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一般的な3DCG制作と比較して、建築に関する全てのデータを内包するBIMは高いPCスペックを求められる傾向にある。今回は、建築分野のビジュアライゼーションで主流となっているRevitとTwinmotionを使用したBIMオペレーションに必要なPCスペックを、業界の先駆者であるM&F、HAB Inc.の3名に聞いた。
TEXT_神山大輝(NINE GATES STUDIO)
PHOTO_島田建二
▲パソコン工房 CG・映像制作者向けブランド「CG・MOVIE GARAGE」販売サイト。本企画でM&Fが監修した建築業界向けCAD/BIM、Revit・Twinmotion活用PCが紹介されている。各ラインナップともに、目的に合わせて余分な構成は省き高いコストパフォーマンスを実現している。今後さらなるラインナップが登場予定だ
製品紹介ページはこちら建築に関する全ての情報を内包するBIMを効率よく制作したい
パソコン工房スタッフ:普段からRevitとTwinmotionを扱っているとのことですが、具体的にはどのような事業展開を行なっていますか?
M&F 守屋正規氏(以下、守屋):現在は図面制作などを含めた建築に関する全般的な事業を展開しています。一般的な建築物だけでなく、高層ビルや何万平米という大型の病院など、非常に大きな建築物も扱っています。
M&F 増子真一氏(以下、増子):私はRevitのオペレーターを10年程やっていて、BIM形式の意匠図の制作が主な業務です。BIMというのは、壁や柱などの意味を持ったオブジェクトの集合体で、値段、体積、重さ、素材、経年劣化などに関する時間の概念など建築に関する情報をすべて含めることができます。施工図ではなく、一般的な皆さんの考える設計図のようなものです。
パソコン工房スタッフ:BIM制作で一般的に用いられるPCはどういったものが多いのでしょうか?
増子:現在はワークステーションが中心です。ですが、現在はそこまで大規模な編成でなくても制作が出来るはずだと考えていたので、今回このような検証をやらせていただく形になりました。Revitはデータ容量というよりはR(曲線)の数の大小で重さが変わってくるため、どういったスペックが適しているかは検証の余地があります。
HAB Inc. 岡田翔碁氏(以下、岡田):Revitの場合、描画していない部分まで干渉チェックを行う関係で、画面外のオブジェクトも含めて細かい計算をしているために挙動が遅くなりがちです。また、Revitだけでなく、Revitと連携して描画処理を行うTwinmotionのパフォーマンスも今回の検証対象としています。
RevitのパフォーマンスはCPUのクロック周波数が、TwinmotionにはGPUが大きく影響
パソコン工房スタッフ:検証では「iiyama SENSE∞」の、スタンダード、アドバンス、プロと、スペックの異なる3機種を使用していただきました。いかがでしたか?
増子:今回は普段業務で行う工程にかかる時間を全て計測しました。結論から言うと、今回はスタンダード、プロが非常に優秀でした。中でも一番負荷がかかる作業は鉄筋6,000パーツを複製する工程ですが、これはスタンダードが182秒、プロが183秒となっています。
守屋:どのモデルを見ても、シングルコアで100%使い切っていますね。スタンダードはCore i9-9900Kなので、これは完全にクロック周波数の高さ(最大5.0GHz)が結果に出たからだと思います。
増子:ビューの切り替えやレンダリングもそれほど差が出ず、GPUの出番はあまりない形でした。ビューの切り替えに関しては、メモリのチャンネルか、CPUのキャッシュ容量が効いた形だと思ってます。Revitで使うにあたっては、ファンの動作音なども含めて、スタンダードで充分な感じがありました。
パソコン工房スタッフ:Twinmotionについてはいかがでしたでしょうか?
増子:最も重要なRevitとのつなぎ込みを行うDynamic Linkは、スタンダードモデルが書き出し28秒+読み込み110秒、プロモデルが書き出し36秒+読み込み108秒となりました。Revit側はCPUベースで動くためスタンダードが優勢ですが、Twinmotionだとコア数に起因してプロの速度が若干出ている形になっています。ただ、スタンダードの出番はここまでで、例えば人間を複数配置するなどの重い処理はGPUの性能が物を言う形になりました。
岡田:GPUに関しては、今後必ず必要となるVR対応を考えていくと、さらに重要度が増すと思います。そういった点では今回はQuadro P2000では性能不足となりました。
パソコン工房スタッフ:今回の検証を終えて、実際に使用するならどのモデルが適していると考えましたか?
