世界最先端のIT機器を手がけるブルレー(本社・シカゴ市、社長・ダグラス・クローン)の日本支社(東京)は、プロ仕様で50万円台の低価格を実現した米Formlabs(フォームラブス)製光硬化型卓上3Dプリンタ「Form(フォーム)2」を日本国内で発売する。出荷は、12月初旬の予定だ。
ブルレーでは、特に、各種デザイン会社、建築・土木、設計事務所、各種研究機関、医療分野から大学などアカデミー分野への販売に注力する方針で、日本国内において、初年度400台の販売を見込んでいる。
■Form2
Form2は、小型の業務用光硬化型3Dプリンタが数百万円という数年前に40万円台という破格な商品化で注目を集めた「Form1+」の後継機だ。前機種に比べて、誰にでもすぐ使える設計がされている。操作はタッチパネル式で入力が容易。プリンターの画面で作業状況も一目で確認できる。
さらに精緻な仕上がりと操作性向上が図られ、複雑な形状にも対応できる完成度の高いプロ仕様の光硬化型3Dプリンターとなった。しかも 549,800 円(消費税別)と低価格を実現している。
■改良点
1.強力なコアコンポーネント
Form2のレーザー出力はForm1+よりも50%増強し、さらにスポットのサイズを小さくしたことにより、シャープで精緻なプリントが可能となった。レーザーを指示するガルバノミラーの大幅な見直しで、より細やかな品質管理を可能にし、信頼性を長期的に維持できる。
2.新機軸の剥離機構
剥離機構は、ひとつひとつの層をプリントする時の部品にかかる負担を低減するため完全に見直し、安定性と耐久性を重視した設計にした。一層のプリントが終わるとタンクはスライドしながら造形物から離れる。造形物が上昇すると同時にワイパーが新しいレジン(液体エポキシ樹脂)でPDMS (ポリジメチルシロキサン:シリコン)層を再構築する。そのワイパーも安定性を増し、さらにタンク内のレジンを均等に分散させ、レジンを十分に撹拌することで PDMS 層に酸素を添加する。
剥がれる時の負荷を軽減し、PDMS 層上の蓄積を減少させることにより、タンクをより長持ちさせられる。
3.加熱できるレジンタンク
レジンタンクはレジンを 35°Cに加熱することで、レジンの粘性を和らげ、タンク内での流動性を確保し、硬化特性も維持するようにした。レジンタンクの加熱機能はレジン毎に設定が最適化され、結果のばらつきをなくし、より安定したプリントを可能にする。
4.密閉されたプリンターシャーシ
光学装置は、ガラスシートで完全に密閉されている。そのため、ホコリやレジンの飛沫が光の通り路に付着することを劇的に軽減し、それらを要因とするプリントの失敗を防ぐことができる。このためミラーのクリーニングが不要で、メンテナンスは、ガラスのパネルとレジンタンクを綺麗に保つだけでよい。
5.レジン交換システムの改善
これまでレジンはボトルから手で注ぎ込む必要があったが、カートリッジ方式のため、プリンターの背面に装填するだけである。レジンは使い切るまで自動供給される。
レジンカートリッジとレジンタンクは、IDチップで本体に管理されており、もし異なる種類のレジンやレジンタンクを使おうとするとプリンターが警告する。
またカートリッジを使い切った時やレジンタンクがどのレジンと共に使われているのかを知ることもできる。
6 タッチスクリーンによる簡単操作、Wi-Fi プリント
Wi-Fiが搭載された本体は、パソコンから送信した複数のプリントジョブを保存できる。本体操作は、タッチスクリーンにより簡便に行え、プリンターの状態を一目で確認できる。プリントファイルのプレビュー表示も可能だが、機密性が求められる場所では、ディスプレイ機能を無効にすることもできる。
また、残りの造形時間などの重要な情報も表示されるので、プリンターに張り付いて造形の完了を待つ必要はない。
新しいオンラインダッシュボードに登録すると、プリント開始時や完了時、またレジンの残量が少ない時などにアラートで通知される。
■光硬化型3Dプリンタの仕組み
Form2は、レジン(液体エポキシ樹脂)をレーザー光の照射で硬化させる ステレオリゾグラフィ(光造形法)を用いており、光硬化型と呼ばれるタイプの3Dプリンタだ。
造形物は、一層づつレーザー光線を照射し描かれ、全ての層が完了したらレンジ槽から取り出される。その後、アルコール洗浄し、造形物からサポートを取り除き、造形完了となる。一般的なプラスティック用塗料で着色も可能だ。
ひも状に加工されたABS樹脂を融解、ノズルから射出し積層して造形物を作り上げる熱溶解積層方式に比べて素材の無駄もなく、高解像度で滑らかな仕上がりが最大の特長である。これまでの試作段階にとどまらず、商品製造分野での利用も望めるプロ仕様の商品となっている
■主な仕様
造形最大サイズ:X軸145mm×Y軸145mm×Z軸175mm
最小積層ピッチ:25ミクロン
レーザー出力:250mW
レーザースポットサイズ:140ミクロン
電源:100-240V
外寸:幅350mm×奥行き330mm×高さ520mm
重量:13kg
■ブルレー
ブルレーは、日本では入手困難な海外の最新の3Dプリンターや3Dスキャナーを取り扱っている。米国 Makerbot Replicator 製の3Dプリンター「Replicator2X」 を日本でいち早く国内サポート付で販売した。
また、最新の3Dプリンターから3DのスキャナーとCADソフトなどを品揃えし、購入希望者に操作面や造形物の品質を比べ、最適な商品とソリューションを選択できる唯一のショールームも開設した。
www.brule.co.jp