Blenderの無限の可能性をさらに広げるための鍵、アドオン。本連載では、各界で活躍する著名なBlenderクリエイターたちが愛用するアドオンを紹介します。第一回のゲストは、大規模な都市背景作品で知られる藤田将氏。彼が選ぶ、制作効率を格段に向上させる5つのアドオンをご紹介します。

記事の目次

    クリエイターについて

    藤田将

    1999年10月8日千葉県生まれ、東京電機大学卒。
    フリーランスの3DCGアーティストとして、最近はアニメ背景にも使えるセルルックCGの研究や、MVの背景モデル制作などで活躍している。
    現在、全てを一人で担当する全編18分の自主制作アニメーションを制作中。
    今後挑戦したいことはアニメの監督、脚本。

    藤田氏による作品『Doory』

    CGW: 自己紹介を簡単にお願いします。

    藤田: こんにちは、藤田将と申します。サイバーパンクテイストであったり香港の都市のような世界観のある都市背景をBlenderで制作しています。

    CGW: Blenderを始めたきっかけを教えてください。

    藤田: コロナ渦に時間に余裕が出来たのでBlenderを始めてみたら面白くて、それからの数年間は朝から晩までBlenderを触っている毎日です(笑)

    CGW: そうなんですね(笑) 今回はBlenderの”アドオン”についてクリエイターさんにお伺いする企画ですが、アドオンは日々の制作でどれくらいの頻度で使用されますか?

    藤田: アドオンは常に何かしら使いながら作業していますね。アドオンの購入も積極的にしています。買ったものの内10%しか実際には使っていないのですが、Blender MarketBOOTHといったBlenderアドオンが購入できるサイトを日々訪れては色々と買い漁っています。

    CGW: なるほど。アドオンに関する情報収集はどうされているんですか?

    藤田: SNS上で #b3d や #blender3d といったハッシュタグで検索すると、アドオンの情報を発信しているアカウントが結構あるんです。そういった方の情報を参考にすることが多いですね。あとは目的から逆算する場合もありますね、作業中にこれどうすればいいんだろう?っていう壁にぶつかった時、検索してみると大抵それを解消するアドオンがあるんです。

    藤田将の推しアドオンその①: Pie Menu Editor

    Pie Menu Editor
    ダウンロードはこちら

    CGW: それでは藤田さんの”推しアドオン”1つ目を教えてください。

    藤田: はい、1つ目は「Pie Menu Editor」です。
    BlenderにはPie Menuという円形のメニューを表示してくれる機能があります。これを使いこなせるようになると作業効率が飛躍的に上がる機能なのですが、この「Pie Menu Editor」というアドオンを使用することで、自分用にこのPie Menu表示をカスタマイズすることが出来ます。僕は合計で10個のPie Menuを設定していて、エディターや視点の切り替えなど自分が良く使うものをPie Menuに割り当てています。

    藤田さんのPie Menu Editor設定

    (例:F22キーを押すとエディター関連のPie Menuが表示される設定)

    藤田: キーボードには通常ファンクションキーがF1~F12までしか無いんですが、実はWindowsのシステム上はF24まで存在しています。
    僕の場合はロジクールのG913というキーボードを使っていて、盤面左にある特殊キー5つにF20~F24を割り当てて活用しています。
    余談ではありますが、Pie Menu Editorと言いつつも下の画像の様にレクタングルタイプの表示も設定可能です。

    藤田将の推しアドオンその②: Tools for me

    藤田: 2つ目の”推しアドオン”は「Tools for me」(以下:TFM)というアドオンです。
    これ実は僕のオリジナルアドオンなんです、、、(笑)。

    CGW: おぉ!ご自身で開発されたんですね!

    藤田: そうなんです。自分で開発したBlender用アセットを配布する活動もしていて、TFMはその1つです。

    Tools for me
    ダウンロードはこちら

    藤田: TFMの機能の説明をさせて頂くと、インストールすると画像のようなサイドパネルが表示されます。このパネルに便利な機能が色々入っているというアドオンになります。
    例えばオブジェクトをZ軸に90度回転するといった操作には本来 【r+z+90】とキーボードに打ち込まなければならないんですが、このTFMではそのような変更がクリック1回で瞬時に行えます。そういった少し面倒な作業をボタン一つで解決できるアドオンがTFMです。僕はこのTFMとPie Menu Editorでかなり作業時間が短縮されているので、ぜひダウンロードして使ってみてください!

    藤田将の推しアドオンその③: Material Orgnizer

    藤田: 続いては「Material Orgnizer」というアドオンです。これはひろきちさんという方がBOOTHで配布されているアドオンで、愛用させて頂いてます。
    このアドオンを簡潔に説明すると、マテリアルの整理と掃除が一瞬で行えるものです。
    マテリアル整理から説明すると、シーン内で同じマテリアルが重複して使用されている場合にそれを判別し自動で整理してくれる機能になります。本来であればアセットの中身(マテリアル)を一個ずつ見ながら整理しなくてはならない作業をこれで大幅に削減できます。
    一方で、マテリアル整理はシーン内で使用されていないマテリアルをパージ(掃除)してくれる機能になっています。

    Material Orgnizer
    ダウンロードはこちら

    藤田将の推しアドオンその④: TexTools

    藤田: 定番アドオンですが、4つ目は「Tex Tools」を選びます。
    Blenderは勿論素晴らしいソフトではあるんですが、UV展開に関しては使いづらいという風潮があります。このアドオンはそういったBlenderにおけるUV展開の弱みをカバーするアドオンです。UVのリサイズや回転、整列など便利な機能が入っているのでBlenderを始めたての方はインストール必至のアドオンですね。

    Tex Tools
    ダウンロードはこちら

    藤田将の推しアドオンその⑤: EVC (Editing Vertex Color)

    藤田: 5つ目に選ぶのは「EVC」という頂点カラーを編集しやすくするためのアドオンです。
    頂点カラーは3DCGでは地形の色分けやキャラモデルの影を付けたりといった様々な用途で使用されます。
    Blenderのデフォルトの機能だと【3Dビューポート→頂点ペイント】で頂点カラーを塗っていきますが、これだと面を選択して塗り辛いといった弊害があります。EVCを使うと面での色塗りが容易になる他に、色の加算・減算を行えます。このように機械的に色の調整を行うことが出来るのはこのアドオンを使うメリットですね。

    EVC
    ダウンロードはこちら

    CGW: 藤田さん、”推しアドオン”のご紹介ありがとうございました!藤田さんの作品を拝見すると、細部まで凝られた造りになっていて膨大な作業量が目に浮かんでくるようですが、今回挙げられた「Pie Menu Editor」や「Tools for me」などのアドオンで作業効率を上げられているんですね!藤田さんの個性が出た5選でした。
    藤田さん、ありがとうございました!

    藤田: ありがとうございました!皆さんもぜひ今回ご紹介したアドオン使ってみてください!

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    TEXT&EDIT_宮澤開吾 / Kaigo Miyazawa