ポリゴン・ピクチュアズが現場で実践しているリグ&アニメーションテクニックをステップ・バイ・ステップで紹介しながら、2024年にフリーウェアとしてリリースされた eST3 を効果的にワークフローへ導入する事例を紹介する連載が始まります。今回は予告編として、連載予定やeST3の基本についてお話しします。

記事の目次

    Information

    eST3

    eST3 は、リギングとアニメーションのフレームワークです。Maya で動作し、様々なツールを提供します。

    動作環境:Windows 10(Maya 2020〜2024/Python 2.7, 3.7, 3.9, 3.10)、Linux(Maya 2020〜2023/Python 2.7, 3.7, 3.9)
    価格:無料(※利用規約とプライバシーポリシーへの同意が必要)

    est3.jp

    連載予定

    以下の全7回を予定しています。

    1. ポーズをつけよう!
    2. アニメーションをつけよう!
    3. 髪をシミュレーションさせてみよう!
    4. eST3の機能でアニメーションをカスタマイズしてみよう!
    5. 人型リグをつくろう(1)
    6. 人型リグをつくろう(2)
    7. eST3の発展的な運用

    eST3って?

    eST3は、リグやアニメーションのためのフレームワークです。その本質は「規格の集合」と、それを運用するための「ライブラリ群」にあります。

    規格に沿ってセットアップを行うことで、セットアップ作業自体の効率化が可能になるだけでなく、アニメーションをはじめとする様々な工程を効率化するために用意されたツールが利用でき、さらに独自のツール開発も容易になります。

    推奨するワークフロー

    eSTは「想定した流れの中で使うことを前提としたツール」です。典型的には以下のようなながれでリグを作成し、使用します。

    様々な機能を組み合わせて、作業目的に合わせた内容の異なる複数の「セットアップ済みモデル (eSTリグ)」を作成します。

    アニメーション作業の際には、作業に適当なリグをMayaにリファレンス(もしくはインポート)してアニメーションを作成します。

    アニメーション作業中にリグを切り替えて作業できます。バリエーションの異なるリグでも同じコントローラが作成されているため、作業途中でバリエーションを切り替えて作業することが可能です。

    アニメーションが確定したら、アニメーションデータのみをファイルとして保存します。

    アニメーション以降の工程(例えばシミュレーションやレンダリング)では、その作業に適したリグを読み込み、先の工程でファイルとして保存されたアニメーションをリファレンス(もしくはインポート)して読み込みます。

    異なるセットアップが施されたリグでも同じコントローラが作成されているため、同じアニメーションを読み込むことができます。

    eST3は、アニメーションやリグを支援する強力なフレームワークです。しかし、その真価を発揮するにはしくみへの理解が欠かせません。

    この連載では、理論よりも実践を重視し、実際の手順を追体験しながら導入のプロセスを解きほぐしていきます。使いこなすための第一歩として、eST3の魅力と可能性を感じていただければと思います。

    ポリゴン・ピクチュアズ

    ポリゴン・ピクチュアズは、今年設立40周年を迎えた国内最大手のデジタルアニメーションスタジオです。1983年7月の設立以来、「誰もやっていないことを 圧倒的なクオリティで 世界に向けて発信していく」ことをミッションとし、マレーシアとインドの制作拠点を含め300名以上のクリエイターが集結。最新技術を駆使し情熱をもって先端的なエンタテインメント映像の製作に力を注いでいます。代表作は『シドニアの騎士』『トランスフォーマー』シリーズ、『スター・ウォーズ レジスタンス』『ピングー in ザ・シティ』、劇場版『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』など。 

    詳細につきましては、www.ppi.co.jp をご覧ください。

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    公式Instagram : @polygonpicturesinc

    TEXT_ポリゴン・ピクチュアズ連載企画チーム
    EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)