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テレビ CM のアニメーションから映画まで、常に最先端の映像を制作し続ける白組。映画『ALWAYS 三丁目の夕日'64』の制作ではカラーマネージメントシステムを導入し、協力会社との連携を強化するために EIZO のカラーマネージメント液晶モニター「ColorEdge」を採用した。互いのモニターの色が一致すると、作業効率が上がり、さらには品質も上がったという。
モニターの色が協力会社と一致
作業効率と品質が上がった!
映画『ALWAYS 三丁目の夕日'64』は、実写や CG、マット画などを組み合わせて、1つの映像にしている。各シーンには様々な素材が必要になるため、白組が主体となって CG や合成作業をし、映像プロダクションの fude がマット画を制作、IMAGICA がカラーグレーディングを行うというように、パートごとに別々の会社が制作している。各社はそれぞれが制作したデータの確認を頻繁に行うが、互いのモニターの色が一致していないと「先方では OK に見えても、こちらでは NG」ということになりかねない。そのためカラーマネージメントシステムの導入前は、完成間近まで作業が進んだカットをはじめから作り直さなければならなかったり、劇場と同じ色合いで確認できる IMAGICA の試写室へデータを持って行き、スタッフ総出で確認作業をしなければならなかった。
「『ALWAYS 三丁目の夕日'64』 が立体視での上映も決まったとき、制作がより複雑になるのがわかっていたので、技術的な問題はできるだけクリアにしておきたいと考えました。その中でも『色』は、大きな問題でした」(白組 VFXディレクター・渋谷紀世子氏)。そこでカラーマネージメントシステムを導入し、fude、IMAGICA とモニターを ColorEdge で統一、色基準はデジタルシネマの新規格である DCI とした。そして、DCI 規格で DCP(Digital Cinema Package)やフィルムへの出力を担う IMAGICA が中心となり、関わる人が可能な限り同じ色を見ながら作業できる環境を構築したという。その結果、各社と IMAGICA での出力との誤差が減り、IMAGICA での色のチェックも最小化された。何より目指すイメージを正確に共有できるので、品質も格段に上がった。
「以前は IMAGICA さんで色を確認しても、しばらく経つと『いま作っている色は本当に正しいのか』と悩んだりしたのですが、正しい基準があれば安心して作業が進められます」(渋谷氏)。協力会社にとっても同じことが言える。「カラーマネージメントによるワークフローの改善で、白組さんの作業状況がわかるようになり、やりとりがスムーズになりました」(IMAGICA テクニカルディレクター・松本 渉氏)。
渋谷氏は「色については VFX を制作し始めてからずっと悩んでいたんですが、ColorEdge を使ってからは、『このデータのこの色を信じていいんだ!』と思えるようになりました」と語る。
ボタン1つで映像データを
宣伝・販促物用に瞬時に切替え
映画が完成すると、宣伝・販促物用のデータを多数用意する。以前はそれらのデータ作成に大変な手間がかかっていたが、ColorEdge ならプリセットボタン1つで、映画用、テレビ用、印刷用と瞬時に切替えられる。カラーマネージメントされた劇場用の設定での見え方と、各媒体での見え方をモニター上で確認できるのは便利だ。「映像制作で完結するのではなく、スマートフォンなどの最終的なデバイスのアウトプットまで、トータルで考えていく時代です。ボタン1つでデータを確認できる仕組みは素晴らしかった」(白組 システム部部長・鈴木 勝氏)。
プリセットボタンで媒体ごとの色チェックも効率化
映画が完成すると、ポスターやパンフレット、テレビ、Web などの各種媒体用に、映像の抜き出しが求められる。ColorEdge を使えばプリセットボタン1つで各種媒体用のデータを確認できるので、作業効率が格段に上がった
導入してわかった正しい色
階調もより滑らかに再現
主にカラーマネージメントを目的として導入した ColorEdge だったが、モニターの色再現性の高さも、品質向上に役立ったという。「空の色で、場面全体の印象がガラッと変わるんです。赤、青、黄、紫など微妙なニュアンスを見て検討していくのですが、同じデータを ColorEdge で見たとき、グラデーションの幅がこんなにあったのか! と驚きました」(渋谷氏)。
また、ColorEdge を使う前は協力会社間でも出しづらい色があったが、今は ColorEdge で色の再現範囲が広い DCI を色基準にすることで、より色が豊かで、品質の高いデータを安心して制作できるようになった。「以前のモニターでは、プロファイルを指定しても再現が難しいことがありましたが、今回 DCI 規格に迫る広色域を再現できるモニターで統一したことで表現できる色域が広くなり、結果的に映像の表現力も上がったと思います」(松本氏)。
白組ではプロジェクトごとに最適な機材を使用することで、時間とコストを削減している。渋谷氏は「モニターは最優先で変えたいと思っていました」と語る。今後は ColorEdge を全員に導入する予定だが、一気にではなく段階的に進めていく方針だ。「まずは色の確認が必要なチームから導入して、徐々に全体へ、という具合に統一していきます。絶対効率的になりますよ」(鈴木氏)。
ColorEdge の最新機種「CG246」では、既存機能が向上したのはもちろんのこと、液晶画面の特性上、難しかった黒のディテールの表現力がより向上するなど、使い勝手がさらに向上している。映像制作のプロに「最優先で変えたかった機材」と断言されたモニターは、今後も様々な現場で、クリエイティブワークをサポートしていくことだろう。
TEXT_長尾健作(パーチ)
『ALWAYS 三丁目の夕日'64』
映画『ALWAYS 三丁目の夕日'64』(2012 年公開)は、山崎 貴監督の『ALWAYS』シリーズの第3弾。今作は 2D 版、3D 版の同時上映で、発売中の Blu-ray 及び DVD でも、2D 版と 3D 版が用意されている
映画公式サイト:
http://www.always3.jp
©2012「ALWAYS 三丁目の夕日' 64」製作委員会
キャリブレーションセンサー内蔵
24.1 型カラーマネージメント液晶モニター
ColorEdge CG246
CG246 製品ページ:
http://www.eizo.co.jp/products/ce/cg246
EIZO Webサイト:
http://www.eizo.co.jp