>   >  現場主導でスプレッドシートからの脱却を〜コンソールゲーム開発のアセット発注・管理を一元化したディンプスのShotgun活用事例
現場主導でスプレッドシートからの脱却を〜コンソールゲーム開発のアセット発注・管理を一元化したディンプスのShotgun活用事例

現場主導でスプレッドシートからの脱却を〜コンソールゲーム開発のアセット発注・管理を一元化したディンプスのShotgun活用事例

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ここ数年、映像業界だけでなく、ゲーム業界での活用も目立ち始めたShotgun。ゲーム業界における導入例ではスマートフォンアプリ開発が大半を占めるが、コンソールタイトルの開発においても、今や定期的なイベント開催やコンテンツの追加などが当たり前になりつつあり、膨大なアセットを効率的に管理する必要から、徐々に導入が進んでいるという。今回はいち早くコンソールタイトル開発にShotgunを導入している株式会社ディンプスに、導入の経緯やアセット管理方法を訊いた。

INTERVIEW_ショットガン・トキトウ / SHOTGUN Tokito(ボーンデジタル)
TEXT_神山大輝 / Daiki Kamiyama(NINE GATES STUDIO
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota

スプレッドシートでの多重管理からの脱却を目指し、Shotgun導入を決意

ショットガン・トキトウ(以下、トキトウ):本日はよろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いします。


  • ショットガン・トキトウ
    ボーンデジタル

    株式会社ボーンデジタルのShotgun使い。1ヶ月に100件のShotgunに関する質問を捌く。映画、アニメ、ゲーム業界だけでなく、工程管理のある業界のタスクは何でもShotgunで再現してしまう。サポートサイトにもない多数のTipsをもっている

T:よろしくお願いいたします。私は開発推進部に所属しており、ツールのアカウント管理や開発ツールの検証・調査に携わっています。スマートフォン向けの開発プロジェクトでは問い合わせ対応などのチケット管理も行なっていました。


  • T氏
    株式会社ディンプス
    開発推進部

M:コンソール系のプロジェクトでデザイナーのサポート業務を担当しています。前回のプロジェクトでは、スケジュールの管理をはじめ、デザイナー向けの資料制作などを手がけました。現在はタスク管理などの問題を解決するために、Shotgunの環境整備を行なっています。

H:この3名の中では、最も現場に近いアーティストです。主にハイエンド系のプロジェクトで背景アセットを制作しています。現在は実制作のほか、こうしたデザイナー向けの管理ツールの提案や検証なども行なっています。Shotgunについては、導入当時はTと2人で検証を進めていました。

トキトウ:お三方はそれぞれソフトウェア管理者、現場のサポート、アーティストというお立場ですね。改めてよろしくお願いします。まずはHさんにお伺いしたいのですが、Shotgun導入以前のプロジェクトで最もボトルネックとなっていた部分はどこだったのでしょうか。

H:導入以前に関わっていたプロジェクトはちょうどリリース直前の段階でして、あとはアップデート以降の対応を残すのみといった状況でした。当時のアセット管理は全て社内NASに置かれたスプレッドシート上で行なっており、多重管理が常態化していました。

また、コンソールタイトルということもあってアセット数自体も多く、「過去に遡ってアセットの情報を見たい」「これから追加するコンテンツの仕様変更にリアルタイムに対応したい」という現場の要望に応える必要性を感じていました。


  • H氏
    株式会社ディンプス
    グラフィック開発部

トキトウ:多重管理というのは、具体的にはどういった状態なのでしょうか。

H:アセット単体のスプレッドシートだけでなく、例えばいつのアップデートで配信するものか、という「配信区分」のスケジュールなどは個別のスプレッドシートファイルが存在しており、管理シートが重複している状態になっていました。

T:キャラクターなどはアセットが増えすぎて、スプレッドシートのファイルが重くなり、開くこと自体が難しくなるという問題もありました。


Shotgun導入前に使用していたスプレッドシートの例

トキトウ:アセット管理だけでなく、例えば進行管理もスプレッドシートで行なっていたのでしょうか? そこでもファイルが重いといった問題は発生していましたか?

H:そうですね。私のいたプロジェクトの場合、マイルストーンとアップデートスケジュールを見ながら、現場のリードがタスク出しをしていました。進行管理担当と、各デザインパートの作業内容や見積もりに精通しているメンバーが密にコミュニケーションすることによって、精度の高いスケジューリングはできていたのですが、やはり負担も大きく、実作業時間の1〜2割程度はその時間に充てられていたような印象でした。

T:こうした細かな問題は各プロジェクトにあったようで、一度「スプレッドシートあるある」を共有する会をやろうということで、有志で集まったんです。そこで話し合い、「より効率的な管理手法に見直そう!」という結論になったのが、Shotgun導入のきっかけでした。ですからもともとShotgunありきではなく、スプレッドシートから脱却してより効率的な管理をしようというのが先でしたね。

H:スプレッドシートあるあると言えば、例えば別プロジェクトからマクロを提供してもらっても、汎用性の問題からシンプルに流用ができないという問題もありました。スプレッドシートのマクロのナレッジを蓄積するのか、それとも外部ツールに頼るべきか、そういう話題は結構出ていましたね。

Shotgunアカウントの発行状況もShotgunで管理

トキトウ:こうした問題を解決するために外部ツールを探していたということですが、Shotgun導入までの経緯を教えていただけますか?

