UNDEFINEDメンバーが語る自作PCの魅力。「ProArt X670E-CREATOR WIFI」 「AMD Ryzen 9 7950X3D」のパフォーマンスをレビュー。
クリエイターだからこそ、CG・映像制作に欠かせない大事な仕事道具のPCにはこだわりたい。そんなとき選択肢に入るのが、自らパーツを選び組み上げる「自作」だ。ここでは、話題のMVや広告でCG業界を席巻する映像制作チームUNDEFINEDのメンバーのうち、特に自作PCを好むNAKAKEN氏とMarirui氏の2名に取材を実施。PC自作のメリットから最新PCパーツのレビューまで、広く話を伺った。
仕事道具を深く知り愛機を楽しく育てる「自作」
NAKAKEN氏は現在21歳。大学に籍を置きながらUNDEFINEDでアートディレクターなどを任される存在だ。「アブストラクトな3DCG制作が好きでずっとやっているんですが、ファッションやアートもすごく好きで、映像の色彩設計や画面デザイン、MVでは衣装も選定したりと担当範囲が広がってきました」。Marirui氏はUNDEFINEDでは主にディレクターを務める機会が多く、VFXから3DCGまで広く手がける。「最近ではFPVドローンで撮った映像の背景にVFXを施すような仕事もしています」。メインツールはUNDEFINED内での共同作業の効率化を考え、Cinema 4DとOctane Render、After Effectsで統一し、要所要所でBlenderを利用しているという。
PCの自作が好きだというふたりは、共に2017年頃から制作用PCは全て自作。ただし自作の方法には若干違いがあり、NAKAKEN氏は基本的にパーツ単位で入れ替えていくスタイルで、Marirui氏は丸ごと買い換えるスタイルだという。
PCの自作は「プラモデルづくり」に例えられることもあるが、実際はどうなのだろうか。「どちらも組み立てるというところは共通しています。ただ、プラモが“器用さ”を求められるのに対して、自作はパーツやスペックについての“調査力”が求められるという違いがあります」(NAKAKEN氏)。Marirui氏は「プラモにこだわる人は改造したり塗装を工夫したりして楽しみますよね。自作PCも外から中までこだわることができるので、その点ちょっと似ています。
僕は2台目のPCを組んだ時に、デザインが良いケースやパーツを選んで、インテリアとしても楽しめるPCにしました。そういうPCが仕事場にあるとクリエイティビティを刺激されますよ」と話す。PCの自作を通じて、パーツの知識は確実にモノにできる。そしてスペックの意味するところが理解できるようになれば、知識がCG・映像制作にも活きてくる。「GPUレンダリングでエラーが出たときにGPUについて知っていれば、どの部分が悪さをしているかトラブルシューティングができます」(Marirui氏)。
クリエイターの要求に応える「ProArt X670E-CREATOR WIFI」
ASUSが手がけるクリエイター向け「ProArt」ブランドの最新マザーボード、ASUS ProArt X670Eも自作PC界隈で特に注目を集めているパーツのひとつ。
ふたりは、そのスペックはもちろん、とりわけその高いデザイン性に注目した。「ここまで洗練されたデザインのマザーボードは珍しいです。高級自動車と一緒で、見えないところのデザインがしっかりしていて、やっぱりプロ用だなと。地味なところまでクリエイターに親身に寄り添ってつくったマザーだと思います。僕は最初に組み上げたPCのケースが透明なクリアケースなんですが、例えばそういうケースで自作すれば、このマザーボードのデザイン性がさらに活きてくるでしょうね」とNAKAKEN氏は語る。
スペック面では特にUSBポートの豊富さに触れたMarirui氏。「3台目を自作するときに視野に入れていたマザーボードです。特にUSBポートが多いところが嬉しい。実務では、MVであれば撮影素材やプロジェクトデータのSSDが別々に提供されたりすることが多いですし、クリエイターなら左手デバイスで1ポート使う人も多いでしょう。ほかにも、ペンタブや液タブを繋いでいけばあっという間にUSBが埋まります」と本製品の魅力を話す。
NAKAKEN氏も同意見だ。「ライブ関係の案件では、クリエイターがPCをライブ会場に持ちこんで、現場で映像を確認しながらつくってしまうことも多いです。そういうところではモニタから何からUSBで繋ぐので、10ポートぐらいは平気でなくなります。まさにプロ仕様のボードですね」。そのほか、PCIe 5.0規格のM.2、10Gbps LANなど最新規格をまんべんなく採用したその死角のないつくりを、ふたりは高く評価した。
高速かつ安定した性能の「AMD Ryzen 9 7950X3D」
そして今、自作PC界隈で話題を呼んでいるのがAMDの最新CPU、Ryzen 9 7950X3D。16コア32スレッド、最大5.7GHz、144MBの大容量キャッシュ、120W TDPという驚異的なスペックを誇る製品だ。3DCGツールにおいては、特にシミュレーション関連機能がCPUのコアに依存する場合が多く、CPUはGPUと同様に妥協できないパーツとなる。
今回、NAKAKEN氏がこのRyzen 9 7950X3Dをテスト。Blackmagic Disk Speed TestとCinebenchによるベンチマークを実施した結果、かなりのスコアをたたき出したという。「Disk Speed Testは、動画の書き出しやグレーディングをいかに高速処理できるかがわかるツールです。テスト機はCrucialのM.2 SSDを使っているということもあって、読み書きがものすごく速かったですね。Cinebenchのほうもすごくて、シングルコアもマルチコアも、これまでのCPUスコアを遥かに凌駕していて、さすがだなと。120W TDPという低電力でこの性能を実現できるというのもすごいですね」(NAKAKEN氏)。
Marirui氏も「クロック数をブーストしてもクロック数が安定しているというところが大きな特徴だと思います。レンダリング中にパフォーマンスが落ちて、当初予定していた時間よりレンダリングが延びてしまったといった、従来からの悩みが軽減されそうです」と話した。Ryzen 9 7950X3Dの高い性能を安定して運用できるASUS ProArt X670EMとの組み合わせは、仕事のスピードアップと安心感につながるようだ。
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