Blender Foundationは3月17日(火)、Blender 5.1をリリースした。レンダリングエンジンのパフォーマンス向上や、アニメーション再生の高速化、グリースペンシルの刷新、新しいVFX表現が可能なRaycastノードの新搭載などが実装されている。

Raycastノード

▲新搭載のRaycastノードを用いたデモファイルが配布されている

新たにRaycastノードが追加され、CyclesとEEVEEのシェーダで利用可能となった。これにより、光の屈折や反射を計算してノンフォトリアル表現を行うなど、幅広いビジュアルエフェクトを直接シーンに組み込むことができる。

EEVEEの高速化

▲EEVEEの高速化は、特にVulkanで大きな恩恵が得られる

EEVEEではGPUの並列処理によってマテリアルの読み込みが高速化され、ビューポート描画速度が向上。また、テクスチャメモリの節約機能も導入され、動作全体の軽量化が図られている。

アニメーション

▲新搭載のSmooth (Gaussian)モディファイアーは、非破壊でモーションのノイズを除去する

アニメーションでは特に、モデルの形状を記憶して変形させるシェイプキーを使用する際や、多数のボーンが設定されたキャラクターを動かす際の計算速度が改善され、再生パフォーマンスが向上した。また、モーションデータからノイズを取り除いて滑らかにするSmooth (Gaussian)モディファイアーが追加され、元のモーションデータを破壊することなく自然なモーションへ調整可能となった。

入出力とフォーマット対応

3Dシーンの共通規格OpenUSDの入出力が改善され、透明度や半透明の表現をサポート。また、高圧縮率・高画質の次世代画像フォーマットAVIF(AV1 Image File Format)に新規対応したほか、OpenEXR形式の保存においてロスレス圧縮のHTJ2K(High-Throughput JPEG 2000)が選択可能となっている。

コンポジターとシーケンサー

▲Sequencer Strip Infoノードを用いてトランジション効果を作成

映像編集機能では、Sequencer Strip Infoノードが追加。これにより、映像クリップの時間や位置、スケールなどのデータをもとに、ノードを繋ぐ視覚的な操作で独自のトランジション効果を作成できる。また、画像や図形を輪郭からの距離データで表現するSDF(Signed Distance Field、符号付き距離場)形式への変換を行うMask to SDFノードが追加され、複雑なマスク処理が容易になった。

▲Mask to SDFノードを用いたマスク処理

Cycles

物理ベースのレンダリングエンジンCyclesは全体的な速度向上が図られ、Windows環境のCPUレンダリングで最大20%の高速化が実現。また、ポリゴンの角ごとにノーマル(法線、光の反射方向を決定する要素)を計算するCustom Normalsの改善により、鋭いエッジを持つモデルの陰影がより正確に表現されるようになった。さらに、デノイズ処理において色の境界が滑らかになり、レンダリング画像に残るアーティファクト(不自然なノイズ)が軽減されている。

グリースペンシル

▲フィルの仕組みが見直され、マテリアルへの依存から脱却。ストロークとフィルを個別に描画ツールで指定して描くことができるようになった

2Dドローイング機能のグリースペンシルは、塗りつぶし(フィル)の仕組みが根本から見直された。従来はマテリアルに依存して線の有無や塗りつぶしが決まっていたが、Blender 5.1からは描画ツールと専用の操作によって直接制御できるようになった。また、Join FillsとSeparate Fillsオペレータの搭載により、複数の塗りつぶしを結合して穴をあけるといった直感的な操作が可能となる。

▲Join Fillsで複数の塗りつぶしを直感的に結合

ジオメトリノード

▲Bone Infoノードを使うとアーマチュアの動きを読み取ることができる

ジオメトリノードには、新たにBone Infoノードが追加。キャラクターのアーマチュアの動きをノードで直接読み取れるようになり、キャラクターのポーズに連動して形状が変化するような複雑な仕組みを構築できる。また、テキストを立体化する機能において、フォントの変更自体をString to Curvesノードで制御可能になるなど、モーショングラフィックス向けの表現力が拡張されている。

▲String to Curvesノードについてはデモファイルも配布されている

モデリング

▲Snap to Face Center機能により、オブジェクトを壁に沿って正面を向いた状態でスナップさせることができるようになった

モデリング作業の利便性を高める新機能として、マウスカーソルの下にある面の中心にオブジェクトを正確に配置するSnap to Face Center機能が追加された。また、オブジェクトを反転コピーした際などに生じやすい面の表裏の反転を自動的に修正するCorrective Flip Normals機能が標準で有効化されている。さらに、3Dテキストの生成において新たな「Delaunay」アルゴリズムが採用され、複雑なフォントでも文字の輪郭が重なって破綻する問題が起きにくくなっている。

▲Corrective Flip Normals機能によりオブジェクトの表裏反転を自動修正

■Blender 5.1(Release Notes)
https://www.blender.org/download/releases/5-1/

CGWORLD関連情報

●Shateiel氏、MetaHuman DNAアドオンを使ってBlenderでMetaHumanを活用するワークフローを公開! プロジェクトファイル無償配布

Shateiel氏が、アドオンを用いてUnreal EngineのMetaHumanをBlenderへ持ち込み、アニメ調キャラクター表現を行うワークフローの解説動画をYouTubeで公開。また、解説に使用したBlenderのプロジェクトファイルをGumroadで無償公開している。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202603-MetaHuman-Blender.html

●ぽぷりか氏、Blenderアドオン「Close Bone Picker」リリース! 仮想の階層構造を構築し、スピーディなボーン選択を実現

ぽぷりか氏がキャラクターアニメーション制作時のボーン選択を効率化するBlenderアドオン「Close Bone Picker」をリリース。専用のノードエディタ上で仮想的なボーンの階層構造を構築し、キーボードショートカットを用いて階層構造から素早く選択ボーンを切り替えることができる。販売はSuperhive、BOOTH、Gumroadで行われており、価格は19ドルまたは2,000円。対応するBlenderのバージョンは4.5〜5.0。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202603-CloseBonePicker.html

●Blender Studio、オンライン学習コース「Blender Fundamentals 4.5 LTS」を無料公開! 基本操作からモデリング、レンダリングまでを豊富なテキスト・画像・動画で習得

Blender Studioが初心者向けのオンライン学習コース「Blender Fundamentals 4.5 LTS」を無料で公開。カリキュラムはBlenderの基本操作からモデリング、リギング、ジオメトリノード、シェーディング、ライティング、レンダリング、コンポジット、ビデオ編集まで広く網羅されている。アニメーションやグリースペンシルなど、本コースでサポートされない項目は別コースでの提供となる予定とのこと。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202602-BlenderFundamentals.html