STEP 3:「ガス溶接の炎」を考える 〜溶接の炎を再現する〜
炎の色によってシミュレーションを分割して制作
ガス溶接のメインとなるガス炎を再現していきます。<1>ガス溶接の炎はSTEP 1で説明したように酸素と可燃性ガスの混合ガスに着火することで成り立ちます。その際、両ガスの混合比が溶接に適した炎を「標準炎」と言います。STEP 3では、この標準炎の炎を再現していきます。使用するツールはお馴染みのFumeFX。火口から出る炎は白心と言われる青白い炎となっていますが、金属に当たったあとは温度や酸素供給の変化により赤い炎に変化していきます。後ほどカラーの微調整ができるように「青白い炎」と「赤い炎」に分けて制作していきます。
まずは「青白い炎」の制作です<2>。火口から出てくるため、発生源となるパーティクルを火口のオブジェクト内から出るように配置し、金属と火口のオブジェクトを衝突判定素材として適用します。カラーと主なパラメータは図のように調整して炎の色と動きをコントロールしていきます。次に「赤い炎」です<3>。炎が赤く変化していく境界線となる部位は元の動画を見ると金属のちょうど中心位置から始まっているようです。この辺りに火花と同様にパーティクルの発生源用オブジェクトを配置し、そこから赤い炎用のパーティクルを発生させます。炎の動きは青い炎よりも大きく揺らめいてるのでパラメータもより動きが強くなるようturbulenceの数値を上げるなどして動画の動きに近づけていきます。そうしてできた「青い炎」と「赤い炎」のレンダリング結果と、2つを組み合わせた最終結果が<4>となります。
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完成
ガス溶接いかがだったでしょうか。偶然社内に溶接経験者がいたこともあって、構造や用語の確認ができ安堵。インターネットを活用して情報を収集するのも効率的で良いのですが、やはり実際に経験のある人に聞くのが一番です。それでは、また次回!
Profile.
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近藤啓太(ジェットスタジオ)
エフェクトを中心に映像制作をしております。三十路を超えてから定期的に体調不良が続いております。「無事是名馬」とは昔の人も言うように、元気が一番であります。元気があれば何でもできる!
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JET STUDIO
ゲーム、映画、遊技機映像など幅広く制作を行う、3ds MaxをメインツールとするCGプロダクション。ベトナムにも支社を構え、大規模な制作体制を採っている
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