3Dモデル生成AI「Tripo」を手がけるアメリカVast社清華大学の研究チームは4月20日(日)、自動リギング技術「UniRig」をオープンソースプロジェクトとしてGitHubで公開した。スケルトンの階層構造をトークン化する新手法、大規模自己回帰(Autoregressive)モデル、ボーンとメッシュ頂点のクロスアテンション、14,000超の幅広い3Dモデルのリギングデータでトレーニングした大規模データセットなどにより、人型キャラクターから動物、鳥、魚、メカに至るまで、高精度の自動リギングを実現するという。

「UniRig」フレームワークは2ステージで構成されている。

第1ステージは「スケルトン階層予測」(Skeleton Tree Prediction)。3Dメッシュからサンプリングされたポイントクラウドを入力し、GPTベースのTransformerが自己回帰(Autoregressive)によりジョイントをひとつずつ生成し、完全なスケルトン階層を構築する。

第2ステージは「スキンウェイト予測」(Skin Weight Prediction)。ボーンとメッシュ頂点のクロスアテンション(Bone-Point Cross Attention)メカニズムを用いて、ポイントクラウドから抽出した特徴とスケルトン階層を結合して処理する。そして、予測によりセットアップしたリグでメッシュをアニメーション化する。

▲UniRigフレームワークの概要。上が第1ステージ、下が第2ステージ
▲14,000超の幅広い3DモデルのリギングデータでトレーニングしたRig-XLデータセット

UniRigはVast社が開発に携わった技術であることから、同社開発の3D生成AI「TripoSR」とシームレスに連携する。モデル生成からリギング、アニメーション作成までを5分以内に完了させることも可能だという。また、4月12日に公開した3Dモデルをパーツごとに分解し生成できる「HoloPartと組み合わせることで、部品レベルのモデル編集とスケルトン生成が可能となる。

▲TripoSRによる3Dモデル生成サンプル

また、VRoidデータセットを使用したスプリングボーン(髪や服向けの特殊ボーン)への最適化も行われており、アニメキャラらしいモーション生成を実現できる。VRM・VRoidモデルを利用したVTuberのセットアップでは、自動リギングによって準備期間を大幅に短縮でき、ライブ配信でも自然な動きをリアルタイムで反映できたという。

現在、UniRigのスケルトン予測モデルがすでにオープンソース化されているが、スキニングウェイト予測モデル、Rig-XL(大規模データセット)とVRoidデータセット、Rig-XLおよびVRoidでトレーニングされた完全なUniRigモデルチェックポイントについても、近日公開予定としている。

なお、Vast社は2025年第3四半期を目処に、BlenderとMaya用プラグインの無償提供、Unreal Engine 5用リアルタイムリギングモジュール、カスタマイズ可能なリギングテンプレート提供などを予定している。

■One Model to Rig Them All: Diverse Skeleton Rigging with Unirig(プロジェクトページ、英語)
https://zjp-shadow.github.io/works/UniRig/

■One Model to Rig Them All: VAST/Tripo Introduces UniRig for Diverse, Automated 3D Rigging(Tripo Blog、英語)
https://www.tripo3d.ai/blog/unrig-automated-3d-rigging

■UniRig: One Model to Rig Them All(GitHub)
https://github.com/VAST-AI-Research/UniRig

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