5月初旬にドイツ・シュトゥットガルトで開催されたHoudini公式のプレゼンテーションイベント「FMX2025」において、Pepe Buendia氏Agustin Gonzalez氏が登壇したセッション「Fibric : Procedural Clothing Creation」の録画動画が5月23日(金)、Houdini公式YouTubeで公開された。

「Fibric」は2025年1月にBuendia氏とGonzalez氏が発表した「Cloth Curve Toolset in Houdini」「USD Render Time Procedural」をアップデートしたツールセットとなる。

●(参照記事)カーブを使ったHoudini用衣服作成ツールセットによる軽快なクロスシミュレーション! 「USD Render Time Procedural」

https://cgworld.jp/flashnews/202501-Houdini-Cloth-Curve.html

Fibricでは、ファブリックパターン制作とコントロール、リアルなダメージの追加、ステッチ、ディテールの微調整、ダイナミックな衣服のラッピングなどに対応。堅牢なUSDサポートワークフローの中、Karma XPUが数百万ポイントを数秒で処理し、迅速なルックデヴを可能にする。

Fibricの基本的なワークフローは、メッシュのUV展開を利用してパターンを適用し、それをメッシュに戻すというもの。このとき、メッシュカーブが直接生成されるのではなく、ビューポートではOpenGLプレビューによりカーブとして描画されるのが特徴となる。

▲メッシュのUV

▲UVを展開してパターンを適用する

  • ▲メッシュに戻す
  • ▲ビューポートではOpenGLプレビューによりカーブとして描画
▲レンダリング結果

主要なファブリックタイプとして織り(weaving)と編み(knitting)の2種類が用意され、織りでは白黒のダイアグラムからのパターン生成、画像ライブラリの利用、からの選択、COPsによるペイント、編みでは行ごとの編み方向の反転やカーブを使ったカスタムニット、ボロノイフラクチャーワークフローを統合したカスタムパターンなど、多様なアプローチを備える。

▲織り(weaving):白黒のシンプルなダイアグラムからのパターン生成
▲編み(knitting):ボロノイフラクチャーワークフローを統合したカスタムパターン

衣服にダメージ(破れやノイズ)を加えることもできる。全カーブに均等にノイズを加えたり、カーブ単位でノイズをオフセットさせたり、マスクを使って破れをつくり、破れたエッジに毛羽立ちを追加することもできる。

▲マスクペイントにより破れ箇所を作成
▲破れたエッジに毛羽立ちを追加

動画内ではその他、パターンの詳細なコントロール方法、多様なステッチ作成方法、複数の繊維(マルチファイバー)を重ねる方法、ディスプレイスメント、ファズ(Fuzz、毛羽立ち)など、Fibricの強力な機能群がいくつも紹介された。

さらに動画後半ではキャラクター「Leena」のブレイクダウンを通して、Fibricでの衣装制作の具体的なワークフローを紹介。パンツやスカート、ケープなどの各衣服のパターン作成と、ステッチやディスプレイスメント、ダメージ、ファズの適用、シェーディングなどを詳説していた。

▲ブレイクダウンが紹介されたキャラクター「Leena」

Fibricの一般提供に関する情報は現時点では明らかになっていないが、Agustin Gonzalez氏は自身のArt Stationで、ユーザーからの質問への返信として「yes it will be released!」とコメントしている。

■Fibric : Procedural Clothing Creation(Agustin Gonzalez氏のArt Station)
https://www.artstation.com/artwork/lG5RQO

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