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株式会社ポリゴン・ピクチュアズが手がける新作TVアニメーション『シドニアの騎士』で、キャラクターやプロップのデザインを担当している森山佑樹氏に、液晶ペンタブレット「Cintiq 24HD touch」の魅力を語っていただいた。

▼About Company

株式会社ポリゴン・ピクチュアズ 1983年の創立以来、「誰もやっていないことを圧倒的なクオリティで 世界に向けて発信していく」ことをミッションに掲げ、多彩な分野のデジタル・コンテンツを手がけている。分業化された大規模な制作体制が特徴で、国内外から集結した約300名のスタッフがコンテンツの企画制作に日々力を注いでいる。
www.ppi.co.jp

職場でも自宅でも
Cintiq シリーズを愛用

CGWORLD(以下、C):森山さんご所属のアートグループでは、すでにCintiq 24HDを導入済みだそうですね?

森山佑樹氏(以下、森):1年ほど前に社内のツールまわりを見直した時期がありました。その際に、Cintiq 13HDに加え、共有機という位置付けでCintiq 24HDも導入したのです。私自身は普段の業務では主にCintiq 13HDを使い、自宅ではCintiq 24HDを使っています。

C:自宅でCintiq 24HDとは豪華ですね!

:知人が安く譲ってくれたのです。アートグループに所属するアーティスト全員が液晶ペンタブレットを使用しているわけではありませんが、私とは凄く相性が良い機器です。

C:相性は人によって様々なのでしょうか?

:絵の具や筆の好みが人それぞれなのと似ていますね。自分の手で絵の一部が隠れることがない、客観的に絵と向き合えるなどの理由で、Intuosを使っている人もいます。私自身は、紙に近い感覚を味わえるCintiqの方が好きですね。大学時代にもCintiqを使用した経験があったのですが、当時の液晶画面は表面がツルツルしすぎており、手に馴染まない印象がありました。でも最近のCintiqは、紙の感触に近いほど良いひっかかり感があるように思います。

C:デジタルで描き始めたのはいつですか?

:最初にデジタルで絵を描いたのは高校の頃ですね。ペンタブレットのFAVOとPhotoshopでイラストを描いていました。その後は大学でプロダクトデザインを専攻し、初めて液晶ペンタブレットを使ったのです。プロダクトデザインでは大きな作品を扱うことが多く、よく立って作業していました。今もその時の習慣が残っていて、立って描く場合がありますね。

C:立ったり座ったりと頻繁に姿勢を変えるスタイルだと、角度調節機能を多用しそうですね。

:はい。立って描く場合には、Cintiq 24HD をよりフラットな角度に倒して使っています。

マルチタッチ機能や優れた色の
再現性で作業効率が向上

C:今回の取材に先立ち最上位モデルであるCintiq 24HD touchを試験的に導入して頂いたわけですが、使用感はいかがでしたか?

:マルチタッチ機能の搭載で、念願だったキーボードレスの制作環境が実現できそうだという手応えを感じました。最近の制作では、絵を描く作業はCLIP STUDIO PAINT、その後の加工はPhotoshopという使い分けをしており、どちらのソフトでもショートカットを多用しています。これまではキーボードを使ったショートカットに頼っていましたが、液晶画面をタッチしてラジアルメニューを呼び出せるようになったので、キーボードは不要になりました。

C:液晶画面の両サイドにあるタッチホイールとファンクションキーも存分に使いこなしていそうですね。

:筆ブラシサイズの拡大・縮小や手のひらツールなど、よく使う機能を割りふっています。液晶画面全体に絵を表示して、視線はそこに集中させた状態で色々な操作ができるのは快適ですよ。

C:作画の流れが途切れず、効率も良いですね。

:IntuosからCintiqに移行した1年前の時点でも、作業効率は上がりましたね。ちょうど『シドニアの騎士』のキャラクターデザインを検討している最中で、モデリングやルックデブのセクションと頻繁にやりとりをしていたのです。あがってきた画像に修正指示やコメントを書き込む際、いちいちキーボードで文字を打つことがストレスになっていました。作画と同様、文字もIntuosのペンで書きたかったのですが、思うように書けなかったのです。ねらった場所に寸分違わずペン先を置けるCintiqを導入したことで、作画も指示コメントも同じペンで表現できるようになり、作業が楽になりました。

C:Cintiq 24HD touchでは色の再現性も向上しています。ちがいは実感できましたか?

:はい。発色がさらに良くなった印象があるうえ、表示した色がちゃんと印刷でも再現できます。従来はカラーマネジメント済みのサブモニタで色を確認していましたが、それも必要ないように感じます。煩雑な作業を効率化するほど作画時間が増えるので嬉しいですね。

TOPIC 壱
マルチタッチ機能でラジアルメニューを呼び出し、
キーボードレスの制作環境を実現

Cintiq 24HD touchから搭載されたマルチタッチ機能のお陰で、キーボードレスの制作環境が実現できそうだと森山氏は語る。「マルチタッチ機能でラジアルメニューを呼び出せるようになってから、キーボードを使う機会は格段に減りました」。左写真で森山氏が呼び出しているラジアルメニューには、『保存』、『新規レイヤー作成』、『投げ縄ツール』といった使用頻度の高い操作が設定されている。画面に集中した状態で色々な操作ができるようになり、快適性が増したという

森山氏が画面左側のタッチホイールとファンクションキーに施している設定を紹介しよう。これらに加え、付属のペンに搭載された2つのサイドスイッチにも、『ブラシと消しゴムの入れ替え』、『画像の回転』などの操作が設定されている

TOPIC 弐
細かい書き文字や
引き出し線まで自在に表現

3DCGで造形されたキャラクターをペイントオーバーで修正し、さらに書き文字でコメントを追加している。細かい書き文字や引き出し線まで自在に表現できるため、作業効率が向上したそうだ

TOPIC 参
Adobe RGBの97%をカバーする、
優れた色の再現性

夕焼けのシーンのためのカラースクリプトと、それを元に設計されたメインキャラクターの「夕日色」。Cintiq 24HD touchではAdobe RGBの97%をカバーしているため、正確な色の表示・確認が可能だ

TEXT_ 尾形美幸(EduCat)

▼INFORMATION

『シドニアの騎士』
原作:弐瓶 勉(講談社『アフタヌーン』連載)/監督:静野孔文/副監督:瀬下寛之/シリーズ構成・脚本:村井さだゆき/プロダクションデザイナー:田中直哉/造形監督:片塰満則/CGスーパーバイザー:上本雅之/バトルアニマティクス:大串映二/アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ/製作:東亜重工動画制作局
www.knightsofsidonia.com
<TV放送>
2014年4月MBS他"アニメイズム"枠にて放送開始
MBS 4月10日より 毎週木曜日
TBS 4月11日より 毎週金曜日
CBC 4月11日より 毎週金曜日
BS-TBS 4月12日より 毎週土曜日
<Blu-ray&DVD>
Blu-ray&DVDの発売が早くも決定! 2014年5月28日より各巻毎月発売予定/全6巻
©弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局