ZBrushマスターとして独特の存在感を放つVillard・岡田恵太が、ZBrushを用いた勢いのある造形テクニックを毎月紹介していく本連載。今回は「プテラノドン」を制作していく。
ディテールを追求しつつ、スピーディに進めていく
今回はプテラノドンを制作していきます。実際の資料などを参考にしながらも、自分なりのテイストで作品づくりを進めました。コンセプトモデルとして制作のスピードも意識しながら、2日ほどの作業となりました。コンセプトモデルではイメージの修正や共有に時間を使うことがあるので、モデルはスピーディに仕上げたいところでもあります。もちろん案件にもよるのでケースバイケースではありますが。
主要な制作アプリケーション
・ZBrush 2022
・KeyShot 8
・Photoshop 2023
・Maya 2023
・Substance 3D Painter
・Mudbox 2023
STEP 01:全体のラフモデルの作成
まず大きなシルエットを意識しながら全体のラフ造形を進めていきます。大雑把にイメージを形にしていって問題ありませんが、骨格などのアナトミーは必ず意識しつつ進めます。
STEP 02:ディテールを追加
大まかなボリュームやアタリができてきたので、より細かなニュアンスやディテールを足していきます。今回はアルファを多く使用しながらスピーディに進めます。また、ZBrushでのポリペイントをベースのテクスチャとしてSubstance 3D Painterで使用したいので、カラーを交えながら造形を進めていきます。
STEP 03:レンダリングの準備
まず、KeyShotで造形の雰囲気を確認します。問題ないようでしたらその後MayaでUV展開し、Mudboxに読み込みディテールの繋ぎ目を修正します。Mudboxからベクターディスプレイスメントマップ、ノーマルマップ、AOマップを出力してSubstance 3D Painterでテクスチャを仕上げていきます。
完成
最後に、それぞれの各種マップをMayaに読み込みArnoldでレンダリングして完成です。ライティングを変えながら複数のイメージを作成しました。
今回はいつものコンセプトモデルよりディテールなどを多めに意識しての制作となりました。アルファやディテールを入れる箇所などを精査しながら進めることで、より短時間でモデルを作成できるようになります。
岡田恵太/Keita Okada(Villard Inc.)
デジタルスカルプター、3Dコンセプトアーティスト。1991年7月生まれ、広島県出身。2012年大阪の専門学校を卒業後、大阪のゲーム会社に就職。2013年に退職し上京した後、1年ほど建設現場の作業員(荷揚げ屋)などをしながらZBrushを独学で習得し東京のゲーム会社へ就職。2015年からフリーランスとなり、PS4用ゲームのDLC『Bloodborne The Old Hunters』をはじめ主にクリーチャーなどのコンセプトモデルを手がける。2017年3月、新会社「Villard」を設立
www.artstation.com/artist/yuzuki
www.villard.co.jp
TEXT_岡田恵太 / Keita Okada(Villard)
EDIT_山田桃子 / Momoko Yamada