>   >  新人講師がゼロから挑むUnityによる人材教育:No.08:遊んで楽しい、つくって楽しい、そして......
No.08:遊んで楽しい、つくって楽しい、そして......

No.08:遊んで楽しい、つくって楽しい、そして......

自機と操作とゲーム世界

さて、前振りが長くなり過ぎましたが、授業の報告に移りましょう。東京ネットウエイブでは9月14日に前期授業が終了し、遅めの夏休みを経て、10月12日から後期授業が始まりました。連載 第6回で説明したように、後期からは「あそびのデザイン講座」第08回~第11回のPDFを一度に配布して、自分のペースで課題を進められるようにしました。学生間の習熟度のちがいが無視できないレベルになってきたので、できる子はどんどん先に進めてもらおうと思った次第です。

その上で、毎回必要なスクリプトを印刷し、前回からの差分点に印をつけるようにしました。実は第07回以後はスクリプトの作成といっても、ゲーム全体の進行をつかさどる「Gamemanager.cs」ファイルの拡張がメインになっていきます。また、スコアや残機といったUI(HUD)を作成し、画面上に配置して、Gamemanager.csと連携させる作業も増えていきます。そのため、どこを修正するのかわかりやすくするために、このようにしてみました。

10月12日 あそびのデザイン講座 第08回「UIの表示」【スクリプト編】
PDFの内容に従って、スコアや残機といった情報をゲーム画面上に表示して、ゲームの進行に伴って変化するようにスクリプトを実装する。

10月19日 あそびのデザイン講座 第08回「UIの表示」【レベルデザイン編】
スコアや残機といった情報が加わったことで、ゲーム体験がどのように変化するか確認し、それに適したレベルデザインを工夫する。

10月26日 中間発表

11月02日 あそびのデザイン講座 第09回「あそびと時間」【スクリプト編】
PDFの内容に従って、時間内にステージ上の全てのブロックを消すとステージクリア。それができなければゲームオーバーになるように、スクリプトを実装する。

11月09日 あそびのデザイン講座 第09回「あそびと時間」【レベルデザイン編】
時間制限とステージクリアという概念が加わったことで、ゲーム体験がどのように変化するか確認し、それに適したレベルデザインを工夫する。

10月17日 あそびのデザイン講座 第10回「『リザルト』と『ハイスコア』」演習実施【スクリプト編】
PDFの内容に従って、ゲーム終了後にリザルト画面が表示されるようにする。その上でハイスコアが保存・更新されるように、スクリプトを実装する。

▲筆者が自作した第9回のプレイ動画


▲筆者が自作した第10回のプレイ動画


その一方で、連載 第6回で試した「制作途中の内容をビルドして、その都度提出する」というやり方は、早々に断念しました。制作作業に夢中になるあまり、ついビルドを忘れてしまう学生が続出したからです。ほかに、学生が自分のペースで進められるようになったのは良いのですが、レベルデザインをすっ飛ばして、スクリプトの実装だけを進める学生も出始めました。これでは「メカニクスを実装し、それに合ったレベルデザインを考える」という当初の目的からかけ離れてしまいます。

いろいろと考えた結果、第08回までの内容を基にレベルデザインだけに注力してもらい、中間発表を行う機会を10月26日にとりました(これによって学生間で進捗の差を埋める意味合いももたせています)。また、その際にビルドではなく、Windows 10の動画キャプチャ機能を用いて、Unityの実行時のプレイ動画を保存してもらい、こちらで動画を再生しながら紹介しました。7月20日に行なった中間発表より、さらに学生の制作内容がバラエティに富んでおり、驚かされました。

▲学生が制作したステージの概要


一例を挙げると、ボールが当たると消えるブロックをピンボールの床ではなく、奥の壁面に配置して、シューティングゲームのような体験ができるようなレベルデザインを行なっていた学生がいたことには、感心させられました。また、縦長のピンボール台をつくってバーを複数設置し、障害物を避けながら、ボールを先に進めていくだけのレベルをつくった学生もいました。第09回で実装する時間制限を加えれば、おもしろいゲームになりそうです。こうした学生の自由な発想力には、毎回のことながら、非常に驚かされます。

ただ、「自分だけが楽しい」段階で留まっている学生が多いのも事実。壁やブロックの反射係数をものすごく大きくしたり、ブロックの回転速度を非常に高速にしたりして、ボールがステージ上を高速で跳ね回る様を見て楽しむなどは好例です。時にはボールが台から飛び出してしまうこともありましたが、それすらもおもしろがっていました。そこで「天井に透明な板で蓋をすれば良いのでは。マテリアルを透明にする方法は、自分で検索してごらん」とアドバイスをしてみました。

このようにゲームの楽しさには「1. 遊んで楽しい」→「2. つくって楽しい」→「3. つくったゲームを他人に遊んでもらって楽しい」という、3段階が存在します。本授業の学生は、ほとんどが 2. の段階に到達しているようです。これを、いかに 3. にまで引き上げるかが、新たな課題として見えてきました。とはいえ、実際問題として 2. に到達しているだけで、大したモノだと思います。つくった結果がすぐに遊んでわかるUnityの長所が、うまく生かされた結果でしょう。

とりあえず前々回で紹介したとおり、「あそびのデザイン講座」は第11回で「ピンボール編」が終了します。そのため、ここから大きく変更することなく、このまま進めることにしました。10月30日、11月7日、11月21日の3回分で第11回まで終了させ、年内最後の授業となる12月21日に再び発表会を行う予定です。なんだか発表会ばかりやっている感じもしますが、これも早く 3. の段階に進んでもらうため。どんな発表が見られるか、今から楽しみです。

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