カゴメ「野菜生活100 Smoothie」のブランドキャンペーンでは、各フレーバーをキャラクター化した「スムー人」が初登場。サンボマスターの人気楽曲とコラボしたスペシャルムービー『ファイト・スタイル』篇の制作舞台裏を主要スタッフに聞いた。
【Agency】 Business Producer : Yu Akama(Cyber Agent)
【Creative Team】 Creative Director + Planner + Copywriter : Kairi Manabe(PARTY)/ Art Director + Character Designer + Film Director : Yui Suzuki(HOLIDAY)/ Creative Producers : Hiroyuki Nakayama, Yuma Sato, 3D Modeler : Moe Akiyama(All from PARTY)
【Film Team】 Director : Takuma Inoue(OCTOPUS)/ Cinematographer : Daichi Hayashi(TOKYO)/ CG Director + Animator : Satoshi Takeno, CG Rigger : Shoya Sato, CG Artists : Taro Adachi(All from MontBlanc Pictures)/ Contribute CG Production : Omnibus Japan, HARAMIYA
www.kagome.co.jp/products/brand/ys100/yssmoothie
© KAGOME CO., Ltd.
「スムー人」に込めた、がんばる人へのひたむきな思い
今年3月下旬から展開中の「野菜生活100 Smoothie」のブランドキャンペーン。「野菜を摂るというよりも、生活の中に入り込んで、情緒も含めて応援するブランドにしたいというカゴメさんのご要望の下、企画を進めていきました」と、PARTYのクリエイティブディレクター眞鍋海里氏。
その核となったのが、各フレーバーをキャラクター化した「スムー人」だ。地球の豊かな食材に惹かれてやってきたYS-831星の宇宙人で、がんばる人を見ると応援したくなるという、ブランドの分身的な存在である。
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キャラクターデザインを担ったのは、アートディレクターの鈴木友唯氏(HOLIDAY)。「ぱっと見で『野菜生活100 Smoothie』のキャラクターだとわかる部分を入れようと考えたとき、やっぱりこのキャップが特徴的だなと。これを帽子としてかぶらせることを最初に決めました」と、ふり返る。スケッチを起点に性格やストーリーをふくらませて、「グリーン」「ビターミィ」「バナモンド」「ベリー」という4体それぞれの個性を形づくっていった。
展開は、スムー人たちの日常や心の叫びを通してブランドメッセージや製品特性を描いたショートアニメと、サンボマスターの楽曲とコラボしたスペシャルムービー『ファイト・スタイル』篇の二軸だ。スムー人たちに命を吹き込むCGアニメーション制作は、キャラクターものに定評あるMontBlanc Picturesが担った。「スペシャルムービーは、興味のない人にも間口を広げてくれるもの。ショートアニメは、SNSにお邪魔しながらスムー人や商品をもっと好きになっていただくためのもの、という役割分担です」(眞鍋氏)。
特筆すべきは、『ファイト・スタイル』篇が公開して間もなく再生回数1,000万を突破したことだ。「3分近い長尺なので、通常は広告配信だとスキップされがちですが、完全視聴率は44%を超えました。最後まで観てくれる人がとても多く、SNS上の『なぜか泣いちゃった』『勇気づけられた』といったコメントを見ると、みんなでがんばった甲斐がありました」(眞鍋氏)。
<1>企画&キャラクターデザイン
可愛いだけじゃない、 人間の弱さも宿したキャラクター
スムー人のデザインは、まず「野菜生活100 Smoothie」4本のラインナップをそれぞれキャラクター化することから始まった。鈴木氏はキャップを帽子に見立て、2Dのイラストで原案を描き起こす。そこに眞鍋氏から性格やストーリーの方向づけが加わり、キャラクターは少しずつ輪郭を得ていった。
