Adobeは3月11日(火)、同社Substance 3Dファミリーのテクスチャリング用3Dペイントツール「Substance 3D Painter 11.0.0」をリリースした。リアルタイムのアセット更新、塗りつぶしパスツール、パスツールの改良、新しいフィルタ、ベイク用オートケージ生成、エクスポートワークフローの合理化などの新機能を実装している。

リソースの自動アップデート機能

Substance 3D Painter内で使用中のアセットファイルを別のツールで修正保存した際に、自動で最新の状態にアップデートされる機能が追加。画像ファイルやIllustratorファイル、Substance 3Dマテリアルなどについて、常に最新バージョンを反映することができる。なお、更新のチェック頻度はパフォーマンスへの影響に応じて変更可能だ。

▲自動アップデート機能の有効化方法

塗りつぶしパス(filled path)ツール

3Dモデルのサーフェスに描画した閉じたパスの中を均一な色で塗りつぶす「塗りつぶしパス(filled path)ツール」を搭載。オブジェクトの境界をまたいでもパスを描くことができ、塗りつぶしは自動的にサーフェスに適応する。なお、プロパティウインドウ内でパスタイプの切り替えやパスの複製が簡単に行えるようになった。

パスツールの使い勝手が向上

Substance 3D Painter 11.0.0ではパスツールの使い勝手が向上した。パスの編集中に新しい点をカーブ末尾に追加した場合、パスがどういう挙動を示すかを点線で示すパスのプレビュー直線パスの作成、角度スナッピング、新たに追加されたスナッピング機能による3Dモデルの頂点に対するポイント配置(頂点・エッジ・エッジ中央の3モードを選択可能)、コンテンツからマスクへのパス頂点位置のコピーパス頂点の回転と拡大縮小現在選択中のパスにフォーカスなど、細かな改善により操作性が向上している。

▲塗りつぶしパスツールとパスツールの改善

6種類の新フィルタとテクスチャジェネレータ

バージョン11.0.0には6種類の新しいフィルタが追加された。ペイントしたようなルックを実現するStylization(スタイライゼーション)、色数を削減するQuantize(クオンタイズ)、ノイズ低減やテクスチャのスタイライズを適用するAnisotropic Kuwahara(異方性クワハラ)、2D空間上で特定の方向にピクセルを伸ばすDirectional distance(指向性ディスタンス)、従来のベベルフィルタを置き換えるBevel smooth(ベベルスムース)、Grayscale conversion(グレースケール変換)が用意されている。

▲Stylization(スタイライゼーション)フィルタ

また、テクスチャジェネレータとしてScratches generator(スクラッチジェネレーター)、Tile Random(タイルランダム)が追加されたほか、ノイズとしてTriangle Grid(トライアングルグリッド)、Voronoi(ボロノイ)、Voronoi Fractal noises(ボロノイフラクタルノイズ)も追加。なお、ほとんどのノイズは最新版Substance 3D Designerに更新されている。

▲6種類の新しいフィルタ(Stylization、Quantize、Anisotropic Kuwahara、Directional distance、Bevel smooth、Grayscale conversion)のチュートリアル
▲Stylization(スタイライゼーション)フィルタのチュートリアル

ハイポリからローポリへのベイクにおけるオートケイジ機能(テスト実装)

ハイポリメッシュのディテールをローポリメッシュにベイクする際、ケージモードとして新たに「Automatic(自動)」オプションを選択できるようになった。このオプションはアーティファクトの回避を期待するものとなる。なお、本機能は試験的に実装されるもので、今後アルゴリズムの改善を予定している。

エクスポートワークフローの統一

ゲームエンジンやレンダリングツール、3Dプリントなど、異なるワークフローにアセットを送信する際のエクスポートウィンドウが統一された。
その他、Mac OS版ではOpenGLからMetalグラフィックAPIによるレンダリングに移行し、Intelサポートが終了する。
全更新内容はこちら。
■Substance 3D Painter Version 11.0(Release notes、英語)
https://helpx.adobe.com/substance-3d-painter/release-notes/version-11-0.html

■Create faster, export smarter: What’s new in Substance 3D Painter(Adobe Blog、英語)
https://blog.adobe.com/en/publish/2025/03/17/create-faster-export-smarter-whats-new-in-substance-3d-painter

CGWORLD関連情報

●3Dスキャンツール「Substance 3D Sampler 5.0」リリース! 新レンダラ、HP Z Captisとの統合、ワークフローの最適化など

Adobeが3Dスキャンツール「Substance 3D Sampler 5.0」をリリース。レンダラが新しいマテリアルプロパティとパストレーシングをサポートしたほか、主要なワークフローをワンクリックで開始してレイヤースタックを作成できるクイックアクションボタン、HPとAdobeが共同開発したマテリアルキャプチャデバイスシステム「HP Z Captis」との統合などを実装している。
https://cgworld.jp/flashnews/202503-SubstanceSampler50.html

●「Substance 3D Modeler V1.19」リリース! 新アセットワークフロー導入、3Dプリミティブの新パラメータ追加など

Adobeがデスクトップ&VR対応モデリングツール「Substance 3D Modeler V1.19」をリリース。エクスポートモードに新しいアセットワークフローとして「Projecct Assets」が導入されたほか、プリミティブのShell(空洞)パラメータ、インポートメッシュのアダプティブなサブディビジョンなどを新たに搭載している。
https://cgworld.jp/flashnews/202502-Substance-Modeler119.html

●「Substance 3D Designer 14.1」リリース! 親スプラインに沿ってスプラインを分配配置できるScatter Splines on Splinesノードや新ツール群が追加

Adobeがノードベースのプロシージャルテクスチャ作成ツール「Substance 3D Designer 14.1」をリリース。スプラインを利用した成長や分布の表現が可能なScatter Splines on Splinesノードの追加やMask to Pathsノードの強化など、スプラインとパス機能が更新された。また、Node Alignment(ノード整列)ツールやColor Sampler(カラーサンプラー)ツールの追加、パラメータのコピー&ペースト、ノード検索ツールの改良なども実装されている。
https://cgworld.jp/flashnews/202501-SubstanceDesigner141.html