Andras Ketzer氏は10月16日(金)、Unreal Engine用のリアルタイム流体VFXシステム「FluidNinja LIVE-2」をリリースした。Niagaraを中心とした新アーキテクチャを採用し、水・煙・炎・雲・砂・雪などの表現に対応。地形やオブジェクトとの相互作用、広域シミュレーション、プリセット管理なども強化されている。対応環境はWindows 64bit環境のUE 5.6以降、非商用の無料版は公式Discordコミュニティからダウンロードでき、商用版はFabで販売されている。
Niagaraを中心にシステムを再構築
「FluidNinja LIVE-2」は、流体の動きを2次元で計算し、その密度や速度の情報を使って3次元の水面、煙、炎、雲などを描画することで、計算量を抑えつつもキャラクターや環境の動きに応答するVFXを生成する。旧LIVE-1はブループリントによるCPU処理とマテリアルによるGPU処理を組み合わせていたが、LIVE-2はオブジェクトの検出や位置情報の取得など多くの工程をNiagaraへ移行し、流体計算自体もNiagara Simulation Stagesで実行する構造へ刷新。Ketzer氏は「LIVE-1を修正したものではなく、新たなソフトウェアだ」と説明している。
入力データには、メッシュのディスタンスフィールド、地形の高さや傾斜、スプライン、Niagaraパーティクル、ボーン、オブジェクトの位置などを利用できる。
LIVE-2ではUEの物理・破壊システムChaosで生成した破片も入力として扱え、破片の位置・速度や形状に応じて粉塵、爆発の煙、水しぶき、地面に残る痕跡などを発生させることができる。計算結果はメッシュのサーフェスやボリューム、パーティクル、植生などの複数システムへ受け渡せるため、例えば足跡と舞い上がる砂埃を同じキャラクターの動作から連動させる構成も可能となる。
Surface AlignmentやLODによる広域表現に対応
LIVE-2は、Surface Alignmentにより地形の標高や勾配に応じた水面・霧の配置や流体制御に対応。スプラインベースの河川生成や、Fog Volume、Heterogeneous Volumeなどによる煙・雲の表現も可能だ。
広域シーンではプレイヤーに追従するシミュレーション領域と、領域外のパッシブなマテリアル表現を合成し、負荷を抑制。距離ベースのLODやカメラ視野外でのシミュレーション停止にも対応する。また、プリセットの保存・再利用、シミュレーションのスナップショット保存、Sequencerによるアニメーション制御、Movie Render Queueによる映像出力などもサポートする。
ローエンドGPUでも高いパフォーマンスを実現
パフォーマンス面では、描画方式や設定の最適化により、ローエンドGPUでも高いパフォーマンスを実現できるという。例えば、メッシュの分割数やマテリアルの負荷を抑えた水面表現ではGTX 1070で120fps、自己シャドウを省いたFog Volumeによる霧の表現では同GPUで200fps、Steam Deckでも45fpsを記録。流体計算を省いて足跡などを描く「Simple Painter Mode」では、Steam Deckで安定した60fpsの動作も確認されている。GTX 1050〜1070やRTX 2050/2060/3050/3060などを対象とした軽量版デモも公開されており、用途やGPU性能に応じて表現品質と処理負荷を調整できる。
また、ミドルクラスの例として、RTX 3080上で512×512の煙シミュレーションが1フレーム約0.2ms、自己シャドウ付きのHeterogeneous Volumeによる描画が約2msという測定例を公開している。
無料版と有料版、デモの利用方法
非営利用途、学生、ホビーユーザーはFluidNinja LIVE-2のフルバージョンを無料で利用できる(無料版の入手には、公式Discordコミュニティへの参加が必要)。商用利用のユーザーは製品版をFabから購入して利用できる。
公式サイトでは、Windows向けのプレイアブルデモと低スペックGPU向けの軽量版デモを配布。これらはUnreal Engineをインストールせずに動作する実行形式のデモであり、ベンチマーク機能も搭載されている。UE上で編集可能なツール本体とは異なるため、実際に制作へ使用する場合はDiscordからUEプロジェクト版を入手する。
Following three years of development, FluidNinja LIVE-2 released - free to download at the community server #FluidNinja #UE5 #realtimeVFX #VFX #gamedev https://t.co/FNOF1FHNSF
— Andras Ketzer (@FluidNinjaLIVE) October 16, 2026
■FluidNinja公式Discord
https://discord.com/invite/rgEtwua2tu
■Fluid Ninja LIVE(Fab)
https://www.fab.com/listings/80fcf53e-49f7-4635-a71c-ba81280c6618
■FluidNinja LIVE-2 Manual(公式マニュアル)
https://majorsmash.github.io/fnl-docs-v2/manual/ninjalive2-manual/
CGWORLD関連情報
●Epic Games、ゲーム『Kernel Hearts』におけるUnreal Engine導入事例を紹介 GameplayTagsやData Assetsによる戦闘システム構築
Epic Gamesがインディーゲームスタジオ・Ephemera GamesによるアクションRPG『Kernel Hearts』のUnreal Engine活用事例を公式Xで公開。記事では、GameplayTagsやData Assetsを用いた戦闘システムの設計、UE5のモデリング機能によるレベルデザイン、Epic Online Services(EOS)を活用したクロスプレイの実装などを紹介している。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202610-UE-KernelHearts.html
●Epic Games、制作スタジオのUnreal Engine全面移行事例を公開 100名超のアニメーターを擁するBrown Bag Filmsによる講演動画
Epic GamesがアニメーションスタジオBrown Bag FilmsのUnreal Fest Chicago 2026における講演動画「All in on UE: What Happens When 100 Animators Stop Round-Tripping | Unreal Fest Chicago 2026」を公開。Brown Bag FilmsはMayaを中心とした複数ソフトウェア間の制作工程をUnreal Engine 5.7に統合し、数百名規模のアニメーターチームで運用するためのパイプラインを構築。その構築手法からリアルタイム環境を活用したショット制作、キャラクターアニメーション、ヘア・ファーのレンダリング、VFX制作などの実践事例までを、約30分にわたって紹介している。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202610-UE-Animators.html
●Epic Games、UE5.8のマーカーレスモーションキャプチャの実演動画を公開 動画ファイルからMetaHuman用の全身アニメーションを生成するワークフロー
Epic Gamesが動画「MetaHuman Animator Markerless Motion Capture Demo」を公開。Unreal Engine 5.8で実験的機能として実装された、単一のカメラ映像からMetaHuman用の全身アニメーションを生成するマーカーレスモーションキャプチャのワークフローを実演している。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202610-MetaHuman-MoCap.html