今回は久しぶりに背景を作成してみました。ファンタジー作品に多く登場する神殿の作成です。
※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 209(2016年1月号)からの転載記事になります
STEP 1:背景の仕事は意外と多い
![](/regular/regular/images/1512_garyu/A01.jpg
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▲仕事の割合をみると意外と多いのが背景の仕事。華やかなキャラクター表現に目がいきがちですが、物語の世界観を構築する背景の制作はとても重要なパートです。また、制作方法も時代のながれでずいぶん変わってきました。以前は全部ゼロから作るのが当たり前でしたが、現在は3Dスキャンを応用したポイントクラウドやカメラマッピング、そしてライブラリも年と共に充実してきたので、モデリングそのものをしない場合も多くなりました。
STEP 2:モデル画像
▲モデル画像です。よく見るとわかる思いますが、ベースのオブジェクトは3つしか作成していません。それを円筒形に配置することで建物の形状を作成しています。
STEP 3:モデルの作成
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/C01.jpg)
▲なるべく簡単に作ることが今回のコンセプトです。まずリピートすることを考えて壁の一部を作成します。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/C02.jpg)
▲Cloneモディファイヤを2回適用して円筒状に並べます。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/C03.jpg)
▲次は壁の足場のような部分を作ります。壁に沿うように少し曲がった足場を作成。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/C04.jpg)
▲最後は柱です。これはシリンダで簡単に。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/C05.jpg)
▲足場とシリンダ2本を1セットにして、これをCloneでコピーしていきます。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/C06.jpg)
▲最初に作成した円筒状のオブジェクトに沿って並べてみました。
[[SplitPage]]STEP 4:柱や蔦などのディテール
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/D01.jpg)
▲テクスチャを使用してのディスプレイスですが、そのままだとかなり形が崩れてしまいます。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/D02.jpg)
▲まずは基のテクスチャから影などを除去して滑らかにします。Bitmap2Materialを使用。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/D03.jpg)
▲後はPhotoshopなどでエッジを効かせて修正。凹凸のはっきりしたオブジェクトを作成します。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/D04.jpg)
▲続いて、壁の周囲にも細かいボックスを配置して情報量を上げます。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/D05.jpg)
▲さらにリピート感をなくすためにプラグインのgw::Ivyを使用して蔦を作成。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/D06.jpg)
▲壁にランダムに蔦を生やしました。
STEP 5:合成作業
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu//E01.jpg)
▲1:レンダリングしたままの画像です。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu//E02.jpg)
▲2:アップにすると蔦や石造りのディテールも見えてきますね。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu//E03.jpg)
▲3:まず上の穴からの光。フレア素材を足します。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu//E04.jpg)
▲4:Zマスクを使用して、フォグ素材を重ねていきます。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu//E05.jpg)
▲5:使用したZマスクです。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu//E06.jpg)
▲6:最後に色味を調整。少しハイコントラストにして仕上げました。
[[SplitPage]]Basic MAX
3ds Maxのちょっとした小技を紹介していく「Basic MAX」コーナー。今回のテーマは"並べる"です。モデルを作成した後は配置になりますが、これを手でひとつひとつ並べていくのはとても時間がかかりますよね。3DCGならではの機能でサクっと並べていきましょう。
Point 1:ビデオポスト
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/F01_a.jpg)
▲標準の並べ方といえば配置ツールです。画面の何もないところを右クリックすると図のような表示が出てきます。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/F01_b.jpg)
▲とても便利な基本機能のひとつで、パラメータを変えながらリアルタイムに配置することが可能です。
Point 2:スナップショットツール
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/F02.jpg)
▲スナップショットツールはこのようにアニメーションしているオブジェクトをコピーしてくれます。
Point 3:感覚ツール
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/F03.jpg)
▲パスに沿って並べたいときに使う間隔ツール。これもよく使うツールのひとつです。
Point 4:Cloneモディファイヤ
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/F04_a.jpg)
▲モディファイヤのCloneはとても有名なフリープラグインで、配列してもオブジェクトが増えないので非常に便利です。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/F04_b.jpg)
▲3ds Max 2016から搭載されたクリエイショングラフのサンプルでCloneと同じようなことができるモディファイヤもありますが、やや動作が重い印象です。
Point 5:スキャッタ
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/F05.jpg)
▲平面的にオブジェクトを並べるのはスキャッタですね。ランダムに並べることができます。
Point 6:ペイントオブジェクト
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/F06_a.jpg)
▲ペイントオブジェクトを使用してドローイングしながらの配置。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/F06_b.jpg)
▲このほかエッジに沿った配置も可能です。
Point 7:パスコンストレイント
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/F07_a.jpg)
▲変わったところではパスコンストレイントを使用しての配置。これだとスプラインの変形にも追従してくれます。
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/F07_b.jpg)
▲また、アタッチメントを使用したポリゴンへの配置も可能。ポリゴンを変形してもついてきます。
Point 8:RailClone
![画龍点睛 Vol.65:朽ち果てた塔神殿](/regular/regular/images/1512_garyu/F08.jpg)
▲大量に並べるならやはり市販のプラグインが便利ですね。RailCloneはとても簡単に大量のオブジェクトを配置できます。
[プロフィール]
早野海兵(はやのかいへい)
日本大学芸術学部卒業後、(株)ソニー・ミュージックエンタテインメント、(株)リンクス、(株)ソニー・コンピューターエンタテインメントを経て、フリーランスで活動。2007年(株)画龍を設立。
www.ga-ryu.co.jp
www.kaihei.net
@kai_hei