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第 3 回:3DCG の特性を活かしたアニメーション

第 3 回:3DCG の特性を活かしたアニメーション

こんにちは、サンジゲン のまみやです。第 8 話(最終話)のアニメーション作業がまさに佳境を迎えている 『ブラック★ロックシューター』(以下『B★RS』) の制作現場ですが、先日、キャラクター原案者の huke 様より、『B★RS』スタッフ宛に大量の差し入れをいただきました。スタッフの士気も上がり、一同感謝しております! このモチベーションを維持したまま、グランドフィナーレに持ち込みたいところです。
今回は驚きのストーリー展開をみせた 第 4 話「いつか夢見た世界が閉じる」 から、2 カットご紹介します。

© BRS on TV

第 4 話「いつか夢見た世界が閉じる」(その1)

【CUT002】〜カットに最適なモデルへ作り変える〜
(アニメーター/櫻木優平)

TV版『B★RS』においては、ストレングス 初登場のカットになります。 今石 CG 特技監督から、「『Orge Arm』( 2 つの巨大な腕)は重いけど、ストレングスは怪力で軽々と引きずっている感じを出してほしい」という要望があったので、重いものを引きずる動き・姿勢を残したまま、歩調を乱さず若干早めることによってそれを表現しました。3D データ上ではその場歩きのアニメーションを付け、2D で背景を引くことで、移動を表現してあります。

チャリオット は、「Orge Arm」で上手く掴めるよう、モデルをバラバラに解体してあります。個人的にチャリオットはお気に入りだったのでバラバラに解体するのはなかなか複雑な心境でした。
腕・尻尾はベースモデルの状態では大きすぎ、画面の収まりが悪いので、スケール・形状を調整してあります。ベースモデルのままで求めている画が作れない場合は、担当アニメーターが適宜スケール調整や形状変形させたりしながら作業を進めています。アニメーションが付けやすいように、カット単位でリグを調整する場合もあります。
このカットのように、アニメーターにモデルの調整まで求められるのは、CG 作画ならではの難しいところかもしれません。ですが、それによりかなり自由度の高い画づくりが出来るので、醍醐味のひとつでもあると思います。なお、アニメーション作業の時点では、背景が出来上がっていなかったので、アタリとして絵コンテを下に敷いて作業しました(※メイキング動画参照)。


第 4 話【CUT002】ショットブレイク。(左上)絵コンテ、(右上)アニマティクス、(左下)3DCG完成、(右下)撮影処理を施した完成形

「(チャリオットの)モデルをバラバラに解体してあります」という衝撃的な発言が!! こちらのカットでは、"チャリオットを掴んでいる感じが判るようにしてほしい"という今石監督からの要望があったわけですが、櫻木さんの心中お察しいたします。計算されたストレングスの移動の表現にはとても感動しました。それにしても実際には移動していなかったとは! 素人目にはまったくわからなかったです......。また、カット単位でアニメーターが各自でモデルの形状を変え、調整しているというのも、アニメ業界に飛び込んで日の浅い私には大変興味深いお話でした。3DCG はモデルという共通の素材があるため、理論上は同じ画を作ることが可能ですが、実際はアニメーターによって多くのスパイスが加えられていくので、それぞれの色や雰囲気が出るあたりは作画と変わりません。サンジゲンのスタッフもひとりひとりが各々の "味" を持っていて、わずかな尺の中でそれを表現しているのです(まみや)

第 4 話「いつか夢見た世界が閉じる」(その2)

【CUT303】〜疑似3D的なカメラワークを、敢えて3Dで描く〜
(アニメーター/上條嘉之)

コンテ上では、手前の柱と背景の引き方向を変えることによる 2D 的な回り込み表現でしたが、3D で回り込ませた方が、よりパース感が出だせるのではないかという判断により、カメラワークを 3D にしました。2D で擬似的に 3D(奥行き感のある)表現をしているものを、実際に 3D で表現するとこう見える、という面白い結果になったのではないでしょうか。

2D では実際に回り込ませる作画をするのがとても大変だと思いますので、こういった部分が3Dの強みなのではないかと思います。
ちょっとした破片や煙など、他カットで作った素材があると使い回すことが出来るのも 3D の利点です。素材をそのまま使うのではなく、カットによって修正は必要になります。また、『B★RS』の思念世界では、キャラクターごとにルックの異なる世界が用意されています。それぞれに色味が大きく変わるので、アニマティクス段階で見ていた色と本番の色で印象が大分変わり、トーンを整えるのが難しいカットでもありました。


第 4 話【CUT303】ショットブレイク。(左上)絵コンテ、(右上)アニマティクス、(左下)3DCG完成、(右下)撮影処理を施した完成形

中央に据える鎖の山、せりあがりつつ流れる柱、空中に舞う大量の破片。画面の右に鎖が 1 本垂れてくると、柱の上に着地するブラックロックシューター。手前には動いている要素が多くあるのに、いずれもしっかりと捉えられるのは、3D のカメラワークで遠近感を出しているからなのですね。このカットは、作業の物理的な大変さが作画ほどではないので、その分をレイアウトやカメラワークを詰めるのに費やすことができたみたいですね。素材を共有できるのも、さらにそれを自分でアレンジできるのも 3DCG ならではの良さです。『B★RS』では、各キャラの世界色の設定があるので、色はとても重要です。動画を見ると、確かにアニマティクスと 3DCG 完成とでは雰囲気がかなり違います。色は現場を悩ませる要素のひとつですが、一貫した世界観が『B★RS』の魅力でもあるので、全てがフィックスされた完成カットを観るのは毎回楽しみです(まみや)

次回は第 5 話「ブラック・ロックシューター」のカットをお届けいたします。アクションシーンにもボリュームが出てくるあたりなので、ぜひ楽しみにお待ちください!

TEXT_間宮 舞(サンジゲン

『ブラック★ロックシューター』メインビジュアル

TVシリーズ『ブラック★ロックシューター』

2012年2月2日より、フジテレビ"ノイタミナ"ほかにて全8話絶賛放送中!

原作:BRSプロジェクト
キャラクター原案:huke
監督:吉岡 忍
CG 特技監督:今石洋之
シリーズ構成・脚本:岡田麿里
総作画監督・キャラクターデザイン:芳垣裕介
© BRS on TV

公式サイト

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