>   >  新人講師がゼロから挑むUnityによる人材教育:No.07:「あそびのデザイン講座」の根底に流れるデザイン思想とは?
No.07:「あそびのデザイン講座」の根底に流れるデザイン思想とは?

No.07:「あそびのデザイン講座」の根底に流れるデザイン思想とは?

ゲーム専門学校の新人講師がUnityを勉強しながら、「ゲームのおもしろさとは何か」について授業を行う泥縄式レポートの第七弾。水先案内人になるのがユニティ・テクノロジーズ・ジャパン(以後、ユニティ)から提供中の無料教材「あそびのデザイン講座」だ。今回は特別編として、「あそびのデザイン講座」の生みの親である安原広和氏へのインタビューをお届けする。

『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』シリーズをはじめ、数々のヒットタイトルを手がけてきた安原氏。GDC2018で「Classic Game Postmortem: 'Sonic the Hedgehog'」と題し、『ソニック』開発秘話に関する招待講演も行なった、レジェンド級のゲームデザイナーだ。その安原氏がなぜユニティに移籍すると共に、本教材を考案し、東京工科大学で授業を始めるまでにいたったのか、経緯と理由について聞いた。

TEXT_小野憲史 / Kenji Ono
EDIT_尾形美幸 / Miyuki Ogata(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota

大学教員として授業に勤しむ日々

−−大学の授業の方はもう慣れましたか?

安原広和氏(以下、安原):そうですね。ただ、後期授業が9月14日から始まり、担当する授業が増えました。そのため、資料の準備などでバタバタしています。

  • 安原広和
    ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン

    東京理科大学工学部を卒業し、1988年にセガ・エンタープライゼス(後のセガゲームス)に入社。キャラクターデザイナーの大島直人氏、プログラマーの中裕司氏らと共に、ディレクターおよびゲームデザイナーとして『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』の開発にたずさわる。その後、Naughty Dogなどを経て2016年にユニティ・テクノロジーズ・ジャパンに移籍し、教育事業に携わる。2017年に「あそびのデザイン講座」を発表。2018年4月より東京工科大学 メディア学部 特任准教授に就任。


−−具体的には、どういった授業を担当されているんですか?

安原:メインで担当しているのは、「あそびのデザイン講座」をベースとした演習系授業の「プロジェクト演習(インタラクティブ・ゲーム制作<ゲームデザイン>)」です。これに加えて、前期は演習系の授業に2つ関わりました。「プロジェクト演習(インタラクティブ・ゲーム制作<プロデューシング>)」と、「メディア専門演習(ゲームプロデューシング)」ですね。いずれも三上浩司先生(東京工科大学 メディア学部 教授)の指導の下に行われている授業になります。

−−演習を3つも担当されたのですか?

安原:いえ、「プロジェクト演習(インタラクティブ・ゲーム制作<ゲームデザイン>)」以外は、ほかの先生方と一緒に参加して、学生がつくってくる作品に対してコメントを出すだけです。そのため、そこまで大変ではありません。僕もゲームデザインの視点から、いろいろなコメントをさせてもらっています。特に「プロジェクト演習(インタラクティブ・ゲーム制作<プロデューシング>)」は東京ゲームショウに出展する作品をつくるため、学生も力が入るようです。


−−後期はどうなりますか?

安原:前期の3演習はそのままに、新たに「ゲームプロデューシング論」という講義系の授業が加わりました。去年まで岸本好弘先生(元 東京工科大学 メディア学部 特任准教授/遊びと学び研究所主催)が担当されていた授業を引き継いだものです。もっとも自分はプロデューサーの経験はないので、宣伝などの実務経験はありません。そこは学生にも、事前に断って授業をしています。なので、合計4科目となります。週に3日間、八王子のキャンパスに通って授業をして、残り2日も授業の準備などでつぶれますね。

−−前期・後期ともに15コマですか?

安原:そうですね。1コマが90分です。おもしろいことに、演習系の授業は夕方の6時半から始まるんですよ。そのため授業が終わっても、好きなだけ居残り演習が可能です。自分もそれにつきあって、いろいろと教えています。ちゃんと先生がついて教えてくれるものの、部活のノリでやっています。

−−必修科目ですか?

安原:「プロジェクト演習(インタラクティブ・ゲーム制作<ゲームデザイン>)」と「プロジェクト演習(インタラクティブ・ゲーム制作<プロデューシング>)」は選択科目。「メディア専門演習(ゲームプロデューシング)」と「ゲームプロデューシング論」は必修科目です。いずれも2〜3年生向けの授業になります。単位も「プロジェクト演習(インタラクティブ・ゲーム制作<ゲームデザイン>)」は1年間やって2単位しか出ません。そのため、本当にやる気がある学生しか履修しないんですよ。こちらも、そのぶんしっかり指導ができます。

−−学生数は何人くらいですか?

安原:演習系の授業は30名くらいですね。もっとも、「プロジェクト演習(インタラクティブ・ゲーム制作<ゲームデザイン>)」の前期では、履修届こそ30名でしたが、次第に学生の数が減っていって、最終的に15名になりました。毎回宿題を出すのが敬遠されたのかもしれませんね(笑)。これに対して「ゲームプロデューシング論」は2年生向けの必修科目なので、250人くらいの学生がいます。

−−ゲーム業界はトレンドの移り変わりが激しいので、先生も学びながら教えるといったことが、よくありますよね。自分もまさにUnityを学びながら教えていますし、最近だとHoudiniを学びながら教えているCG系の先生がいるかもしれません。

安原:ああ、そうですね。HoudiniもCG分野ではデファクトスタンダードになりつつありますよね。

−−それにしても、盛りだくさんですね。

安原:実は東京工科大学で授業をするにあたり、中央線沿線に家を借りたんですよ。ユニティはリモート勤務が可能で会社にほとんど顔を出さなくて済むので、助かっています。それでも、大学まで40分くらいかかるのは予想外でした。

−−東京工科大学はJR八王子駅から、バスに乗り換える必要がありますしね(笑)。

安原:ですです。

次ページ:
「アセットを並べて終わり」というゲームが多すぎる

その他の連載