Framestore所属のアニメーターHoshi氏は10月15日(木)、動画「フェイシャルが硬い原因は?自然な表情を作る『顔のつながり』【3DCGアニメーション】」を自身のYouTubeで公開した。同氏が約6年前に制作したダイアログアニメーション(キャラクターがセリフを話す演技)を題材に、当時の作品と新たに撮影した実写リファレンスを比較しながら、顔の筋肉や皮膚の連動を意識した自然なフェイシャルアニメーションの制作手法を解説している。
顔全体の連動性はコントローラだけでは表現できない
Hoshi氏はまず、過去に制作したダイアログアニメーションと、自身が演技を再現して撮影したリファレンス動画を比較。リファレンスの撮影では50〜70テイクを重ね、演技全体をできる限り1テイクで収録することを重視したという。複数のテイクを繋ぎ合わせると、動作のエネルギーや筋肉の連動が途切れ、アニメーション制作時に動きのつながりを判断しにくくなるためだ。
過去の作品では、口角など個々のフェイシャルコントローラの動きは適切に設定され、口角が弧を描くような自然な軌道も表現できていた。しかし、眉や目、口といったパーツを個別に調整し、それらを組み合わせることに意識が集中していたことから、顔全体では硬い印象が残っていたという。「今、僕がこのアニメーションを見て特に気になるのは、そういった顔全体の連動性になります」とHoshi氏。局所的な動きの完成度だけでなく、周辺組織への影響まで考えることが重要だと指摘する。
顔を「大きなゴムの塊」として捉える
自然な表情を制作するためにHoshi氏が提案するのが、顔を「大きなゴムの塊」として捉える考え方。顔には多数の筋肉が存在し、それぞれの収縮や弛緩によって皮膚が引っ張られ、表情が形成されるが、制作時に全ての筋肉の構造を完全に把握する必要はなく、顔の上半分と下半分を柔らかく変形する一体の組織として観察すると良いという。
例えば、片側の眉頭が引き上げられると、その周辺の皮膚だけでなく、反対側の眉にも微細な変化が生じる。また、口角が上がる際には頬も持ち上がり、下まぶたが押し上げられたり、目尻にシワが形成されたりする。動画では実写リファレンスをコマ送りしながら、眉の変化がおでこ全体へ波のように伝わる様子や、口角と頬、まぶたの連動を解説。個々のパーツを独立して動かすのではなく、力が加わった場所から周辺へ変形が伝わる様子を意識することで、表情全体に一体感を生み出せるとしている。
下まぶた・ほお・小鼻の動きが表情の説得力を高める
過去の作品を現在の技術で修正するとしたら、特に手を加えるのは、下まぶたからほお、小鼻にかけての領域だという。Hoshi氏は、唇や口角を動かす複数の筋肉、小鼻の横を通る筋肉、目の周囲を覆う筋肉などを例に、表面上の動きがどのような筋肉の作用によって発生するのかを説明。また、「リファレンス動画を見れば、こういったことが全部わかるわけではありません」と話し、過去には映像を何度も確認していたにもかかわらず、顔の中心部分の動きを見落としていたと振り返っている。
セリフのアクセントと頭・上半身の動きを一致させる
さらにHoshi氏は、フェイシャルアニメーションを顔の内部だけで完結させず、頭や上半身の動きまで含めて考える必要性を指摘。動画では「My partner」というセリフを例に、「partner」の冒頭にある強いアクセントを取り上げている。発音に合わせて口の形状を変えるだけでなく、発声の勢いに対応した頭や上半身の動きを加え、さらにアクセント後の動作が徐々に収まる過程まで表現することが重要だという。
一方、全てのセリフで体を大きく動かす必要はなく、キャラクターの感情や発話の強さに応じた調整が求められるという。Hoshi氏は「一番伝えたかったのは、顔のパーツはバラバラに考えないっていうことです」と総括している。
今回はフェイシャルアニメーションの話。 なんか生きてるように見えないな?と思った時、ある部分に注目です! そこは.................本編にてお楽しみください!! フェイシャルが硬い原因は?自然な表情を作る「顔のつながり」【3DCGアニメーション】 https://t.co/MVenjPADoV via @YouTube
— Hoshi | Animator (@HoshiIkegami) October 15, 2026
■フェイシャルが硬い原因は?自然な表情を作る「顔のつながり」【3DCGアニメーション】(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=tzdJ2UyMtUk
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