3Dアーティストのucupumar(Yusuf Umar)氏は11月10日(月)、オープンソース(GPL-3.0ライセンス)のテクスチャペイントBlenderアドオン「Ucupaint 2.4.0」を、そして11月18日(火)にはバージョン2.4.1を、GitHubBlender Extensionsでリリースした。デカールとディスプレイスメントをハイト基準のブレンドで組み合わせることが可能になったほか、Blender 4.2以降で導入されたExtensions Platformに対応した。利用可能なBlenderのバージョンは4.2 LTS以降。

▲デカールコンストレイント機能

Ucupaintは、ノードベースではなくレイヤーベースの操作系によりテクスチャペイントを行えるアドオン。バージョン2.4.0では、Blender 4.2以降のExtensions Platformに対応し、Blender内で直接Ucupaintをインストール・更新できるようになっている。

▲プリファレンスの「エクステンションを入手」から直接インストールが可能に

機能面ではデカールとジオメトリ操作が統合され、デカールオブジェクトをターゲットの表面に吸着させる機能をデモとして実装。曲面へのロゴやネジの配置が直感的に行えるようになった。

▲デカールコンストレイントをオンにすることでデカールがサーフェスに貼り付く

そして、VDM(Vector Displacement Map)スカルプト時に、ミラー設定(Mirror U/V)が有効であれば、一時的にミラーモディファイアを適用してスカルプトできるようになった。また、ノーマルチャンネルに追加されたオペレータにより、全VDMレイヤー情報をMultiresolutionモディファイアーへ適用できるようになり、ペイントとして描いた凹凸情報をハイポリゴンメッシュに変換・定着させることができるようになった。

マスク処理とベイク機能にも更新が施され、アルファチャンネルが独立して扱えるようになったほか、別のオブジェクトの色情報をソースとしてベイクし、マスクとして利用できるようになった。

▲アルファチャンネルが独立
▲アルファチャンネルを使って金網の画像から金網以外の部分を透過させた様子

また、アーティファクト予防の観点から、ハイポリからローポリへのノーマルベイク時、レイが衝突しなかった部分を透明として扱うオプションが追加された。さらに、レイヤーやマスクのベイク処理においてOSL(Open Shading Language)が利用可能となっている。

▲バージョン2.4ではucupumar氏を金銭的に支援できるSponsorsパネルも追加

バージョン2.4.1では、UIの描画処理が最適化され、特にレイヤー構成が複雑なシーンで最大で5倍の高速化を実現した。従来発生していたレイヤー操作やパネルのナビゲーション時のラグ(遅延)が大幅に軽減されたという。

▲バージョン2.4.0と2.4.1の速度比較

■Ucupaint(Blender Extensions)
https://extensions.blender.org/add-ons/ucupaint/

■Ucupaint(GitHub)
https://github.com/ucupumar/ucupaint

■Ucupaint Documentation(英語ドキュメント)
https://ucupumar.github.io/ucupaint-wiki/

■Ucupaint 2.4.0 Release Notes(GitHub)
https://github.com/ucupumar/ucupaint/releases/tag/2.4.0

■Ucupaint 2.4.1 Release Notes(GitHub)
https://github.com/ucupumar/ucupaint/releases/tag/2.4.1

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