Nekki社は11月29日(土)、アニメーション制作ツール「Cascadeur 2025.3」をリリースした。レンダリングエンジンの刷新やAIによる中間フレーム生成機能の強化、四足歩行キャラクターへの対応など、多岐にわたる機能向上が図られている。四足歩行のみ有料サブスクリプションのProプラン以上が必要で、その他の機能は無料のFreeプランでも利用できる。
Cascadeur 2025.3 is live! Big update with AI interpolation, Filament renderer, quadruped support, and improved physics tools.
— Inbetweening is now AI interpolation
— Filament (experimental, Windows): HDRI, lighting, materials
— Quadrupeds (alpha): Quick Rigging + AutoPosing (Pro only)
— Physics: Angle Constraints in Ragdoll + improved Point ConstraintCascadeur 2025.3 リリース! AI補間、Filamentレンダラ、四足歩行対応、そして物理ツールの改良を含む大型アップデートです。
— Inbetweening(中間フレーム生成)がAI補間に移行
— Filament(実験的機能、Windowsのみ):HDRI、ライティング、マテリアルに対応
— 四足歩行(アルファ版):Quick Rigging+AutoPosing(Pro版のみ)
— 物理演算:ラグドールへの角度制限(Angle Constraints)追加+Point Constraintの改良
Cascadeur 2025.3では、Googleのオープンソース(Apache-2.0ライセンス)のリアルタイムPBRエンジン「Filament」が試験的に導入された。ビューポート上で環境光や影、アンビエントオクルージョンといった表現が可能となっている。ただし現段階ではWindows版のみでの提供。
Inbetweening(中間フレーム生成)機能も大幅に見直され、本バージョンからは補間タイプのひとつとして統合され、タイムライン上でより柔軟に扱えるようになった。AIによるスタイル指定が可能となり、特定のアニメーショントラックにのみ適用するといった精密な制御も実現。さらに、四足歩行キャラクターのサポートが強化され、Quick Riggingツールに専用タブが追加されたほか、Pro版以上のユーザー向けに四足歩行用のオートポージング機能も実装している。
ラグドールシミュレーションにおいては、関節の角度制限(Angle Constraints)が設定可能となり、キャラクターがあらぬ方向に曲がってしまう現象を防げるようになった。また、Quick Riggingツールがツイストボーンに対応し、Daz StudioやCharacter Creatorなどで作成した複雑なリグのキャラクターセットアップが容易になっている。
■Cascadeur 2025.3 Release Note(英語)
https://cascadeur.com/help/category/303
Cascadeurとは
Cascadeurは、物理学に基づいた挙動をシミュレーションすることで、3DCGキーフレームアニメーションの作成を支援するスタンドアローンツール。AIがポーズや重心のバランスを補助するため、モーションキャプチャデータを用いない手付けアニメーションでリアリティのある身体表現を作成できる。
■Cascadeur公式サイト
https://cascadeur.com/
プランと価格
Cascadeurには、無料のFreeプランのほか、Indie、Pro、Teamsの3種有料プランが用意されている。Freeプランにはアニメーション作成ツール一式、リギング、物理演算ツール、AIによる補間機能(Inbetweening)など、制作に必要な基本機能が含まれているが、ファイルの出力は独自の.casc形式のみに限定され、商用利用もできない。
ホビーユーザーや小規模チーム向け(年間収益10万ドル未満)のIndieプランは、年間契約の場合は月額8ドル(約1,250円)。Freeプランの全機能に加え、.fbxおよび.dae形式へのエクスポートが可能となり、優先的なサポートも提供される。1年間サブスクリプションを継続することで、その後は永続ライセンスとして利用可能になる特典がある。
プロフェッショナルと小規模チーム向けのProプランは、年間契約の場合は月額33ドル(約5,140円)。Indieプランの機能に加え、商用利用における収益制限が撤廃される。機能面では、専用のチャットサポート、ヒューマノイドのアニメーションリターゲット機能、シーンリンクツール、環境との相互作用機能などが追加されるほか、四足歩行キャラクターのオートポージング機能についてもProプランから利用可能。Indieと同様、1年間の継続利用で永続ライセンスが付与される。
■Plans and pricing
https://cascadeur.com/plans
CGWORLD関連情報
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