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CGWORLD 221号の第1特集(P.20~45)で紹介された3DCG女子高生『Saya』。
その生みの親であるTELYUKAが、今夏から導入したのが、BOXX Technologiesのハイエンドワークステーション「APEXX 5 8900」だ。
実際の使用感などについて、お二人のリアルな声を伺った。
*「最強ワークステーション」:BOXX APEXXシリーズにおいて最も高い拡張性を有している機種であるということ
『Saya』の8K映像化にAPEXX 5 8900をフル活用
CGWORLD( 以下、C):やはりAPEXX 5 8900を導入されたのは『Saya』を制作するためでしょうか?
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石川晃之氏(以下、晃之):実は2015年10月にTwitterで初めて公開した時、『Saya』はまだ静止画の状況でしてAPEXX 5 8900も導入していませんでした。
石川友香氏(以下、友香):CG業界に対して技術的なアピールができればよいかなと思い、最初は研究として自分たちの空いている時間に『Saya』の制作に取り組んでいました。
晃之:この時、ものすごい反響で多くの企業から協賛のお話などをいただいたのですが、次にどうするかを考えたときに私たちは"『Saya』を映像化して8Kディスプレイに映し出す"ことを目標にしたんです。
友香:8Kディスプレイは人間の目と同じくらいの解像度ということで、私たちのつくり出す3DCGももしかしたら実在感が出せるんじゃないかと、そこにチャレンジする魅力を感じて。
C:なるほど、そのチャレンジのためにはAPEXX 5 8900が必要だったと?
晃之:はい、正直に言うと最初からAPEXX 5 8900を選んだわけではないんですが、必要なスペックを挙げていったらそれを満たすのはBOXXさんの製品しかありませんでした。
友香:8Kディスプレイに出力することを考えると、NVIDIA Quadro M6000を2枚搭載できることが条件だったので。
C:現在はどんな作業にAPEXX 5 8900を使われているのでしょうか?
晃之:主にレンダリングです。例えば、今制作している『Saya』の映像では背景をレンダリングするのに1フレームに2時間ほどかかります。これが、以前使用していたCore i7-5960X搭載の自作パソコンですと、約5倍の10時間もかかってしまいます。
C:CPUのスペックがリニアに影響してくるんですね。
晃之:ただ、実はここまでハイスペックのマシンを使うのは今回が初めてで、最初はAPEXX 5 8900の36コア72スレッドもあるXeonのパワーを半分しか使えないなんていう、ハプニングもありました。
C:なんと、そんなこともあったんですね(笑)。
性能面だけでなく
コストパフォーマンスも優秀
C:さて、これまで約半年間BOXXを使われてみていかがでしたか?
友香:作業で何が怖いかというと、レンダリングのときのトラブルです。
レンダリングする時は、1フレームにかかるだいたいの時間から動画全体のレンダリング時間を計算して時間を確保するので。
途中でPCが落ちているとまさに阿鼻叫喚(笑)。
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晃之:夏場に3日間連続でレンダリングを回し続けるといったこともあったのですが、APEXX 5 8900はまったく問題なく安定動作しましたね。
友香:従来の空冷と全然ちがって、水冷なので耳障りな音がないのも良いですね。
C:最近はクラウドレンダリングという選択肢もあるのではないでしょうか?
晃之:そうですね。ただ、レンダリング用のデータの取りまとめに時間を要するのがネックで、修正のために何度もレンダリングが必要な場面では手間がかかるんです。
C:手元に高性能なマシンがある方が、手早く作業できるということですね。ほかに、APEXX 5 8900を導入して感じたメリットはありますか?
晃之:はい。APEXX 5 8900はマシンパワーが高いので、裏でレンダリングを回しながら、同時に他の作業も割り当てられるなど、柔軟に使えるのが魅力です。
また、コストパフォーマンスも良いと思います。安価なマシンでも複数購入すると、それに合わせてソフトが必要だったり、管理の手間がかかったり。
作業の待ち時間なんかも入れて1年、2年のスパンで考えると、結局はAPEXX 5 8900一台で済ませた方が安いという計算になるケースも多いのではないでしょうか。
友香:あと私たちは自宅で作業しているので置き場所に困らないとか、消費電力も低いという面でも助かっていますね。
C:最後に今後の展開を教えてください。
晃之:先日の「CEATEC JAPAN 2016」で動く『Saya』を初めてお見せできましたが、実際にやろうとしていたことの20%ぐらいしかまだできていなくて。2017年春の完成を目指しています。
友香:そこからは『Saya』を使って商品や広告などに対応していこうと思っています。また、『Saya』で培ったキャラクター制作のノウハウが貯まってきたので二人目、三人目と量産していくかたちになるのかなと。
晃之:落ち着いたらGPUによるリアルタイムレンダリング、そしてVR、AIへの対応なども検討していきたいですね。
POINT 01
8K出力対応の圧倒的な高性能
実在感を得るための挑戦ということで、今回は8K/60Pの超高精細映像を出力できる機材が不可欠だった。 TELYUKAの条件を満たす製品を検討したところ、2つのCPUで最大36コア、72スレッド動作のXeonやNVIDIA Quadro M6000を2枚搭載できるなどの圧倒的なスペックから、必然的にAPEXX 5 8900となった。
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『Saya』のシミュレーション作例。データが非常に重いためレンダリングだけでなく、髪や服などのシミュレーション作業においてもBOXX APEXX 5 は重宝しているそうだ
- 実際、V-Rayによるレンダリング速度が劇的に向上したほか、友香氏によると、MARIによるテクスチャ作成で何層にもレイヤーを重ねてキャッシュが10~20GBほどになった状態で作業しても快適に動作するとのこと。 今後さらに増えるであろう4K、8KやVRの映像制作に最適なマシンといえる。
POINT 02
動作音が静かで拡張性も抜群
高性能なマシンは発熱の大きいパーツを冷却するために多くのファンを搭載し、動作の負荷に応じて唸るような騒音が発生する場合が多い。
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BOXX APEXX 5 8900の筐体内部の参考画像。独自設計ならではのパーツレイアウトが見て取れ、拡張性を追求した構造になっている
- その点、APEXX 5はCPUの冷却に高耐久性の液体クーラーを採用し、その圧倒的なスペックからは考えられないほどの静音性を実現している。 自社設計・製造の筐体デザインを採用し、グラフィックスボードを最大5枚まで搭載できるなど、高い拡張性を備えているのもポイント。 実際、晃之氏もレンダリングの際は1TBの大容量SSDを増設して使用したそうだ。
[ まとめ ]
実写にしか見えないと話題の女子高生3DCGキャラクター『Saya』。 その8K映像化を支えているBOXX APEXX 5 8900。ハイパフォーマンスであるだけでなく、安価なマシンを複数台導入するよりも管理に手間がかからず、コストも抑えられるのが大きなポイントだ。 夫婦の制作ユニットであるTELYUKAのストーリーは、フリーランスのクリエイターだけでなく、より多くのスタッフを抱えるCGプロダクションにとっても、今後、益々増えるであろう4K、8Kの案件に対応するための参考になる導入事例といえる。
TEXT_舟橋亮人(スプール)
PHOTO_弘田充
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