守屋:ワークステーションは保守面などで魅力的であるのは前提として、いち企業としてはスタンダードの20万円という値段は非常に魅力的です。プロのTITAN RTX 24GBも男のロマンという感じがして好きなのですが、実際にはRevit専門のオペレーターにはスタンダードをチョイスし、Twinmotion用には別モデルを用意するなどの形になると思います。安かろう悪かろうは結局時間的コストとなってしまうので、価格とスペックのバランスを最も重視します。
検証内容
下記3検証機を用いてRevit、Twinmotionのソフト起動から、ビュー切り替え、オブジェクト生成、シミュレーション、レンダリングまで代表的な工程における作業速度を計測した。
[スタンダードモデル]- CPU
- インテル Core i9-9900K、プロセッサー(3.6-5.0GHz/8コア/16スレッド)
- メインメモリ
- 16GB
- SSD
- 480GB NVMe M.2 SSD
- VGA
- GeForce RTX 2070 Super 8GB GDDR6
- CPU
- インテル Core i9-9820X、プロセッサー(3.3-4.2GHz/10コア/20スレッド)
- メインメモリ
- 32GB
- SSD
- 480GB PCI-E NVMe SSD (Optane SSD 900P)
- VGA
- Quadro P2000 5GB GDDR6
- CPU
- インテル Core i9-9920X、プロセッサー(3.5-4.5GHz/12コア/24スレッド)
- メインメモリ
- 32GB
- SSD
- 480GB PCI-E NVMe SSD (Optane SSD 900P)
- VGA
- TITAN RTX 24GB GDDR6
検証結果
Revitは基本的にCPUのシングルスレッド処理にのみ対応のため、クロック周波数が最も重要という結果となった。スタンダードは16スレッド、アドバンスは20スレッド、プロは24スレッドとCPUコア数もリニアに上がっているが、Revitはレンダリングにおいても16スレッドまでの制限があるため、同じスレッド数なら動作クロックに影響してくる形となる。また、3D ViewにおいてはCore i9-9900KよりもCore Xの方がコアあたりのキャッシュの量やメモリチャンネル数で優れており、0.4秒早い結果となった。
一方、TwinMotionではGPU性能差が顕著に見られた。Demoscenes Materials room(デフォルトで用意された部屋の内装データ)におけるFPSはスタンダードで116fps、プロで172pfsと大きく差が開いており、P2000搭載のアドバンスではわずかに47fpsという結果となっている。また、単体で実行可能なexeファイルでBIMモーションを書き出す機能では、Unreal Engine 4の特性上コア数の多いCPUが優れており、プロが最も早い結果となった。いずれRevitのマルチスレッド対応が行われれば大きく状況が変わることになるが、現時点でのBIM制作においては純粋なCPUコア数よりもクロック周波数が優れたモデルが優れていることが分かった。
オススメモデル
今回の検証結果を受け、特にパフォーマンスの出づらかったアドバンスモデルを改定。Revitに対して高いパフォーマンスを発揮したCore i9-9900K を搭載するスタンダードモデルをベースとし、Twinmotion側のパフォーマンスを向上させるためにGeForce RTX 2080 Tiおよびメモリ32GBを搭載するという方針のアップグレードを行なった。従来のアドバンスモデルよりも6万円ほど安価かつパフォーマンスも高いモデルとなっているため、コストパフォーマンスに優れたスタンダード、ロマンとも言えるスペックを持つプロとあわせて、現場に最適なスペックをチョイスしていただきたい。
スタンダードモデル
SENSE-R041-i9K-TWX-CMG
Revit/Twinmotionを使用したCAD・BIM編集作業に対し、コスパに優れるパーツを厳選したモデル
\199,980(税抜)
- OS
- Windows 10 Home 64ビット
- CPU
- インテル Core i9-9900K
プロセッサー(3.6-5.0GHz/8コア/16スレッド/16MBキャッシュ/TDP95W)
- CPUクーラー
- 空冷クーラー
- メインメモリ
- DDR4-2666 8GB×2(デュアルチャンネル/計16GB)
- SSD
- 480GB NVMe M.2 SSD
- VGA
- GeForce RTX 2070 Super 8GB GDDR6
- ODD
- DVDスーパーマルチ
- チップセット
- インテル Z390 Express チップセット
- ケース
- ミドルタワーATXケース
IN-WIN EA040 [フロントUSB3.0]ブラック
- 電源
- 700W 80PLUS BRONZE認証 ATX電源
アドバンスモデル(変更後)
SENSE-R041-i9K-XYX-CMG
Revit/Twinmotionを使用したCAD・BIM編集作業に対し、M&F様のワークフローに最適化した、コストとパフォーマンスを最大限両立させたモデル
\274,980(税抜)
- OS
- Windows 10 Home 64ビット
- CPU
- インテル Core i9-9900K
プロセッサー(3.6-5.0GHz/8コア/16スレッド/16MBキャッシュ/TDP95W)
- CPUクーラー
- 空冷クーラー
- メインメモリ
- DDR4-2666 16GB×2 (デュアルチャンネル/計32GB)
- SSD
- 480GB NVMe M.2 SSD
- VGA
- GeForce RTX 2080 Ti 11GB GDDR6
- ODD
- DVDスーパーマルチ
- チップセット
- インテル Z390 Express チップセット
- ケース
- ミドルタワーATXケース
IN-WIN EA040[フロントUSB3.0]ブラック
- 電源
- 700W 80PLUS認証 ATX電源
プロモデル
SENSE-R42A-LCi9SX-ZYI-CMG
Revit/Twinmotionを使用したCAD・BIM編集作業に対し、パフォーマンスを徹底追及したモデル。12コア24スレッドのマルチコア性能に優れるCPUであり、さらにメモリの搭載量が必要になる場合により優れたパフォーマンスを発揮します。
\699,980(税抜)
- OS
- Windows 10 Pro 64ビット
- CPU
- インテル Core i9-9920X
プロセッサー(3.5-4.5GHz/12コア/24スレッド/19.25MBキャッシュ/TDP165W)
- CPUクーラー
- 水冷クーラー
- メインメモリ
- DDR4-2666 8GB×4 (クアッドチャンネル/計32GB)
- SSD
- 480GB PCI-E NVMe SSD (Optane SSD 900P)
- VGA
- TITAN RTX 24GB GDDR6
- ODD
- DVDスーパーマルチ
- チップセット
- インテル X299 Express チップセット
- ケース
- ミドルタワーATXケース SST-TJ04B[フロントUSB3.0]ブラック
- 電源
- 850W 80PLUS GOLD認証 ATX電源
※価格および各パーツのスペックは2019年9月時点の情報です。予告なく変更される場合があります。製品購入はこちらからwww.pc-koubou.jp/cmg/
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