4体には、見た目だけでなく性格の差も与えられている。のんびり屋の「グリーン」、せっかちで心が荒れがちな「ビターミィ」、理屈っぽい「バナモンド」、美容に気を配るがやや空回りしがちな「ベリー」。鈴木氏は背丈のバランスまで含めて感覚的に描き分けたという。
「まずは思い浮かんだイメージそのままに描いてみたら、現在のプロポーションになっていました。そこから、キャラクターごとに細かな部分のデザインを詰めていきました」。推敲の過程では、画像生成AIも活用された。鈴木氏の2Dスケッチを素材に、ChatGPTと会話を重ねながら立体的なイメージへと変換していったそうだ。「『もっとこうしてほしい』とか会話をしながらブラッシュアップしていきました。まだ質感はできていない、粘土みたいな状態だったんでしたけど」。意図が伝わらないときはペイントオーバーで自ら調整したが、予想外の面白いアイデアを提示されることもあったという。
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眞鍋氏がこだわったのは、キャラクターの内面だった。「鈴木さんとは『単純に可愛いだけのキャラクターではなく、見た人が共感できるポイントをつくりたいよね』とずっと話していました。つらいことやイヤなことから逃げたい本能など、人間の弱さを込めるというか。そこはこだわったところです」。応援する側のキャラクターだからこそ、人に寄り添う奥行きもしっかりと追求された。
世界観について。ショートアニメはカラーバックの前で撮るようなシンプルな構成とし、キャラクターの芝居そのものを見せる。一方のスペシャルムービーは、実写の人間ドラマを軸に据え、スムー人がそこに寄り添うかたちをとった。「シュッと動くとか、動きも可愛いと思えるものが良いなと」(鈴木氏)。
そのキャラクターアニメーションを誰に託すか。両氏は早い段階から同じ人物を念頭に浮かべていた。「MontBlanc Picturesの竹野(智史)さんとお仕事するのは初めてでしたが、以前からの知り合いで、手がけてきた作品でキャラクターの個性をしっかり描かれていることに好感を抱いていました。そこで『ぜひお願いしたい!』とお声がけしました」(眞鍋氏)。
「お話を伺ったときから、ヨダレがジュルッと(笑)。僕が大好きなテイストのキャラクターたちだったので『こちらこそぜひやらせてください』と、喜んでお引き受けしました」(竹野氏)。
企画コンテ
▲ 鈴木氏が作成した、ショートアニメの企画コンテ(抜粋)
イメージボード
演出コンテ
▲ ディレクターを務めた井上拓馬氏(THE OCTOPUS)による、スペシャルムービー『ファイト・スタイル』篇の演出コンテ(抜粋)
<2>キャラクター制作&オンセット
質感を落とさずに、MayaとHoudiniをつなぐ
スムー人のモデリングとルックデヴを担当したのは、PARTYのCGアーティスト 秋山 萌氏だ。モデリングはMayaで行い、「グリーン」や「バナモンド」のようにFurやHairの要素をもつキャラクターは、そのシミュレーションをHoudiniで行なった。
「秋山さんとは、『グリーンだったら繊維感、フサフサ感。ビターミィはオレンジのボツボツ感があるんだけど、それが気持ち悪くならないように。バナモンドはしっとりした質感、ベリーは肌がつるっとした感じ。それぞれのキャラクターの差を出せるといいよね』などと細かく話し合いながらつくっていきました」(鈴木氏)。「キャラクターが本当に可愛くて、モデリング中もテンションが上がりっぱなしでした(笑)。楽しく作業できました」(秋山氏)。
3DCG工程で課題となったのが、異なるツール間のデータ連携だった。秋山氏がHoudiniで質感までつくり込んだモデルを、MontBlanc Picturesが普段使うMaya+Arnoldの環境へ移し替える場合、FurやHairの作り直しには手間がかかる上、意図した質感を再現できない恐れもある。そこで竹野氏はアニメーションはMayaで付け、そのデータをHoudiniに読み込んで最終レンダリングを行うフローを選んだ。
「秋山さんがつくったHoudiniシーンを使わせてもらって、そこに僕たちがつくったキャラクターアニメーションのデータを読み込んで完成させる、というワークフローを採りました」(竹野氏)。
