今年5月10日(金)に第1幕が公開された『コードギアス 奪還のロゼ』。6月7日(金)からは第2幕も公開中だ。今回は第1幕の内容をメインに、「Zi-アポロ」など3DCGで描かれたナイトメアフレームのモデリングからアニメーション付けまでを詳しく紹介する。
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ケレン味のあるKMFのアニメーションとスピナーによる土煙のエフェクト
本作のアニメーションはCG先行でレイアウトを組み、ラフな動きを付けて大橋監督に提出し、チェックを経てアニメーション工程へと進むのが基本スタイルだ。CGアニメーションではレイアウトの後で、動きの部分の情報をブラッシュアップさせていくことが一般的だが、本作では作画アニメの制作スタイルに倣い、レイアウト段階で画面をつくり込む必要があった。
笠原氏は「絵コンテそのままにレイアウトを組むとNGになることが多かったです。そのシーンやカットの意図をきちんと解釈してレイアウトで表現することが求められました」と話す。重田氏はここでも作画監督のような役割を担い、紙の上でレイアウトやポージングの修正を描き加えていった。「レイアウトチェック時に、メカをキャラクターとして扱うのが大事だというアドバイスをいただきました」(笠原氏)。
また、武右ェ門のスタッフはアニメーション付けの勉強のため、大橋監督らと共にジャパンアクションエンタープライズを訪れた。アクション芝居やローラースケートで走る姿はKMFの動きの方向性を共有する上で役立ったという。
後方に飛び上がるアポロの個性的なカット
アポロがランドスピナーを支点として重心を支え、後方に飛び上がる連続カット(第2話CUT-180、181)。スピナーを僅かに走らせただけで後方に大きく飛び上がれるほどのピーキーな性能をもった機体であることがわかる。またこの機体を扱うアッシュの操縦技術の高さも同時に表現されている。レイアウトを低くとっていたり、走り出しの地面の破片エフェクトから機体の動きの迫力を増したり、飛び上がった際のカメラワークで跳躍性能を表現したりと、様々な技法が駆使されたカットだ。
アポロのしゃがみ込むポージング
アポロがダッシュに向けてしゃがみ込むポージング(第2話CUT-341)。中腰の状態から一気にしゃがみ込み、力を溜めてダッシュを開始する。シルエットの格好良さはもちろん、しゃがみ込み時の手足の複雑なポージングはセットアップの賜物だ。「アポロの低い姿勢の格好良さと、タイヤが横滑りの後にがっちりと地面とかみ合ったときに一気に前に突進していく、力強さが出せたかと思います」(笠原氏)。
操縦者・アーノルドのキャラクター性の表現①
ネオ・ブリタニアのKMF・ヴァルプニルがジャンプから着地するカット(第2話CUT-247)。所作やポージングから操縦者・アーノルドのキャラクター性が表れている。「アーノルドはナイトメアを上手く扱えていると思っていて、格好をつけている人物」というキーワードを基にポーズを付けた。また、左右のスピナーは、ひらりと落ちるマントのように見せている。演出サイドからも「騎士のようなポーズがアーノルドらしさを表している」と好評だった。
操縦者・アーノルドのキャラクター性の表現②
同じく、アーノルドが搭乗するヴァルプニルがアポロの前に立ちはだかるカット(第2話CUT-333)。作画打ち合わせの際、「アーノルドはアッシュに対してコンプレックスを抱いている」というキャラクター性の説明があったという。表情が表れないメカの顔であっても、その性格をアニメーターが解釈しレイアウトで見せる演技。「この壁は突破できまい!」というセリフに合わせてアップになる最後の2枚の画像は、まるでドヤ顔をしているかのようだ。演出の石井章詠氏からも早い段階でOKテイクをもらうほど好評だったという。
アポロとヴァルプニルが対峙するカット
アポロとヴァルプニルが空中で激突するカット(第2話CUT-246)も重田氏からのアドバイスによって大きく迫力が増した。
KMFのスピナーによる土煙のエフェクト
本作におけるエフェクトは基本的に作画だが、スピナーによる土煙など一部は3DCGで作成されている。
CGWORLD 2024年6月号 vol.310
特集:ローポリから始める3DCG
判型:A4ワイド
総ページ数:112
発売日:2024年5月10日
価格:1,540 円(税込)
TEXT_日詰明嘉 / Akiyoshi Hizume
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota
EDIT_海老原 朱里 / Akari Ebihara(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada