イギリスPlaycanvas社は11月10日(月)、オープンソースのWeb向けゲームエンジン「PlayCanvas Engine」の最新バージョン、v2.13.0をリリースした。3DGS向けストリーミングLODシステムが導入されたほか、出現・隠蔽・着色・ブルームといったエフェクトを適用できるSplat shader effectsフレームワークが実装されている。GitHubでのソースに加え、オンラインデモサイトも用意されている。

PlayCanvas Engineは、Webブラウザ上での動作に特化した、無料かつオープンソースの3Dエンジン。WebGLおよびWebGPU技術を基盤とし、開発者はブラウザだけで高品質な3Dゲームやインタラクティブなコンテンツを構築・公開できる。

PlayCanvas Engine v2.13.0では、特に3DGS(3D Gaussian Splattings)に関連する機能が強化された。あらゆるスケールのSplatデータを動的に読み込み管理できる「Streamed LOD(Level of Detail)」システムが導入され、大規模な3DGSシーンでも、パフォーマンスを維持したまま表示することが可能となっている。

▲Splatデータを動的に読み込み管理するStreamed LOD(Level of Detail)システムのサンプル「LOD STREAMING」
▲見る角度によって変化する色の表現に用いるSpherical Harmonics(球面調和関数)データ表示も備えた「LOD STREAMING SH」

また、3DGSに対して出現(Reveal)、隠蔽(Hide)、着色(Tint)、ブルーム(Bloom)といった視覚効果を適用するためのフレームワーク「Splat shader effects framework」が新たに追加された。

▲Splat shader effects frameworkを利用した出現エフェクトのサンプル「REVEAL」
▲Splat shader effects framework全種のテストが可能なサンプル「SHADER EFFECTS」

その他、複数のSplatデータが含まれる大規模シーンにおいて、描画順序を全体的に整列(sort)する機能が実装された。これにより、レンダリングの一貫性とパフォーマンスが向上している。

■PlayCanvas Engine(GitHub)
https://github.com/playcanvas/engine

■PlayCanvas Engine v2.13.0リリースログ(GitHub)
https://github.com/playcanvas/engine/releases/tag/v2.13.0

■PlayCanvas Engine 日本語 README(GitHub)
https://github.com/playcanvas/engine/blob/main/README-ja.md

■PlayCanvas Examples(オンラインデモ)
https://playcanvas.vercel.app/#/misc/hello-world

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