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ZBrushと出会ったマンガ家がCG業界に戻り、ハリウッド映画制作を目指す理由

ZBrushと出会ったマンガ家がCG業界に戻り、ハリウッド映画制作を目指す理由

CGアーティストからマンガ家へ、そしてZBrushとの出会いが転身へのきっかけをつくった。多彩なキャリアを武器にモデラー・コンセプトアーティストとして活躍し、今年3月「CGWORLD Online Tutorials」にて「ZBrushの基本ブラシで作るリアルなライオンのスカルプト」を公開した後、ハリウッド映画への参加を目指してカナダに渡った渡嘉敷拓馬氏に話を聞いた。高専からCGアーティストの道を切り拓いた彼のZBrush活用術は、様々な示唆を与えてくれるだろう。

INTERVIEW_日詰明嘉 / Akiyoshi Hizume
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada

ZBrushの基本ブラシで作るリアルなライオンのスカルプト
(CGWORLD Online Tutorials)の
詳細・動画はこちら

<1>CGモデラーからマンガ家へ、挫折のなかで見つけたZBrush

――まずは渡嘉敷さんの最新のお仕事について教えていただけますか?

渡嘉敷拓馬氏(以下、渡嘉敷):ちょうど6月15日に公開される映画『ニンジャバットマン』ですね。冒頭に登場する石像を制作したのですが、気に入っていただけてオープニングにも登場させてもらえました。フリーランスになって初めての仕事から大きなタイトルに関わることができ、モチベーション高く取り組めましたね。現在、手がけているのは2019年公開予定の映画や、CMのお仕事などがあります。内容について詳しくはお話できないのですが。他には故郷の沖縄にオープンした「エイサー会館」のバーチャルYouTuberキャラクター「エイ坊4.0」のモデルを制作したりしています。これに限らず最近はバーチャルYouTuber関連のお仕事が多いですね。

映画『ニンジャバットマン』
2018年6月15日(金)劇場公開予定
wwws.warnerbros.co.jp/batman-ninja/
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© 2018 Warner Bros. Entertainment All rights reserved.


  • 渡嘉敷拓馬/Takuma Tokashiki(フリーランスCGアーティスト)
    1990年沖縄県生。2011年国立沖縄工業高等専門学校卒業後、ゲーム制作会社レベルファイブに就職。2012年退職後「渡嘉敷 拓」名義で講談社「少年マガジンR」にてマンガ『カンブリア』を連載。連載終了後、フリーランスCGアーティストの活動を始め、CG制作、コンセプトアート・キャラクターデザインなどをメインに活動。フォトリアルな人やクリーチャーなどモデリング、スカルプティングを得意とする。参加作品に『イナズマイレブンGO2 クロノ・ストーン ネップウ/ライメイ』(2012)、映画『ニンジャバットマン』(2018)、GENERATIONS LIVE用映像他、未発表映画、未発表CMなど
    Twitter:@TakumaTokashiki
    tokashiki.artstation.com

――渡嘉敷さんのプロフィールを拝見すると、レベルファイブ→マンガ家→CGアーティストと多彩なキャリアが並んでいます。このながれをご説明いただけますか?

渡嘉敷:僕は沖縄の沖縄工業高等専門学校(以下、沖縄高専)を卒業しました。当時、開校してまだ3年目だったこともあって友人とデジタルアート部を起ち上げ、CGアニメーションの制作をしていました。「パソコン甲子園」という高校生が情報処理技術を競うコンクールにおいて、短篇のCGアニメでデジタルコンテンツ部門のグランプリを受賞したこともあります。CGは手描きアニメよりもずっと早くつくれるし、子どもの頃に触れた映画『ファイナルファンタジー』(2001)や、ゲーム『ファイナルファンタジーX』(2001)といった作品に憧れていたのでCGでつくりたいと思って。ただ、作品をつくること自体への意欲はその以前からあって、高校生の頃からマンガを描いて新人賞に応募したりしていました。

――そして高専卒業後、福岡のレベルファイブに入社されました。

渡嘉敷:レベルファイブではキャラクターと背景にチームが分かれていたのですが、マンガを描いていたということが先輩に伝わって、『イナズマイレブンGO2 クロノ・ストーン ネップウ/ライメイ』(2012)で必殺技シーンの絵コンテと演出を一緒に担当することになりました。それまではキャラクターのモデリングからモーションまでひと通りやっていて、その先輩はモーションも非常に上手くて教えていただいたのですが、僕はあまり上手くならなくて(苦笑)。でもモデルはそれほど苦労しなかったので、ここで向き不向きがわかった気がします。

――渡嘉敷さんはそれまで立体物のデッサンなどを専門的に勉強されてきましたか?

渡嘉敷:いえ、美術大学で学ぶような体系立った勉強はしていません。つくりたいと思える作品を見つけて、それをひたすら模写するという学び方をしていました。誰しも、好きなものだと似せたくなる内的動機が湧くと思うんです。嫌いなことよりも好きなことの方がモチベーションに繋がりますし、アーティストにとってリファレンスの多さは大事な部分なので、ものづくりをするときは様々なものを探すようにしています。特にCGはリアルに描くものが多いので、そのできは現実のリファレンスをどれだけ集められるかにかかっていて、その中で好きなものを探し、それをとことん再現するという感じです。

――レベルファイブではどのような作品を?

渡嘉敷:先ほどお話した『イナズマイレブンGO2 クロノ・ストーン ネップウ/ライメイ』と、『妖怪ウォッチ』(2013)のごく初期の部分ですね。当時、会社を終えてからマンガを描いていて、賞に応募した作品に担当編集がついて読み切りが掲載され、それを連載にもっていこうという話になり、その機会に辞めてマンガ家になりました。でも、そこからが大変でした。

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<2>同世代のZBrushユーザーの存在がCGへの回帰点に

Profileプロフィール

渡嘉敷拓馬/Takuma Tokashiki(フリーランスCGアーティスト)

渡嘉敷拓馬/Takuma Tokashiki(フリーランスCGアーティスト)

1990年沖縄県生。2011年国立沖縄工業高等専門学校卒業後、ゲーム制作会社レベルファイブに就職。2012年退職後「渡嘉敷 拓」名義で講談社「少年マガジンR」にてマンガ『カンブリア』を連載。連載終了後、フリーランスCGアーティストの活動を始め、CG制作、コンセプトアート・キャラクターデザインなどをメインに活動。フォトリアルな人やクリーチャーなどモデリング、スカルプティングを得意とする。参加作品に『イナズマイレブンGO2 クロノ・ストーン ネップウ/ライメイ』(2012)、映画『ニンジャバットマン』(2018)、GENERATIONS LIVE用映像他、未発表映画、未発表CMなど
Twitter:@TakumaTokashiki
tokashiki.artstation.com

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