今回は、「水中から飛び出してくるサメ」の造形とテクスチャ制作にフォーカスして解説していきます。

記事の目次

    造形&テクスチャはZBrushとSubstance 3D Painterで

    造形とテクスチャ制作ではZBrushとSubstance 3D Painterを使用しています。次回はHoudiniを使用した流体のシミュレーションの解説をする予定です。

    <1>ZBrushで造形スタート

    ZBrushで造形を始めます。DynaMeshを使用し、解像度は低め(100以下)に設定しながらまずはベース形状をざっくりと作っていきます。

    <2>サメの特徴をとらえていく

    サメの特徴となる角ばった顔や、ヒレの鋭さなどを意識しながら進めていきます。

    <3>ヒレを作る

    ヒレはマスクを反転させ、Moveブラシで一気に引き伸ばして作りました。

    <4>口の中もざっくりと作っておく

    口の中は最終画ではあまり見えないかもしれませんが、一応ざっくりと作っておきます。アゴの筋肉はClayBuildupブラシで盛り上げてからSmoothをかけ、リアルな凹凸感を作っていきます。

    <5>エラを作る

    エラはヒレと同様にマスクを反転させて、Moveブラシで引っ張って造形します。

    <6>ZRemesherでポリゴン数を下げる

    ディテール以外ができたらZRemesherでポリゴン数を下げます。今回はアニメーションさせるモデルなので、10,000ポリゴンほどに下げています。

    <7>UV展開の準備をする

    合わせてPolygroupを分けてUV展開の準備をします。

    <8>Unwrapする

    UV MasterでPolygroupオプションをONにし、先ほど分けたPolygroupに沿ってUV展開がされるように設定しUnwrapをします。

    <9>ディテールを彫る準備をする

    UV付きのローポリができたら、SubDivレベルを上げてディテールを彫ります。

    <10>顔からシワや質感を付けていく

    まずは顔から細かいシワや質感を付けていきました。キャラクター制作においては「重要な箇所からディテールを仕上げていくこと」で最終イメージが固まりやすく、時短にもつながると思います。

    <11>ベースカラーを付ける

    ポリペイントでベースカラーを付けます。初めはべた塗り、続いてStrokeTypeを [Splay] にし、アルファを使用して色の深みを出していきます。

    <12>濃淡や彩度を調節

    Adjust Colorウインドウ内で色域マスクを使い、濃淡や彩度を調節していきます。

    <13>陰の出方や色味を確認

    マテリアルを変更してみて、陰の出方や色味を確認します。

    <14>Substance 3D Painterで質感を詰めていく

    Multi Map ExporterでNormal MapとColor Mapを出力します。引き続きSubstance 3D Painterで質感を詰めていきます。

    <15>「サメの怖さ」を強調

    リファレンスを見ていると、口や鼻の周りなどところどころピンクの皮膚が露出している箇所があることに気が付きました。サメの怖さがより強調されるポイントですね。

    <16>モデルを読み込ませる

    Substance 3D Painterにモデルを読み込みます。

    <17>Color MapとNormal Mapを読み込ませる

    先ほどZBrushから出力したColorマップとNormal Mapを読み込み、それぞれ塗りつぶしレイヤーの [BaseColor] スロットと、Texture Set Settingsの [Normal Map] スロットへドラッグ&ドロップして読み込みます。

    <18>他のMesh Mapをベイクする

    他のMesh Mapをベイクします。

    <19>Normal MapやRoughness Mapを仕上げていく

    ベースカラーはすでにある程度出来上がっているので、Normal MapやRoughness Mapを主に仕上げていきます。プリセットからレザー系のテクスチャやザラザラとした皮膚っぽいマテリアルを選び、RoughnessやNormalチャンネルへ割り当てていきます。

    <20>好みのプリセットはどんどん試す

    Mesh Mapをベイクしたので、Smart Materialも使用できます。好みのプリセットがあればどんどん試していきます。

    <21>ビューポートで確認する

    随時Cキーを押し、BaseColorやRoughnessをビューポートで確認してみましょう。

    <22>必要なチャンネルのテクスチャを書き出す

    仕上がったら [Export Textures] から使用するレンダラのプリセットを選び、必要なチャンネルのテクスチャを書き出しましょう。

    次回はHoudiniでのFlipシミュレーションの解説を行いたいと思います。

    森田悠揮 / Yuuki Morita

    フリーランスキャラクターデザイナー/デジタルアーティスト/造形作家
    国内外問わずアート、映画、ゲーム、広告、デジタル原型など様々なジャンルで活動しているフリーランスのアーティスト。ZBrushでの生物や怪獣などのクリーチャーデザインを得意とする傍ら、Houdiniを用いた動画、アート制作なども行う。初の著書 『the Art of Mystical Beasts』ボーンデジタルから発売中。
    website: itisoneness.com
    Instagram: yuukimorita
    Twitter: @YuukiM0rita

    TEXT_森田悠揮 / Yuuki Morita(@YuukiM0rita
    EDIT_みむらゆにこ / Uniko Mimura(@UNIKO_LITTLE