Zibra AI社は4月29日(水)、 Unreal Engineでアニメーションジオメトリの圧縮とリアルタイムレンダリングを実現するプラグイン「ZibraGDS」のオープンベータ版を公開した。ZibraGDSは、独自の圧縮技術により、複雑な3Dモデルの動きを維持したまま、データサイズを劇的に削減しつつ高速に描写する。対応するUnreal Engineのバージョンは5.3〜5.7、ベータは5月29日(金)まで実施予定。
ジオメトリキャッシュのボトルネックを解消
Unreal Engine 5における、アニメーションを伴うメッシュデータの扱いについて、標準機能のジオメトリキャッシュは毎フレームのデータを逐一読み込むストリーミング処理に依存するため、CPUからGPUへのデータ転送、PCI Expressバスの帯域消費が大きな負荷となっていた。
ZibraGDSは、データを独自技術により圧縮した状態でGPUのVRAM上に常駐させ、GPU内で直接展開・描画を行う。これにより、標準機能と比較して6〜10倍の高速化を達成しているという。
あらゆるアトリビュートを維持したまま最大92%のデータ圧縮を実現
3Dモデルの圧縮技術については、トポロジーの圧縮に長けたGoogleの「Draco」と比較して、ZibraGDSはレンダリングに不可欠なあらゆるアトリビュートを包括的に扱う。頂点座標に加えて法線、UV、速度ベクトル、頂点カラー、マルチマテリアルといった複雑なデータを保持したまま、ファイルサイズを最大92%まで削減できる。この独自エンジンにより、100GBを超えるような巨大なAlembicキャッシュであっても、システムのメモリ不足によるクラッシュを回避しながら取り込むことが可能となる。
メッシュシェーダによる並列展開パイプラインの構築
ZibraGDSには業界標準の次世代レンダリングパイプライン「Mesh Shaders」が採用されている。圧縮段階でメッシュを「Meshlet」という、描画を効率化するために細分化されたメッシュの単位に分割し、描画時に「Amplification Shader」というMesh Shaderを用いて並列に展開処理を行う。さらに、Unreal Engineにおいて、ハードウェアごとの差分を吸収する描画インターフェイスである「RHI(Rendering Hardware Interface)」を拡張し、シェーダ間でデータを効率的にやり取りするためのバッファ(UAV)を確保することで、数百万ポリゴンを超えるアニメーションのリアルタイム再生を可能にしている。
バーチャルシャドウマップへの対応と高度な描画パス
メッシュの描画は、深度情報を書き込むパスや影の生成パスなど、1フレーム内で複数回実行される。ZibraGDSは、展開済みのジオメトリに対して事前に描画範囲を特定する工程である「Visibility Prepass」を実行し、目に見える範囲のMeshletのみを間接描画命令で呼び出す最適化を実装している。これにより、影の描画においてもUEの仮想シャドウ マップ(Virtual Shadow Maps)に完全対応し、複雑な破壊表現の破片ひとつひとつに対して、精緻な影をリアルタイムで落とすことができる。
■ZibraGDS公式ページ(Zibra AI)
https://www.zibra.ai/zibragds
■ZibraGDS (Geometry Data Structure) is now available to everyone(Zibra AI公式LinkedIn)
https://www.linkedin.com/posts/zibra-ai_zibragds-geometry-data-structure-is-now-activity-7455254847383142402-Uprj
■ZibraGDS: A New Era for Real-Time Geometry in Unreal Engine(Zibra AI公式ブログ、2025年10月)
https://www.zibra.ai/blog-posts/zibragds-new-era-for-real-time-geomery-in-unreal-engine
■ZibraGDS Documentation(Notion)
https://zibra.notion.site/ZibraGDS-1d9bc784cfb38068963dfc4106bbcbcb
Zibra AI社について
Zibra AI社は、AIを活用したリアルタイム3Dコンテンツ制作の民主化を掲げるテクノロジー企業。主にUnreal EngineやUnityといったゲームエンジン向けに、物理シミュレーションやボリュメトリックデータの最適化ソリューションを提供する。代表的な製品に、ボリュームデータの標準規格であるOpenVDBをリアルタイムで扱う「ZibraVDB」があり、今回のZibraGDSは、その技術をアニメーションメッシュの領域に適応させた最新のランタイム技術となる。
■Zibra AI
https://www.zibra.ai/
CGWORLD関連情報
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https://cgworld.jp/flashnews/01-202604-UE5CherryBlossom.html
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コロビトの若手背景アーティストが、Unreal Engineを用いて今はなき神楽坂の横丁を手作業で再現した自主制作CG映像『みちくさ横丁』のメイキング記事。モデルにはハイポリゴンとローポリゴンを用意しベイク処理でディテールを保持したほか、キャラクターの歩行モーションを活用したカメラワークや曇天のライティングなど、細部へのこだわりと工夫が解説されている。
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https://cgworld.jp/flashnews/01-202602-UE-Water.html