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    はじめまして。サンジゲン で制作をしている、間宮(まみや)と申します。昨年の秋に入社したばかりでアニメ業界では日が浅いのですが、この連載を通して、サンジゲンの誇るリミテッド3DCGアニメーションの魅力をお伝えしていきたいと思っています。よろしくお願いします!
    現在フジテレビ "ノイタミナ" で放送中の 『ブラック★ロックシューター』(以下『B★RS』)。みなさま、ご覧いただいていますか? サンジゲンは、「裏の世界=『B★RS』の世界」 のほぼ全てのカットを 3DCG で作っています! 『B★RS』の制作現場は、ただ今、第 7 話を鋭意制作中。スタッフ一同、全力投球で作品づくりに励んでおります(まさに佳境!)。
    さて、『B★RS』の3DCGパートを紹介していくこの短期連載。記念すべき 1 回目は、第 1 話「あとどれだけ叫べばいいのだろう」第 2 話「夜明けを抱く空」 より、担当アニメーター自ら選んだカットをご紹介します!

    第 1 話「あとどれだけ叫べばいいのだろう」

    【CUT001】〜かつてない長尺カットで想像力をかきたてる!〜
    (リードアニメーター/名倉晋作)

    90秒という、今まで経験のないノーカットシームレスな流れの中で、飽きがこないようメリハリを付けるため、事前にカメラワークを入念に詰めました。
    セルアニメらしい服と髪のなびきを付けるべく、長回しの中でクロスシミュレーション等を使わずに、カメラワークの中で良い感じに見えるよう、全て手付けでアニメーションさせています。「★Rock Cannon」(※毎秒20発の岩石を発射するという設定の重火器)の生成・変形については、絵コンテで具体的な行程が描かれているわけではないので、ほぼアドリブでの作業となりました。尺の中で自分なりの変形のアイディアをメモに書き出して、そこから作業し、実質 2 日で作り切りました。


    第1話【CUT001】ショットブレイク。(左上)絵コンテ、(右上)アニマティクス、(左下)3DCG完成、(右下)撮影処理を施した完成形

    記念すべき『B★RS』第 1 話からは、冒頭カットをご紹介。制作現場で私が初めて見た時は、既にアニメーションテイクとなっており、「★Rock Cannon(ロックキャノン)」の変形の行程が絵コンテには描かれていないという事実を今回初めて知り、驚愕しております! 「★Rock Cannon」の形成されるシーンは何度観ても鳥肌が立ってします。ここに惹き付けられたかたも多いのではないでしょうか?(まみや)

    第 2 話「夜明けを抱く空」

    【CUT283】〜手描きの困難を3DCGで乗り越える!〜
    (アニメーター/今 義和)

    このカットは、作画では極めて困難な表現を用いています。具体的には 「カメラワークと多大な物量」 になります。実際に動画を観て頂ければと思いますが、カメラは立体的に移動し、少しずつ広がっていく爆炎、地面に立っているキャラクター、落ちている破片、空中をゆっくりと回転しながら漂う破片や、煙から飛び出してくるキャラクターに背景など、沢山の要素が含まれています。これは、視点が移動しているため、作画であれば背景は背景動画として少しずつ角度の違う絵を 1 枚ずつ描かなければなりません。また、それぞれ違う動きをする爆煙や破片などの要素と相まって大変な絵の枚数になり、相当気合いの入った作画マンの方が描いても、空間的な歪みが出てしまい、何をやっているのか判りにくくなる可能性がありました。
    その点、3DCG であれば、カメラの移動や、圧倒的物量を表現しやすい機能があるのですが、画の見せ方や、タイミングの取り方などはたくさんの作画作品を参考にしました。誤解のないように申し上げますと、私は経験上、手描きならではの良い部分もたくさん知っています。その手描きによる作画の良いエッセンスを踏襲しつつ、3DCG ならではのアドバンテージを活かした「良いとこ取り」のカットとなっているのでは、と自負しています(ぜひ感想お聞かせください)。このカットのみに限らず、『B★RS』というプロジェクトは、作画と 3DCG の新しい融合のカタチをたくさん目にして頂けると思います。


    第2話【CUT283】ショットブレイク。(左上)絵コンテ、(右上)アニマティクス、(左下)3DCG完成、(右下)撮影処理を施した完成形

    回り込んでいくカメラワークや大量の破片、爆炎、全ての要素を最高の状態で効果的に見せることができるのは、3DCG の強みなんだと、担当したアニメーター自身も実感するカットです。このカットが上がってきた時、「すごい!!」と現場がざわめいたのを憶えています。当たり前のことかもしれませんが、3DCGであっても魅力的なカットにはセンスが必要なのだと感じました(まみや)

    いかがでしたか? さて、次回は第 3 話「こらえた涙があふれそうなの」より、またまた魅力的なカットをご紹介いたします。お楽しみにお待ちください!

    TEXT_間宮 舞(サンジゲン

    『ブラック★ロックシューター』メインビジュアル

    TVシリーズ『ブラック★ロックシューター』

    2012年2月2日より、フジテレビ"ノイタミナ"ほかにて全8話絶賛放送中!

    原作:BRSプロジェクト
    キャラクター原案:huke
    監督:吉岡 忍
    CG 特技監督:今石洋之
    シリーズ構成・脚本:岡田麿里
    総作画監督・キャラクターデザイン:芳垣裕介
    © BRS on TV

    公式サイト

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