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TIPS 06:【Photoshop】ツールの認証を自動化しよう

TIPS 06:【Photoshop】ツールの認証を自動化しよう

クリーク・アンド・リバー社の社内CGスタジオであり、ゲームの3DCGグラフィックス制作を中心に手がけているCOYOTE 3DCG STUDIO。本連載では、同社のTAチームによる制作に役立つ技術TIPSを紹介していく。

TEXT_中林伸和 / Nobukazu Nakabayashi(COYOTE 3DCG STUDIO)
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)

はじめに

戦国三英傑の徳川家康の好きなところは戦の終わった後の世界を維持する方法を考えたところです。現在の維持だけでなく、未来を見据えて行動をできる姿はTAとして見習いたいです。こんにちは、COYOTE 3DCG STUDIO テクニカルアーティスト(以下、TA)戦国大好き人間の中林です。

当社ブログにも掲載したPhotoshop内製ツール紹介『CRPS_指定ファイル保存』の制作を例として、Photoshopのツール制作に関するTipsを3回に分けてお届けしています。今回はその最終回、第3回です。

1:オープンソースエディタBracketsを使ってHTMLでUI作成(第4回
2:スクリプトで処理の内容を作ろう(第5回
3:ツールの認証を自動化しよう(今回)

制作事例として紹介するツール「CRPS_指定ファイル保存」は、「複製→レイヤーを統合→画像解像度の変更→フォルダ選択→保存→複製削除」を1クリックで行うというシンプルなものです 。

  • ◀「CRPS_指定ファイル保存」UI

前回までで外側のUI、中身の処理とツールとしての体裁は整いましたので、今回はツールを社外でも使ってもらうための配布方法について説明していきたいと思います。

Step 01:自作エクステンションを配布するには

前回の記事では、自作したエクステンションをデバッグモードで起ち上げていました。環境変数を変えてデバッグモードでリリースするのは、個人のPCや社内などの限定された環境下なら使用範囲を把握できるのでぎりぎりセーフだと思います。

しかし、エクステンションによっては協力会社のPCで使いたいという要望もあります。さすがに社外のPCを勝手にデバッグモードに変更するのはアウトです。そもそもツールのリリース方法として、微妙な気がします......。

そこで、デバッグモードに変更せずにリリースする方法、エクステンションのフォルダを認証付きの「.zxp形式」の圧縮ファイル(以下、zxpファイル)にして配布できる方法を紹介します。

ZXPはzipベースのパッケージ形式です。拡張機能の公開元を示すデジタル署名を付加することができます。

●ADOBE EXTENSION MANAGER ヘルプとチュートリアル(PDF)
helpx.adobe.com/jp/pdf/extension_manager_reference.pdf


1-1:証明書発行と圧縮のツールをダウンロードしよう

zxpファイルの作成には「証明書」が必要になります。証明書はAdobe公式の「CC Extensions Signing Toolkit」というツールで発行できます。以下のGitHubから最新版をダウンロードすることをオススメします。

●Adobe-CEP/CEP-Resources
github.com/Adobe-CEP/CEP-Resources/tree/master/ZXPSignCMD

ダウンロードをして解凍したフォルダで、

Windowsなら「ZXPSignCMD\4.1.103\win64」
Macなら「ZXPSignCMD\4.1.2\win64」

の中の「ZXPSignCmd.exe」がツールの本体です(※2021年4月情報)。


1-2:コマンドプロンプトで証明書発行をしよう(Windows)

Macユーザーの人ごめんなさい。筆者の環境の関係でMacの方法は検証できませんでした。ここからWindowsのみの説明になります。

Windowsでは任意のフォルダに「ZXPSignCmd.exe」を入れてコマンドプロンプトから実行します。ここでは説明用にDドライブ直下に「CoyotePhotoshop」フォルダを作っています。

●console

【ZXPSignCmd.exeのパス】 -selfSignedCert 国名 地域 組織 名前 パスワード 出力ファイルパス.p12

以下はコマンドのサンプル例です。組織と名前、パスワードは適当で構いません。

●console

D:\CoyotePhotoshop\ZXPSignCmd -selfSignedCert JP Tokyo Coyote TATeam pass D:\CoyotePhotoshop\COPSExtension.p12

成功すると上の画像のように「Self-signed certificate generated successfully」と表示され、末尾で指定したファイル名.p12の証明書データができます。

また、ツールを外部にもち出す場合には日数の制限を設けたいこともあるかもしれません。その場合は末尾に「-validityDays 日数(int)」を付けます。コマンドのサンプル例です。この場合は30日間のお試しをイメージしてます。

●console

D:\CoyotePhotoshop\ZXPSignCmd -selfSignedCert JP Tokyo Coyote TATeam pass D:
\CoyotePhotoshop\COPSExtension.p12 -validityDays 30

このコマンドの弱点は、30日間などの日数指定は楽ですが、2021年8月8日まで、といった日付指定には向かないところです。


1-3:ツールをコマンドプロンプトで「.zxp形式」に圧縮しよう

圧縮もコマンドプロンプトで行います。今回は説明しやすくするためにエクステンションのフォルダも同じフォルダにもってきていますが、フォルダパスさえ指定すれば別フォルダでも生成可能です。

●console

【ZXPSignCmd.exeのパス】 -sign 【Extensionのフォルダパス】【圧縮zxpの出力パス】
【証明書のパス】 【証明書のパスワード】

この時点ですでにわかりづらいですね。サンプルのコマンドを以下に載せておきますが、パスだらけでわかりづらいです(書いてる筆者でも毎回コマンドを確認するのが辛く感じます)。

●console

D:\CoyotePhotoshop\ZXPSignCmd -sign D:\CoyotePhotoshop\COYOTE_changePsd2Image' D:
\CoyotePhotoshop\COYOTE_changePsd2Image'.zxp D:\CoyotePhotoshop\COPSExtension.p12 pass

成功すると上の画像のように「Signed successfully」と表示されてzxpファイルが生成されます。


1-4:ExMan Command Line Toolでインストールしよう

zxpファイルをPhotoshop及びAdobe製品にインストールするには「ExMan Command Line Tool」が必要です。以下のページからダウンロードしてください。

●ExMan Command Line Tool
partners.adobe.com/exchangeprogram/creativecloud/support/exman-com-line-tool.html

Windows用のファイルを解凍すると「ExManCmd_win」フォルダの中に「ExManCmd.exe」ファイルがあります。こちらもコマンドプロンプトで実行します。

●console

【ExManCmd.exeへのパス】 /install 【zxpパス】

今回もDドライブ直下の「CoyotePhotoshop」フォルダに必要なデータを入れてコマンド例を 書きます。シンプルに「ExManCmd_win」フォルダとzxpファイルのみにしています。

●console

D:\CoyotePhotoshop\ExManCmd_win\ExManCmd.exe /install D:\CoyotePhotoshop
\COYOTE_changePsd2Image'.zxp

これで、デバッグモードを使わなくてもPhotoshopにエクステンションをインストールして使うことができます。こちらはCEPフォルダは存在していませんがツールが入っています。

以上が自作したエクステンションを配布する手順です。

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