オートデスク社は10月23日(金)、年次調査レポート「デザインと創造の業界動向調査」(英語版は「The 2027 State of Design & Make Report」)を公開した。本レポートは、世界23カ国の建築・建設、製造、メディア&エンターテインメント(M&E)業界のリーダーや専門家5,500人を対象に、2026年に実施した調査をまとめたもの。AIの活用、DX、サステナビリティ、技術投資、人材育成などの動向を分析している。
M&E業界については別途、広告・出版・グラフィックデザイン、映画・テレビ、ゲーム分野の1,549人の回答を分析した分野別レポート『2027 年度版「デザインと創造の業界動向調査:メディア & エンターテインメント」』も公開。どちらも日本語版を無料で閲覧できる。
AI活用の中心は反復作業の自動化とコンセプト生成
M&E業界におけるAIの用途では、「反復作業の自動化」が36%で最多となり、「デザインインテリジェンスとコンセプト生成」が35%で続いた。さらに、予測分析・予測と連携・知識支援が各29%、連携ワークフローとコンテキストAIエージェント(作業の状況や文脈に応じてAIが処理を支援する仕組み)が27%。オートデスクは「AIがクリエイティブな専門家に取って代わるのではなく、人間による判断を維持しながら制作効率を高める役割を担っている」と分析する。
総合レポートでは、映像制作分野の事例として、SOKRISPYMEDIAによる『Beast Games Season 2』関連映像の制作を紹介。同スタジオではFlow Studioを使用して、実写カメラ映像からAIベースのマーカーレスモーションキャプチャを実施している。人物の動作を3Dキャラクターのアニメーションに変換するとともに、カメラトラッキング、ライティング、キャラクターのリギングデータを生成。それらをMayaや3ds Maxに受け渡して、プリビズからルックデヴまで活用している。
AIの信頼度は低下し映画・テレビ業界では懐疑的な傾向が顕著に
M&E業界ではクリエイティブワークフローへのAI導入が進む一方、AI技術に対する信頼度は2025年から低下。特に映画・テレビ業界では低下幅が大きく、ゲームや広告・出版・グラフィックデザインと比較して懐疑的な傾向が見られている。「AIが業界を不安定にする」という認識についても調査され、技術の普及と業界関係者の評価が必ずしも一致していないことが示唆されている。
オートデスクはこうした変化を「AI導入の減速ではなく、企業がAIの価値や利用範囲を慎重に検討する段階へ移行した結果」と分析。AIを実用的な制作ツールとして採用しつつ、クリエイティブプロセスのどこまでAIに役割を与えるかについては慎重な判断が続いていると考えている。また、M&E業界では40%がAIを含む技術進歩を主要な経営課題に挙げており、導入技術の選定や運用方針が重要になっているようだ。
先進企業の92%がAI専門チームを設置
M&E業界では70%が将来の成長はデジタルツールに左右されると回答。その一方で、自社のデジタル成熟度が高いと評価する割合は2025年の57%から47%に、AI活用で先行していると回答した割合も49%から43%に低下している。技術の急速な発展によって、企業が求めるデジタル能力の水準も高まっていることが理由だと考えられる。
レポートでは、DXの成熟度、AI導入、サステナビリティの3領域で先行する企業群を「ペースセッター(Pacesetters)」と定義。M&E業界の回答者の11%が該当し、AI専門チームを設置している割合は92%に達した。これは、ペースセッターの対照群である、その他の企業群のAI専門チーム設置割合の59%を大きく上回る。
また、DXによる意思決定、リスク管理、人材獲得などの改善効果も比較的高い。オートデスクのM&E担当EVP、ダイアナ・コレラ氏は、「優れたツールやパイプラインの保有だけではなく、“最も速く適応できる企業”が先進企業だ」と指摘する。
ゲーム・映像制作分野では効率化への技術投資を優先
制作コストへの対応では、映画・テレビ業界とゲーム業界で、効率向上を目的とするテクノロジーへの投資が最も多く採用されている。一方、広告・出版・グラフィックデザイン分野では人材育成やトレーニングを比較的重視。
ゲーム業界ではデータ分析を用いたコスト削減機会の特定も進んでいるが、オートデスクは技術投資に比べて人材育成やデータ活用の優先順位が低いことが、長期的な課題につながる可能性を指摘している。
採用時に重視されるスキルでは、AIを導入・活用する能力が45%、デジタルデザインのスキルが40%で上位となった。一方で、ソフトウェア開発・プログラミング、デジタルプロジェクト管理、3Dモデリングなどのスキルを重視する割合は2025年から低下しており、採用時の優先事項が変化。
カプコンの技術研究統括 基盤技術開発部 基盤技術開発室 室長・八牧健太氏は、コンテンツの多様化やゲーム技術の複雑化を背景に「より高度なことができる人材の不足が業界各社の課題になっている」と述べている。
The 2027 State of Design & Make Report explores how industry pacesetters are pulling ahead. Learn what they’re doing differently and how you can keep pace. Swipe through the findings, then read the full report: https://t.co/6gd8FnMxrp. https://t.co/HnQ1Y6BsbE
— Autodesk (@autodesk) October 22, 2026
■独自調査レポート:2027 年度版「デザインと創造の業界動向調査」(オートデスク)
https://www.autodesk.com/jp/design-make/research
■State of Design & Make 2027: Industry Trends(英語)
https://www.autodesk.com/design-make/research/state-of-design-and-make-2027
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https://cgworld.jp/flashnews/01-202610-Autodesk-Animation.html
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https://cgworld.jp/special-feature/aivfxautodesk-flow-studiocg.html
●「AIはクリエイターの力を拡張する」オートデスク ダイアナ・コレラ氏に訊く、クリエイターファーストのAI戦略
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https://cgworld.jp/article/2605-autodesk-diana.html