを使うことが多いのですが、HoudiniとZBrushは脳の使い方がまるで異なるので、交互に使うとどちらにも飽きることがなく、常にワクワクしながら制作を続けることができています。この連載も、紙面での掲載を含めるともう6年ほどになるのですが、ZBrush、Houdini、MARI、Substance Painter など、作例ごとに様々なソフトウェアを使い分けることで制作を楽しむことができています。

    今後もZBrushとHoudiniに留まらず、ソフトを複合的に使って「様々なアプローチを模索する楽しみ」を大切にしていきたいと考えています。


    STEP 01:ベーススカルプト

    この工程では、ZSphereをポリゴンに変換してベースの形状をスカルプトしていきます。



    【1】ZSphereでシルエットをとっていく
    まずはZSphereを用いて胴体部分からシルエットをとっていきます。



    【2】Sphereを追加する
    各関節や象のシルエットを意識しながらSphereを追加していきます。



    【3】ポリゴンに変換する
    ZSphereの配置が終わったらポリゴンに変換していきます。Adaptive Skinメニューの[Preview]を押して、ポリゴン変換後の結果を確認してみましょう。DynaMesh Resolutionスライダは[0]にしておくことで、ローポリでのAdaptive Skinが可能になります。



    【4】Moveブラシを用いて形を整える
    [Make Adaptive Skin]を押してポリゴンに変換した後、Moveブラシを用いてローポリのまま形を整えていきます。



    【5】DynaMeshに変換する
    ある程度シルエットやボリュームがとれたら、DynaMeshに変換して筋肉をスカルプトしていきます。



    【6】ZRemesherでリトポロジー
    MoveブラシやClayBuildupブラシでベースのボリュームとシルエットを整えたら、ZRemesherでリトポロジーします。



    STEP 02:UV展開とディテーリング準備

    この工程では、リトポロジーからUV展開、そしてディテールを付けていく準備をします。



    【1】リトポロジー後のメッシュを確認
    リトポロジー後はこのようなメッシュになります。



    【2】Group Visibleを多用してポリグループを分ける
    UV展開のためにGroup Visibleを多用してポリグループを分けていきます。ここで分けたグループが、それぞれ別のUVアイランドとして展開されます。




    【3】UV展開してMorph UVで確認する
    UV MasterでUV展開をした後、UVメニューの[Morph UV]で確認します。



    【4】筋肉構造や骨格などを作成する
    Divideを数回した後、Standardブラシなどでさらに筋肉構造や骨格、二次的な形状を作成していきます。



    【5】シルエットの微調整
    頭の大きさや大まかなシルエットの微調整をする際は、必ずSDivLevelを最小にしてMoveブラシなどを大きなサイズで使用し、丁寧にシルエットを仕上げていきます。



    【6】ディテールを作成する準備
    ディテールを作成する準備として、いくつか用意しておいたアルファ画像を複数枚Alphasタブへ事前に読み込んでおきましょう。



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    STEP 03:ディテーリングと仕上げ

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    STEP 03:ディテーリングと仕上げ

    Alphaを用いた古典的なディテーリングとブラシスカルプトの仕上げをします。



    【1】シワや溝が均一にならないようにする
    四肢、胴体、顔と部分ごとに使用するアルファを変えながら、シワの大きさや溝が均一にならないようにアルファを適用させていきます。



    【2】シワの方向に気を配る
    ストロークタイプは主にDragRectを使用しつつ、ペタペタとシワの方向に気を配りながらアルファを適用していきます。



    【3】皮膚のボリューム感やシワの深さを意識する
    リアリティのある動物をつくる際には、シワの方向と皮膚のボリューム感、シワの深さを常に意識しつつ、アルファを奥だけではなく適用後にしっかりとブラシでスカルプトしていくことが重要です。



    【4】頭部(顔)のシワを丁寧にスカルプトしていく
    頭部(顔)は繊細なシワが多いので、アルファを薄く配置した後、丁寧にボリュームをとりながらブラシを使ってスカルプトしていきます。



    【5】お尻周辺の肉感を描く
    お尻周辺もボッテリとした肉感が感じられるよう、しっかりと厚みのある肉やシワをブラシで描いていきます。



    【6】ポージングする
    ポージングはマスクとギズモを用いて手足の関節ごとにしっかりと変化をもたせていきます。



    【完成】



    Profile.

    • 森田悠揮 / Yuuki Morita
      フリーランスキャラクターデザイナー/デジタルアーティスト/造形作家

      国内外問わずアート、映画、ゲーム、広告、デジタル原型など様々なジャンルで活動しているフリーランスのアーティスト。ZBrushでの生物や怪獣などのクリーチャーデザインを得意とする傍ら、Houdiniを用いた動画、アート制作なども行う。
      初の著書 『the Art of Mystical Beasts』ボーンデジタルから発売中。

      website: itisoneness.com
      Instagram: yuukimorita
      Twitter: @YuukiM0rita