MayaのアニメーションデータはAlembic形式でHoudiniへ受け渡したが、書き出しや読み込み時の設定は手探りで進めたという。
「『ファイト・スタイル』篇のライティングとレンダリングは、Houdiniを使い慣れたオムニバス・ジャパンさんにご協力いただきました。おかげで僕はキャラクターアニメーションに専念できました」(竹野氏)。なおフルCG完パケのショートアニメは、MontBlanc Picturesで一連の作業を完結させている。
リギングは、MontBlanc Picturesの佐藤菖也氏が担当。竹野氏が動かし方のイメージを伝え、それに沿ってリグ&セットアップが施された。何より重視されたのは、口の表現力だったという。
「ショートアニメは、どのタイプもスムー人たちが喋り続ける演出でした。単純な口パクでもリップシンクでもない、スムー人ならではの口の動かし方を追求したんです。佐藤くんには『オバケのQ太郎みたいな口にしたい』と伝えて、どんな形状にもできるようリグを組んでもらいました」(竹野氏)。目も、眼球に対して瞼が下りる構造とし、いたずらっ子っぽい表情までつくれるように設計された。
キャラクターモデル
Fur & Hairセットアップ
ルックデヴ
オンセット(撮影現場への立ち会い)
▲ 『ファイト・スタイル』篇の撮影模様。竹野氏たちが撮影に立ち会い、監督や撮影部と協力しながら撮影が進められた
<3>ショットワーク
店頭に飛び出したスムー人を もっと多くの人へ届けたい
スムー人のキャラクターアニメーションは、ショートアニメも『ファイト・スタイル』篇も、全て竹野氏が一手に引き受けた。
「正直、ロジックよりも感覚にゆだねる部分が多く、他のアニメーターに指示するのが難しかったので、全てのアニメーションを僕自身で付けました。その代わり納期は少しずつ調整させていただきましたが、それぞれのキャラクター性を出しつつ、全てのムービーでアニメーションの一体感を高められたと思います」。
ショートアニメから作業を始めたことで、スムー人の動きの特徴をなんとなくつかんでから『ファイト・スタイル』篇に着手できたそうだ。
「ショートアニメでは特にフェイシャルに、『ファイト・スタイル』篇ではキャラクター全体の動きにこだわりました。ボディ全体で綺麗なシルエットになるように、バナモンドなら体の曲線が綺麗になるように、と意識しています」(竹野氏)。
キャラクターの声は、アニメーションをつくり込むためにプレスコが採られた。途中段階で声が入ったことで、鈴木氏自身もキャラクター像が明確になったという。「改めて、このキャラクターたちはこういう声で、こういう子なんだなとわかりました。それが途中にあったのはすごく良かったです」。
また『ファイト・スタイル』篇のアニメーションで、最もリテイクが重ねられたのは、4体が冷蔵ケースの中で決めポーズをとる「シャキーン!」のカットだった。「ストーリー的にも重要なポーズをとるカットなので、監督から細かなリテイクをいろいろといただきました。自分としても思い入れのあるカットです」(竹野氏)。
先述のとおり、『ファイト・スタイル』篇のライティング&レンダリングはオムニバス・ジャパンが担当した。そのためデータ共有のタイミングをしっかりと守る一方、社内で完結したショートアニメは納期ギリギリまで粘ったという。
「コンポジットワークで一番気をつけたのは、スペキュラやテカリ具合の入れ方と、色味を綺麗に美味しそうに保つことですね。実写との馴染みについては、現場でガイド造形を使ってライティングをしっかり合わせていたので、大きな調整は必要ありませんでした」(竹野氏)。
「実は、カゴメさんの営業の方々からの要望を受けて、販促用のスムー人のステッカーも作成しました。店頭で多くの人に興味をもってもらえる、好きになってもらえるキャラクターを目指していたので、こうして実際に手売りの場まで広がったのは嬉しいですね。スムー人の今後の展開にも、ぜひご期待いただければと思います」(眞鍋氏)。
キャラクターアニメーション
▲ 冷蔵ケースの中にいた4体が「シャキーン!」と決めポーズをとる連番。1体ずつ性格の出るポーズを追求し、最もリテイクが重ねられた
Solarisによるライティング&レンダリング
ブレイクダウン
INTERVIEW & EDIT_NUMAKURA Arihito