ドイツAbstract社は7月22日(火)、3Dテクスチャリング・マテリアル制作・アセット開発の統合ツール「InstaMAT 2025」をリリースした。レイヤー参照とマスクフィルタ、物理ベースの地形生成システム、カーブベースの詳細なペイント、高度なベイク機能、リアルタイムレイトレーシング、マテリアルライブラリの拡張などを実装している。条件付き無料ライセンス「パイオニア(Pioneer)」を始め、6種類のライセンス形態を用意する。

テクスチャリングと地形生成

InstaMAT 2025では、レイヤー参照とマスクフィルタによりレイヤー構造が強化。下位レイヤーを参照してグランジやエンボス加工などの複雑な効果をプロシージャルに適用できる。新しいカーブブラシやノードを使用して、メッシュ上に複雑な形状や線をリアルタイムで作成して詳細なペイントを行うこともできるようになった。

▲レイヤー参照

また、プロシージャルなノードベースのワークフローを使用した地形生成システムも新搭載。物理ベースのシミュレーションによって地形や侵食、バイオーム生成なども行える。

▲地形生成システム

レンダリングとベイク機能の強化

新しいInstaMATのビューポートでは、リアルタイムレイトレーシングとGI(グローバルイルミネーション)が表現できるほか、トランスルーセンシーも改善。また、新しい曲率ベイカーによって高品質な曲率マップを生成できるようになった。

▲リアルタイムレイトレーシング
▲新しい曲率ベイカー

アセットの拡充とPolyverseでのコラボレーション

アセットライブラリには1,000以上のPBRマテリアル250以上の新しいアセット(スタイライズされたマテリアルやデカール、フィルタなど)が追加された。また、同社のクラウドベースのアセット管理・3Dデータ処理サービスPolyverse」とInstaMATが統合され、共同作業やバージョン管理、ARプレビューが行えるようになった。

▲1,000以上のPBRマテリアル
▲Kuwaharaモードを備えたスタイライズフィルタノード
▲Polyverse

■InstaMAT
https://instamaterial.com/

■InstaMAT 2025 Prepares to Launch with Powerful New Features and Scalable Workflows(公式リリース)
https://instamaterial.com/2025/07/16/instamat-2025-prepares-to-launch-with-powerful-new-features-and-scalable-workflows/

InstaMATのライセンス形態

InstaMATは、年間収益が10万ドル未満の個人・企業がInstaMATのロゴ表示やデータ共有を条件に無料で利用できる「パイオニア(Pioneer)」をはじめ、「個人およびスタートアップ企業」、「永久」、「プロ」、「ゲーム(スモール、中型、AAA)」、「エンタープライズ」という全6種類のライセンス形態を用意している。


「個人およびスタートアップ企業」は年間収益25万ドル未満の個人・企業が対象で、年99.99ドル(約15,070円)。買い切りの「永久」は2年間のアップデート保証が含まれ、489.99ドル(約73,860円、インディー)または949.99ドル(約143,200円、プロ)。

Abstract社について

Abstract社は3DCGとAI技術にフォーカスしたソフトウェアを開発するドイツの企業。3Dテクスチャリング・マテリアル制作・アセット開発の統合ツール「InstaMAT」をはじめ、CADデータを3Dに変換してジオメトリを最適化し、3Dパイプラインを自動化するツール「InstaLOD」、クラウドベースのアセット管理・3Dデータ処理サービス「Polyverse」、リアルタイムコラボレーションが可能な3Dエンジン「RSX Engine」を提供している。

■Abstract社Webサイト
https://theabstract.co/

■Abstract社のXアカウント
https://x.com/theAbstract_co

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