こんにちは! 皆さんはエフェクトを作成する際に「重いかも」と感じたことはありませんか? リッチにエフェクトを盛るほど、プレビューがカクついたり、書き出しに時間がかかったりと、制作のテンポが落ちがちですよね。

ここでは、Red Giantでエフェクトを作成する際にできるだけ快適に使うコツを、できるだけシンプルに紹介していきます。ちょっとした工夫で、作業効率はかなり変わりますよ!

記事の目次

    黒河 建

    ボーンデジタルのテクニカルサポート担当。前職ではIT企業にて基幹システムの導入に従事。現在はRevitを中心に、建築業界向けのサポート業務を担当している。
    X:@BD_SoftwareDiv

    ※本記事は、月刊『CGWORLD + digital video』vol.335(2026年7月号)掲載の連載「TECH ROOM:このソフト、どこまでやれる?」を再編集したものです。

    INFORMATION

    Red Giant(レッドジャイアント)


    Maxonが提供する映像クリエイター向けの高機能プラグイン集。Trapcode(3Dパーティクル)、Magic Bullet(カラーコレクション)、VFX(トラッキング、合成)など、映像編集・VFX・カラーコレクション・パーティクルシミュレーション用のツールが含まれ、After EffectsやPremiereなどの主要な動画編集ソフトウェアとシームレスに統合される。


    www.borndigital.co.jp/product/red-giant

    Point① Particularが重い? パフォーマンスを管理しよう

    今回はAfter Effects(以下、AE)を用いて、Red Giantのツールから「Trapcode Particular」「Trapcode Geo」「Depth Generator」を取り上げていきます。以前から多くのユーザーに利用されており、これを使いこなせると表現の幅は一気に広がります。ただ設定項目が多いため、どこを調整すれば効率良く動かせるのか迷う、という声も聞きます。特にシーンが複雑になるほど、作業全体のながれに影響しますよね。

    そこで本記事では、パフォーマンス面にフォーカスしつつ、制作時に意識しておきたいポイントや考え方を整理していきます。今回使用しているRed Giantのバージョンは「2026.3.0」です。まずは、Trapcode Particularから見ていきましょう!

    ▲Trapcode Particularでエフェクトを作成する際には、低密度から始め、動きの方向性を確認してから密度を上げていきましょう。上はパーティクル密度28%
    ▲100%。密度が高い状態で作業を続けると処理が重くなるだけでなく、AEがクラッシュするリスクも高まります。レンダリング直前まで密度を抑えることを習慣にしましょう
    ▲パーティクルが少量の場合は、「アクセラレーション」を「GPU」、「GPUパーティクルレンダー」は「ストリーミング」にするとパフォーマンス向上に有効です。流体シミュレーションなどを利用する際は主にCPUが使われるので、CPUアクセラレーションにしましょう
    ▲関連して、GPUパーティクルレンダーが自動的に直接(ダイレクト)モードに切り替わることがあります。このスイッチが自動的に発生する主なケースは、Maxonの公式ナレッジ(※英語版のみ)に記載がありますので、意図せずモードが切り替わったと感じた際は参照してみてください

    ▲CGWORLDのロゴがパーティクルとなって消えていく様子を作成してみました

    ▲検証も兼ねて1秒あたりのパーティクル数を「500,000」に設定。MacBook Pro、HP ZBook G1a、HP ZBook G1iの3マシンで検証しました
    ▲検証結果はIntel CPUのWindows機が最も動作が安定していました。使用したMacBook Pro(M3)は少し前のモデルで恐縮ですが、現状ではTrapcode ParticularはIntel系CPUとの相性が良い印象です。なお、Trapcodeエフェクトはプリコンポーズして作成し、完成後はレンダリングしてプロキシ化しておくことで、日常的な作業の重さを大幅に軽減できます。レンダリング速度を上げる方法として、AEの「エフェクトマネージャー」を活用できます。やり方は簡単で、エフェクトマネージャーからTrapcode Particular以外のプラグインを無効化するだけです。ぜひ一度試してみてください

    Point② Trapcode Geoで手軽にクローナーアニメーションを!

