NVIDIAは、コンピュータアニメーションによる長編映画や短編映画の制作を加速するため、ピクサー・アニメーション・スタジオがレンダリング関連のさまざまなNVIDIAテクノロジについてライセンスを受けることを発表した。
■ 概要
ライセンス契約は複数年度にわたる戦略的なもので、これにより、ピクサーは、NVIDIAの準モンテ・カルロ(QMC)レンダリング手法各種が利用できるようになる。これはレンダリング効率を高められる手法で、特にGPUなどの超並列コンピューティング・アーキテクチャを採用した環境で真価を発揮する。NVIDIAのエンジニアリング担当副社長兼レンダリング技術担当CTOであるスティーブン・パーカー氏は、次のように述べている。「NVIDIAとピクサーは、長年にわたって協力し、コンテンツ制作ワークフローの改良に努めてきました。NVIDIAのQMCサンプリング・テクノロジを使えば、生みだす映像とアニメーションの品質を最高に保ちつつ、ピクサーのクリエイティブなプロセスを加速することができます」。ピクサーの副社長兼CTO、スティーブ・メイ氏は、次のように述べている。「ピクサーでは、アニメーションや映画制作プロセスの限界を打ち破るため、昔からNVIDIAのGPUテクノロジを活用しております。NVIDIAが実装したQMCには、レンダリング機能の拡充とレンダリング時間の大幅削減を実現できる可能性があります」。
ピクサーは、高性能なサブディビジョン・サーフェス評価を超並列CPU・GPUアーキテクチャで実現する「OpenSubdiv」(オープンサブディブ)というオープンソースのプロジェクトを推進しているが、今回の契約では、このプロジェクトにNVIDIAがレイトレーシング・テクノロジを提供することも定められている。この結果、アニメーションに用いられる複雑な「Catmull-Clark」(キャットマル・クラーク)サブディビジョン・サーフェスのレンダリング精度がかつてないレベルまで向上すると期待されている。