T:全体的な流れで言うと、2017年に大阪で開催されたShotgunのハンズオンセミナーに参加して、そこから3ヶ月の検証期間を経て導入しています。ハンズオンに参加したのは私とHと、それとテクニカルの方、進行管理の方の4名でした。

H:当時からShotgunは既に多くの動画チュートリアルが用意されていたので、それを観て既存のアセットを入れ込んだテストプロジェクトを起ち上げたりしていました。その検証結果を社内でプレゼンしたのですが、思ったより多くの方が来てくれました。

トキトウ:その際の反応はいかがでしたか?

H:賛否両論でしたね。そのときはスプレッドシートとのちがいがあまり見えてこなかったのだと思います。「スプレッドシートは確かに大変だけど、これで劇的に改善するの?」という。聞き手も様々な立場の方がいたので、意見はバラバラでした。

M:そのとき私はまだ入社2年目で、別の外部ツールによるアセット管理を行なっていましたが、かなり限定的な使い方でしたので、全体管理を行えることが新鮮に映りました。


  • M氏
    株式会社ディンプス
    第一制作部

H:そのときに取ったアンケートでは、「興味はあるが、検証までは時間が割けない」という方が半数程度で。こうした流れでMにも検証を手伝ってもらうようになり、現在は3名がShotgunの管理者という位置づけになっています。

M:そうですね、いまはここにいる3名がadmin権限です。ただ、今後はTのみがShotgunのadmin権限をもち、私とHは各プロジェクトのShotgunマスターというかたちでフィールドやエンティティの管理を行うのが理想的かと思っています。このあたりはまだまだ試行錯誤中ですね。

トキトウ:社内プレゼンなど、事前検証はかなり積極的に行われていたのですね。タスク管理やアセット管理の外部ツールは他にも選択肢があるかと思いますが、最終的にShotgunに決めた理由を教えて下さい。

H:最初は外部協力会社様より受け取った納品物管理のため、という限定的な導入でした。Mのプロジェクトでは別のツールでやっていたことなのですが、私のプロジェクトではこの工程をShotgunで完結することを目指しました。キャラクターモデルや衣装パーツなどの制作を外部協力会社様へ発注する際、「アセットごとにコミュニケーションを取ることができる」というのが強い魅力でした。

従来は協力会社様とのコミュニケーションにSkypeを使っていましたが、ツールを移動することがないというのがすごく良かったです。メールやSkypeにやりとりが分散されず、アセット自体のやり取りや指示などのコミュニケーションも含めて同一ツールで完結できるというのは、作業の効率化に繋がりました。

T:私自身はコミュニケーションツールとしてよりも、仕様がどうなっているか、その仕様がどのような経緯で決まったか、またどの情報が最新なのかがわかりづらいという悩みが大きかったので、それは解決できるのではないかと思いました。今は試行錯誤の最中ですが、自分の勉強と頑張り次第で開発のみんなが幸せになれるんじゃないかな、とは思っています。

トキトウ:現在はどのようなかたちで運用をしているのでしょうか。

H:先ほども申し上げた通り、アセット管理と外部協力会社様の作業管理として用いています。今はShotgunのタスクリストにSubversion(SVN)で管理している作成資料や作業データへのリンクを記述し(ファイルリンク機能)、関連リンクへのアクセスを速めています。その後、アセット単位で修正案のやり取りを行い、ステータスで進捗管理も行なっています。

機密性が高いプロジェクトもあるので、権限のカスタマイズはフル活用していますね。IP制限のチェックのため社外からアクセスして確認したり、権限の見え方チェックとして別ユーザーとして表示させる機能を使って、重要情報が見えていないかなどを確認したり......これはブラウザだからこそできるチェック方法ですね。

ディンプスの開発タイトルにおけるShotgunの管理画面の一部。左:アセット詳細画面、右:ノート画面。アセットに関する修正等のやりとりはレビューではなく各アセットのノートで行い、一覧できるようにしている

T:アセット管理は細かくタスク分けされていて、社内と社外も分けて管理しています。関連資料のところにSVNのリンクを貼ってあり、アップデート要素の場合は配信区分も一覧でまとまっています。それと、アセットごとのガントチャートとスタッフごとのガントチャートも分けて作っていて、全体の進捗と併せて各担当者のタスク負荷も見られるようになっています。


アセットリスト。アップデートで追加されるアセットは「配信区分」の列で配信日などを管理


アセットごとのガントチャート


スタッフごとのガントチャート

H:あとは、私のプロジェクトには新しいツール好きの方がいて、その方が自主的に過去のアセットも含めて全てShotgunにインポートしてくれていて。特にお願いしていなかったのですが、自分からアセットの配信タイミングに関するメタデータを作っていたり、とにかくこちらが想定した以上の使い方をしてくれていますね。

