Boris FX社12月12日(木)、トラッキング&マスキングツール「Mocha Pro 2025」をリリースした。本バージョンでは、AIを活用したロト&マスクツール2種を搭載するほか、3Dカメラソルブモジュールの改良、データエクスポートの効率化などが実装されている。

Mocha Proはスタンドアロンアプリケーションとして動作するほか、After Effects、Premiere Pro、Media Composer、Nuke、Fusion、VEGAS Pro、他OFXホストのプラグインとして動作する。

AIを活用したロト&マスクツール「Object Brush」と「Matte Assist」

ワンクリックでオブジェクトを選択し、ベクターマットを生成。さらに自動でアニメーション化されたマットになる

Mocha Pro 2025にはObject BrushMatte Assistという2種の新しいAIツールが追加された。Object Brushを使うと、ワンクリックで編集可能なスプラインが生成され、オブジェクトを簡単に分離できる。Area Brushを使用して素早く選択範囲を絞り込むことができ、Mocha Pro内のどのツールを使っても、フレームをまたいでトラッキング可能だ。

そしてMatte Assistは、Object Brushで生成されたベクターマットを含む、1フレームで生成されたベクターマットからアニメーション化されたベクターマットを自動的に作成する。

Object BrushとMatte Assistを組み合わせることで、トラッキングや3Dシーンソルブ、オブジェクト除去など、あらゆるMocha Pro内のタスクにおいて、高速で正確なガベージマスクを作成できることになる。

3Dカメラソルブモジュールの改良

Mocha Pro 2025では、車やスクリーンなど移動するオブジェクトを含む複雑な3Dトラッキングをより正確に行うため、平面トラッカーとPowerMeshトラッカーによるトラッキングデータ、またはMatte Assistツールのシェイプデータを組み合わせてオブジェクトを定義し、正確なメッシュとポイントクラウドを生成できるようになった。

また、正確な3Dソルブを実行するため、複数のトラックを1つの移動するオブジェクトにグループ化。カメラの配置に影響を与えずに、オブジェクトの位置・スケールの調整が行える。

3DデータはUSDやAlembic、FBXなどでエクスポートできるほか、After Effectsではプラグインのコントロールから3Dソルブを直接インポートできる。

データエクスポートの効率化

エクスポートダイアログはトラッキング、シェイプ、3Dデータエクスポートが直感的なひとつのインターフェイスにまとめられた。ホスト別に整理されたプリセットやフィルタリング・検索・お気に入りのタグ付け機能などを備えるほか、繰り返しの作業を効率化する「Export Again」機能も搭載する。

その他、Mocha Pro 2025では新しいキーボードショートカットやコンテクストメニューを使ったコントロールが可能になり、VFX Reference Platform 2023 に準拠する。

■Mocha Pro: What’s New(英語)
https://borisfx.com/products/mocha-pro/#whats-new

■Mocha Pro Unleashes AI Power(公式ブログ、英語)
https://blog.borisfx.com/ai-power-comes-to-mocha-pro

■Mocha Pro 2025 v12.0.0 Release Notes(英語)
https://borisfx.com/release-notes/mochapro-2025-release-notes/

プラン

Mocha Proのライセンスはサブスクリプションと永久ライセンスのふたつが用意され、さらに対応ホストアプリケーション別に全5種類が用意されている。なお、スイートパッケージ「Boris FX Suite」にはMocha Proを含む全Boris製品が含まれる。

CGWORLD関連情報

●VFXプラグイン「Boris FX Sapphire 2025」リリース! アナログ風ダメージエフェクト、ライトリークスディゾルブ、50以上の新プリセットなど

Boris FX社がビジュアルエフェクトプラグイン「Boris FX Sapphire 2025」をリリース。本バージョンでは、VHSダメージやディゾルブライトリークエフェクト、新しいレンズフレア、50以上の新プリセットが実装。After Effects、Premiere Pro、Media Composer、Flame、DaVinci Resolve、Nuke、VEGAS Proのプラグインとして動作する。
https://cgworld.jp/flashnews/BorisFx-Sapphire2025.html

●韓国4BY4社、AIを活用した動画アップスケーリング&エンハンスツール「Pixell」オープンベータ開始! 正式ローンチ(2025年初頭予定)まで無料で利用可能

韓国4BY4社がAIを活用した動画アップスケーリング&エンハンスツール「Pixell」のオープンベータテストを開始。想定ユーザーであるVFXアーティストやポストプロダクションスタジオ向けにベータテストグループを運営しており、申し込みを受け付けている。2025年初頭の正式ローンチまでは無料で利用可能としている。
https://cgworld.jp/flashnews/202410-4by4-Pixell.html

●Boris FX、VFX&コンポジットツール「Silhouette 2024.5」をリリース! 機械学習を活用したマット作成、リアルなモーションブラーの生成など

Boris FX社がロトスコーピングとペイントツール群が充実したVFX&コンポジットツール「Silhouette 2024.5」をリリース。機械学習によりオブジェクトの境界を瞬時に判断しマットを作成できるMask MLノードや、オプティカルフローによるリアルなモーションブラーが生成可能なOptical Flow ML Trackerなどを新たに搭載している。
https://cgworld.jp/flashnews/202409-Silhouette20245.html