「FUMA」とは「Flying Unidentified Mysterious Animal」の略です。今回はシンプルにZBrushでオリジナルの生物の造形をしていきます。

記事の目次

    Flying Unidentified Mysterious Animal

    「FUMA」は自分好みの突拍子もない、無機的な形状に生命が宿っているような、そんな生き物です。全体のシルエットは超シンプルかつ無機的で、首や膜にのみ生物感が感じられるようディテールを施して非現実的な雰囲気を出したつもりです。

    今月は全体の形状をZBrushで作成するところまでの解説を行い、Substance Painterでのディテールや質感は次回以降で解説します。

    【1】ベースとなる形状を作成する

    [LightBox→DynaMeshProject] をダブルクリックし、SphereからDynaMeshを使用しつつ造形していきます。まずは体のベースとなる形状をSnakeHookブラシなどで作成。

    【2】ポリゴンの制限を受けない造形を

    Sculptris ProとDynaMeshを組み合わせることで、ポリゴンの制限を受けない自由な造形が可能です。

    【3】頭部を造形する

    頭のシルエットもこの段階で何となく決めつつ造形を進めます。

    【4】ブラシを使い分けて造形する

    ClayブラシやDamStandardブラシで腹部の硬皮の質感を造形します。最終的に出したい質感によってブラシを使い分けることが大切です。

    【5】顔を体の造形を丁寧に

    引き続き顔と体を丁寧に造形していきます。シルエットが超シンプルなので、ところどころのディテールなどで生物っぽい感じを出していく必要があります。

    【6】背中のトゲを作成する

    背中のトゲをVDMで作成するにあたり、まずは新規ツールでPlaneを作成し数回Divideします。

    【7】角を作成してアセットに登録する

    SnakeHookブラシとMaskを併用し、画像のような角の形を作成。Chisel 3Dブラシを選択後、ブラシメニュー内の [FromMesh] を押して角をアセットに登録します。

    【8】DynaMeshの解像度を上げる

    再び体のツールに戻りDynaMeshの解像度を数段階上げます。ここで充分な解像度がないと、VDMがしっかり適応できないためです。背中をドラッグしていき、任意の間隔で角をVDMから生成します。

    【9】首下の鱗を作成する

    首下面の鱗も同様の手順でPlaneから鱗をVDMに登録し、配置していきました。

    【10】ZRemesherでリトポロジー

    リトポロジーとUV展開を行います。まずはZRemesherでリトポロジー。

    【11】UV Master用にPolygroupを分ける

    UV Master用にPolygroupを分けます。分けたところは別々のUVの島になります。

    【12】ディテールを彫る

    Divideし、ClayブラシやDamStandardブラシでディテールを彫っていきます。一番細かい皮膚のディテールはSubstance Painterで作成するので、顔の細部や腹部の溝などのミドルレベルのディテールのみZBrushで彫っていきます。

    【13】UV MasterでUV展開

    SubDivisionLevelを [1] に設定して、UV MasterでUV展開をします。

    【14】翼を造形する

    続いて翼を造形します。非現実的な形状が気に入っています。こちらもAutoGroupsでバラバラのPolygroupを適用します。

    【15】Polypaintでベースの色を付ける

    最終的にはSubstance Painterで質感を付けますが、ベースとしてできる限りPolypaintで色を付けます。[PolyPaint→AdjustColor] 等も活用すると効率的です。

    【16】

    この段階でなるべく細かい色が表現できていると、Substance Painterでは主にNormalMapやRoughnessを作成するだけで済みます。これは私の所感ですが、ZBrushでのカラーリングは非常にやりやすいので、いつもZBrushである程度までカラーを仕上げてから別のテクスチャ作成ソフトにベースとして読み込み後、加筆していくという手法で制作しています。

    【17】Polypaintとディテールを出力する

    Polypaintと彫り込んだディテールをMulti Map Exporterでカラーマップ、NormalMap、Displacementとして出力します。

    【18】ポージング

    レンダリング用にポージングを済ませておきます。次回(もしくはそれ以降)にまたSubstancePainterでのテクスチャリングとRedshiftでのレンダリングの解説をします。

    【完成】

    森田悠揮 / Yuuki Morita

    フリーランスキャラクターデザイナー/デジタルアーティスト/造形作家
    国内外問わずアート、映画、ゲーム、広告、デジタル原型など様々なジャンルで活動しているフリーランスのアーティスト。ZBrushでの生物や怪獣などのクリーチャーデザインを得意とする傍ら、Houdiniを用いた動画、アート制作なども行う。初の著書 『the Art of Mystical Beasts』ボーンデジタルから発売中。
    website: itisoneness.com
    Instagram: yuukimorita
    Twitter: @YuukiM0rita

    TEXT_森田悠揮 / Yuuki Morita
    EDIT_三村ゆにこ / Uniko Mimura