トキトウ:独自レイアウトなど、御社特有の運用方法があれば教えて下さい。

T:独自かどうかはわかりませんが、実際のプロジェクトのほかに、エンティティやユーザーを管理するプロジェクトを作っています。これはカスタムエンティティがどのように使われているかをまとめたものです。あとはボーンデジタルさんのサポートに質問したことをチケットでまとめていったり。これもおそらく100通以上あると思うのですが、かなり親切に答えていただいていて、こういった情報を俯瞰的に確認できるプロジェクトを作っています。また、Shotgunのアカウントの追加も、忘れないように個別タスクとして登録しています。


Shotgun上でアカウント管理を行うプロジェクトのデフォルトページ。「来月から1人アカウントを追加してほしい」等の依頼を他部署から受けたタイミングで、タスクを追加している。「1年契約なので空きアカウントも出てくるため、そのあたりのやりくりにも使います」(T氏)


デザインページをカスタマイズして、アカウント管理タスクを一覧できるよう工夫したレイアウト。アカウント作成、無効化などのタスクの有無と、有効ユーザーやアカウント数などがこの画面を見るだけで把握できるようになっている


社内で使用するShotgunのカスタム権限についてまとめたスプレッドシートを、Shotgun上で表示できるようにしている

トキトウ:こうした運用を行なった結果、新たに得られた効果や気づきはありましたか? また、今後の課題などがあれば教えて下さい。

M:私のプロジェクトはプロトタイプ段階なので、作って壊してが基本なのと、いまはスクラムで全体を管理していることもあってデザイナーだけがShotgunを用いるという二重管理に近いかたちになっています。3ヶ月ほどこの体制で運用してみた結果、今のところは量産フェーズでの有用性が未知数であるため、やはり制作フローや制作物自体が固まっている状態で導入するのがベストだと思いました。とはいえ皆にShotgunを触ってもらって、全体的に慣れて来ていますので、今は量産に向けて様々なパートと話し合いながら土台を作っています。

T:今後としては、例えばMayaとの連携を考えたり、SVNでコミットしたときに連携するようにしたり、あとはファイルリンクからSVNアップデートするようなかたちを考えています。APIを活用した効率化・自動化は既にプロジェクトでも実用段階にありますが、これらを主軸に環境構築していきたいと思っています。

トキトウ:最後に、Shotgun導入を考えている方に向けてメッセージをお願いします。

T:Shotgunはユーザーコミュニティが活発であると感じます。イベントなどでお話をすると、みんな抱えている問題が一緒だということもわかりますし、思っていることを共有できるのがすごく嬉しかったです。質問も積極的にできますし、すごくフレンドリーな方が多い印象です。スプレッドシートからの移行も手順はシンプルとはいえ、ある程度Shotgunがわかった上でやらないと難しい部分もあるので、こうしたコミュニティで情報収集されるのがオススメです。

H:コミュニティつながりで言えば、先日東京で開催されたユーザー懇親会ではエフェクトアーティストの方がいらっしゃって、制作ワークフローに強い興味をもたれていたんですね。納期が決まっているプロジェクトでは、エフェクトやサウンドのような下流工程になるにつれ作業時間がタイトになってしまうのが一般的かと思いますが、「どのタスクが重く、ボトルネックになっているのか」がリアルタイムでわかることで、いつ作業が手元に来るかの心の準備もできますし、そのための事前準備もできるようになります。

さらに、タスクが整理できていることで、「自分の次にはこのパートが待っている」ということを意識しながら丁寧な作業ができるようにもなります。大量アセットを一元管理できるというのも大きな魅力ですが、全体の物量が見えれば、みんながみんな心構えができる。これが大きなモチベーションになっています。

M:Shotgun導入については、アセット管理なのかスケジュール管理なのか、何がしたいのかを明確にするのが一番大事だと思います。ディンプスは現場スタッフのコミュニケーションも活発ですが、会社全体としても効率化や新しい技術への取り組みに積極的なので、私たちがしっかりとサポートできる環境であると感じています。また、パートリーダーの管理コスト低減のためにShotgunが活用できると思っているので、彼らが確認しやすいようなレイアウトを作ったり、入力する項目を絞っていくなどの土台を作って、実作業時間をしっかりと確保してもらえるようになるのが理想です。人材不足など、業界全体の問題もありますが、管理コストの低減は解決の手がかりになるのではと感じています。

トキトウ:ありがとうございました。



Shotgunの設定例を動画で紹介!

ショットガン・トキトウがコンソールゲームにおけるShotgunの設定例を解説!!
スプレッドシートからの脱却のアイデアをお見せします。


動画の閲覧はこちらから

Profileプロフィール

株式会社ディンプス/Dimps

株式会社ディンプス/Dimps

2000年設立、大阪に本社を構える。「世界に喜びと感動を与える」というビジョンを掲げ、コンシューマ、スマートフォンなどプラットフォームを問わず幅広いゲームタイトルの開発を手がける。最近の開発タイトルに『スーパードラゴンボールヒーローズ ワールドミッション 』(2019)、『ソードアート・オンライン フェイタル・バレット』(2018)、『ドラゴンボール ゼノバース2』(2016)など
www.dimps.co.jp

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