オランダのテクニカルアーティスト・Thomas Kole氏は11月10日(月)、同氏プロジェクト「a Portrait of Tenochtitlan(テノチティトランの肖像)」において、アステカ帝国首都「テノチティトラン」のデジタルアーカイブのBlenderファイルをオープンソース(CC BY 4.0)で公開した。同サイトではBlenderファイルのダウンロードが行えるほか、ブラウザ内の3Dビューアによる閲覧が可能。

The Blender file of the 3D viewer of Tenochtitlan is released. You can download it from the main website.
It's like a digital twin, made for tinkering. It has a lighting and material setup to get you started. It renders in both Cycles and EEVEE


テノチティトランの3DビューアのBlenderファイルが公開されました。メインサイトからダウンロード可能です。
これはデジタルツインのようなもので、あれこれいじって遊べる(tinkering)ようにつくられています。すぐに始められるようライティングとマテリアルも設定済みです。CyclesとEEVEEの両方でレンダリングできます


a Portrait of Tenochtitlan」は、かつてメキシコ盆地の湖上に栄えた壮大な水上都市「テノチティトラン」をデジタル上で復元するプロジェクト。Kole氏は本プロジェクトを単なる建築物の復元に留めることなく、1518年当時の都市の“空気感”までも再現しようと試みている。標高2000メートルを超える盆地に位置し、ポポカテペトル山などの雄大な火山を背景にしたこの都は、整然としたグリッド状の区画、市場、学校、そして神殿群によって構成された高度な階層社会だったという。

▲ブラウザ内でテノチティトランを探索できるInteractive 3D Viewer

本プロジェクトは、テノチティトランの現在の姿であるメキシコシティとの比較も行えるようになっている。この仕組みの実現にあたっては、メキシコの地理エンジニアAndrés Semo氏によるドローン撮影写真を活用し、現在の都市風景と16世紀のテノチティトランを同アングルで重ね合わせることで、埋もれてしまった過去の姿を浮かび上がらせたという。

Interactive 3D Viewerサイト下部のDownload the Fileリンクより、オープンソースのBlenderファイルをダウンロードできる。提供されるデータは高解像度の静止画レンダリング用データそのものではなく、実験や学習用に軽量化されたバージョンで、ライティングやマテリアルの設定が済んでおり、すぐにCyclesまたはEEVEEでレンダリングが可能。なお、カメラアングルの変更や独自の改変は推奨されている。商用利用にあたっては、「クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際(CC BY 4.0)」に従って適切なクレジット表記を行う必要がある。AIの学習データとしての利用は禁止されている。

■a Portrait of Tenochtitlan Interactive 3D Viewer
https://retratodetenochtitlan.mx/

■a Portrait of Tenochtitlanプロジェクトサイト
https://tenochtitlan.thomaskole.nl/

■Thomas Kole氏公式サイト
https://thomaskole.nl/index.html

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