ノードベースのプロシージャル処理により、自由度の高い表現を可能にする統合ソフトウェアHoudini。この連載では、Houdiniの需要が高まる今、Houdiniユーザーの採用を積極的に行なっているプロダクションを紹介していく。
第1回では、VTuberの3Dモデル制作から音楽ライブのプロジェクションマッピング演出まで、幅広いジャンルの作品を手がけるトランジスタ・スタジオを紹介する。
<1.トランジスタ・スタジオの基本情報>、<2.Houdiniの活用状況>、<3.Houdiniユーザーを求める理由>、<4.独自の企業文化>の4つの項目から、トランジスタ・スタジオにおけるHoudiniを活用した制作環境と、働く魅力について探っていく。
1.トランジスタ・スタジオとは?
株式会社トランジスタ・スタジオ
www.transistorstudio.co.jp
企業概要
1997年の設立以来、CM、TV、映画、科学系シミュレーションなどのVFX案件を幅広く手がける。ビジュアルエフェクトに特化したHoudiniを25年以上前から導入しており、取締役副社長の秋元純一氏はCGWORLD.jpにて連載「Houdini Cook Book Entry」を執筆している。
近年ではMayaによるキャラクターモデリングの案件も多数手がけており、ゲームのメインキャラクターやVtuberの制作実績も多い。
社名「トランジスタ」のごとく、“小さくても高性能”で“小回りの利く”制作会社。 ファッションブランド「燐」も活動中。
制作実績
募集職種
①VFXアーティスト
業務内容:エフェクト全般の制作。シミュレーションや破壊のためのビル群の制作といったテクニカルなモデリング作業も業務内容に含まれる。
②テクニカルアーティスト
業務内容:Houdiniを用いた、ツールやパイプラインなどのR&D。プロジェクトのショットワークよりも、フロー構築をメインにしたアーティスト職。
求めるスキルと人物像
・Houdiniに愛がある方、興味がある方
・ロジカルな考え方を持ち、クリエイティブな作品制作に興味のある方
・Houdiniは習得難易度が高いツールなので、ある程度根気のある方
新卒で初心者でも、やる気があれば応募可能。
中途採用でHoudini初心者でも問題ない。もちろん、既にスキルがある方は歓迎。
2.Houdiniの活用状況
秋元純一氏
株式会社トランジスタ・スタジオ 取締役副社長
2006年に株式会社トランジスタ・スタジオに入社。日本でも指折りのHoudiniアーティストで、手がけてきた作品は数々の賞を受賞している。CGWORLD.jpにて、Houdiniを基礎から解説する「Houdini Cook Book Entry」を連載中。
「私自身は今から約30年前にHoudiniの前身となる3DCGソフトPRISMSを使いはじめました。導入当初はモデリング、アニメーション、エフェクトなどCG制作全般に使用していましたが、現在トランジスタ・スタジオではモデラー、エフェクター、ゼネラリストと職種を分け、Houdiniは主にエフェクトのメインツールとして使用しています。エフェクト制作、プロシージャルモデリングにおいては特に欠かせないソフトになりました」(秋元純一氏、以下秋元氏)
トランジスタ・スタジオでは、社内でHoudini教育用のトレーニング教材が用意されている。また、「HOUDINI COOKBOOK +ACADEMY Houdiniを基礎から楽しく学べるオンライン講座」の講師を務める秋元氏をはじめとして指導者として歴の長いスタッフが在籍しており、Houdiniを使用しての制作における疑問点も質問で解決しやすい環境を実現している。
一方で、Houdiniの習得は長期的にマイルストーンを設けて考える必要があり、付け焼き刃では太刀打ちすることが難しい。この点も踏まえたうえで、トランジスタ・スタジオではHoudiniの教育に力を入れている。
「当然挫折して退社するアーティストもいましたが、逆にHoudiniの習得が大手企業や海外スタジオへ転職する足掛かりになったこともありました。これは皮肉ではなくて、当然当社に根付いてくれるのが本来は一番望ましいですが、当社で学んだ経験を活かしたキャリア計画を、素直に応援できるスタジオでありたいと考えています。
もちろん、既にキャリアをお持ちの方は大歓迎です。勤務体系などもフレキシブルですので、まずはご相談してもらえればと思います」(秋元氏)
3.今、Houdiniユーザーを採用したい理由
「CM案件やTV案件におけるエフェクト制作は少人数でも対応できますが、ゲームや映画のような大規模案件ではどうしてもクリエイターの人数が必要になるため、Houdiniを全方位的に使える人材を募集しています。実際に、昨今のエフェクト制作の受託案件においては、制作ツールにHoudiniを指定されることも増えてきました」(秋元氏)
さらに、エフェクト制作にとどまらず、ゲームのアセット制作にもHoudiniを使用するケースが増えてきたという。Houdini需要の拡大について、秋元氏は次のように語った。
「昨今のゲーム業界においては、特徴的なデザインのキャラクターなどに限らず、プロップや背景などにおいても大規模なアセット開発が必要とされています。全てのアセットをフルスクラッチで制作することはコストの側面からも難しくなっており、効率化をはかれるHoudiniを導入したワークフローを選択することが増えている印象です。
例えば、作品のリリースまでにアセット制作フローの開発や、ストーリーに関連する最低限のアセット制作を完了し、その後の運用においてはHoudiniを活用して順次アセットの数を増やしていく、といったケースもあります。
大規模開発においては、効率的かつアーティストの力量によって成果物に大きく幅が出ることのないフロー構築が求められています」(秋元氏)
4.トランジスタ・スタジオ独自の企業文化
企業文化
トランジスタ・スタジオは、ゲームや映像などのエンタメ作品だけではなく、インフラや製造、医療や教育といった多様な分野の映像制作を手がけている。手がける映像には、一般に出回らない性質のものも多い。単発の小規模案件であっても、専門性が非常に高いこともあり、クライアントとのコンセンサスの密度が非常に重要になる。
こういった専門性の高い映像制作にも対応するため、トランジスタ・スタジオではある程度縦割りな階層を省き、作業者がディレクターやマネージャーの役割を同時に担うことで、迅速かつ案件の特性に合わせた立ち回りが出来るチーム編成を実現しているという。
「クライアントの希望に可能な限り応えられるよう、無駄なコストを省き、少数精鋭でスピード感のある制作に努めています。多種多様な案件を引き受けられる、ジェネラルタイプのチームであることが特長です」(秋元氏)
勤務体系
勤務体系については本社に出社しての勤務が基本となるが、プロジェクトや個人のスケジュールによってはリモートワークの導入も可能。有給休暇も初年度から10日程度あり、休暇取得も含めて働き方の調整がしやすい環境だという。
「現在はチームの再編成を行なっているタイミングです。自分の得意領域を活かしたチームづくりや、やりたい業務のアピールもしやすい環境です。Houdini愛のある方からの応募をお待ちしています」(秋元氏)
CGWORLD関連情報
連載:Houdini Cook Book Entry
cgworld.jp/regular/houdini_cook_book_entry
トランジスタ・スタジオ秋元氏による、課題を通してHoudiniを基礎から学ぶ連載。
豪華Houdiniアーティスト7名が集結。「CGWORLD MASTERCLASS ONLINE vol.9」座談会レポート
cgworld.jp/article/2209-cgwmco-houdini-zadankai.html
CGWORLD MASTERCLASS OMLINE Houdiniアドバンスコースの講義後に行なわれた座談会のレポート記事。秋元氏を含む3名のHoudiniアーティストが、よく使うテクニックやTipsについて議論した。
EDIT_Mana Okubo(CGWORLD)