    Trapcode Geoを使えば、AE上で3Dモデルを簡単に複製し、クローナーのようなアニメーションを手軽に作成できます。Cinema 4DのMoGraphに近い感覚で、複雑な設定なしにエフェクト内で配置・回転・スケールを直感的に制御できるため、モーショングラフィックス制作の効率が大幅に向上します。

    大量のオブジェクトを使ったダイナミックな演出や、リズミカルな動きの表現もスムーズに実現でき、短時間で高品質な3Dアニメーションが作成可能です。

    ▲Geoは特にクローナーを使用する表現で有用です。Cinema 4Dでもクローナー機能が有名ですが、AE上だけでクローナーアニメーションがつくれるのは、作業効率の面でも大きなメリットだと思います。さらにGeoは、ほかのエフェクトより比較的軽量です。単純なオブジェクトを大量に放出するのは、作業中の快感もあるのではないでしょうか
    ▲インポートしたモデルに対して、Geo上で5つのマテリアルを設定できます。モデルの階層構造の上から順にM1〜M5に割り当てられます
    ▲複雑なモデルにはマテリアルを厳密にアタッチできないので、デフォルメされたモデルや単色のマネキンなどをクローンして動かすのが現実的です
    ▲マテリアルの中身を覗いてみると、1つのマテリアルにPBRの設定ができることがわかります
    ▲例えば、レイヤーに設定した動画をテクスチャとして設定することも可能なので、スマホのモデルの画面にプリコンポジットした動画を載せる、なんてことも簡単にできます。ベーステクスチャに特定のレイヤーを選択し、タイリングでパースを合わせるだけです(※Maxon公式チュートリアルより)
    ▲クローナーオブジェクトには、ベースとなるモデル以外に4種類を設定できます。ただし、マテリアルを共通で使用することになるので、大幅に異なるモデルを指定するとチグハグな結果となるでしょう。クローン数については、Y軸に45個、Z軸に1,000個の複製で、合計45,000個程度のモデルを生成していますが、検証したPCでは少しプレビューの動作が重くなりました。20,000個程度がサクサク動くギリギリという感じです
    ▲クローンのパターンを編集したり、太陽や環境光をアニメーションしたりできるので、意外と表現力豊かなことも推しポイントかもしれません

    Point③ Depth Generatorの威力を見てみよう!

    Depth Generatorは、映像や画像から奥行き情報(デプス)を自動生成できます。AIを用いて単一の素材を解析し、高精細なデプスマップを出力します。被写体の前後の分離や、奥行きに応じたエフェクトの適用をAE内だけで完結できるため、ワークフローへの組み込みが非常にスムーズです。

    さらに使用するAIはローカルマシンにインストールされる自己完結型のファイルで、処理したコンテンツから学習したり、外部に共有したりすることはありません。セキュリティ面でも安心して利用できます。

    ▲Depth Generatorのエフェクトコントロールには、AIツールに関する情報セクションがあり、「ローカルでインストールされたAIを使用している」旨と詳細ページへのリンクが記載されています。リンク先はMaxonの公式サポートページで、使用しているAIモデル「Depth Anything V2」の詳細や学習方法についても確認できます。AIの動作情報をUI内から直接参照できる仕様です
    ▲Depth Genaratorは、適用するだけで深度マップを生成できるので、他ツールを使う必要がないほど便利です
    ▲適用後もマッピングやカーブオフセットなどで認識している深度情報を調整できます。「深度分離カーブ」を調整することで、特定の深度範囲の物体だけを抽出可能。「カーブオフセット」の値を変えることで認識する深度の基準をずらすこともでき、細かい調整にも対応しています。生成したデプスレイヤーはそのままブラーなどのエフェクトに接続して使用できます
    ▲Depth Generatorのレイヤーを「ブラーマップ」に設定して、演出を追加しましょう。「ブラーマップを反転」をONにすることで、手前はシャープに、奥は自然にボケた表現になります

    次回予告|ポリゴンリダクションツール比較検証

    3Dコンテンツ制作において、ポリゴン数の最適化はパフォーマンスと品質の両立に欠かせない工程です。特にリアルタイム用途や軽量化が求められる現場では、効率的なポリゴンリダクションツールの選定が鍵になってきます。

    次回は、主要なポリゴンリダクションツールを比較し、それぞれの特徴や適した用途を整理します。お楽しみに!

    INFORMATION

    月刊『CGWORLD +digitalvideo』vol.335(2026年7月号)


    特集:『スマスロ ミリオンゴッド-神々の軌跡-』
    定価:1,540円(税込)
    判型:A4ワイド
    総ページ数:128
    発売日:2026年6月10日

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    TEXT_黒河 建/Takeru Kurokawa(ボーンデジタル)
    エフェクト制作協力_宮崎拓哉/Takuya Miyazaki
    EDIT_李 承眞/Seungjin Lee(CGWORLD)、高橋拓也/Takuya Takahashi(CGWORLD)