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第14回:クラウド環境構築[ネットワーク構成の設計]

第14回:クラウド環境構築[ネットワーク構成の設計]

仮想環境上で、ネットワークを構築

潤沢なスペースと空きマシンがあるなら実際の環境をつくることもできますが、なかなかそうもいかないので、仮想環境上で前述のネットワークを構築します。仮想環境のホストはLinuxを使用し、KVM上に作成します。

Linux上での仮想環境の構築についての詳細は、オンラインや書籍で多くの情報が提供されているため省略します。ここでは下記を行います。

・virt-managerを使用して、仮想環境内だけで接続できるネットワーク(private)を構築する
・計算サーバはprivateだけに接続させる
・セントラルマネージャはprivateと作業ネットワークの両方に接続させる

環境構築はコマンドラインやXMLファイルを直接編集して行うこともできますが、今回はお手軽にvirt-managerを使用します。

まずはネットワークの作成を行います。

virt-manager上で、[Edit]→[Connection Details]を選びます。


左下の[+]ボタンを押して表示されたダイアログで[Network Name]を入力し、[Forward]ボタンを押します。


ネットワーク設定を聞かれます。必要であれば適切な値を設定します。今回の場合、ここの設定はそのままでいいので[Forward]ボタンを押します。次にIPv6の設定を行うか聞かれますが、これもチェックを外したまま[Forward]ボタンを押します。


ホストマシンが接続しているネットワークに接続するかどうか聞かれるので、[Isolated virtual network]を選びます。これで外とはつながっていない、仮想環境だけで閉じたネットワークが作成できます。


以上でローカルネットワークが作成できました。


続いて、計算サーバとセントラルマネージャを接続していきます。計算サーバとセントラルマネージャの仮想マシンは既に用意してあるものとします。

計算サーバは先ほど作成したprivateのみに接続すればいいため、[NIC]の[Network source]を private にします。


セントラルマネージャはprivateとホストが接続しているネットワークの両方に接続する必要があるため、NICを2つ用意します。最初のNICはBridgeネットワークに接続します。

※ Bridgeネットワークはホストマシン側の設定で作成しなければいけないのですが、ここで解説するには手順がちょっと煩雑なのと、オンラインでドキュメントが豊富にあるので割愛します。すみません.........


続いて、NICをもうひとつ作成します。[Add Hardware]ボタンを押し、[Network]を選んで [Network source]にprivateを選びます。その後[OK]を押します。


これでネットワークの作成ができました。2つの仮想マシンを立ち上げて接続テストをします。少しわかりづらいですが、左上から時計回りに計算サーバ、セントラルマネージャ、それから実際の作業とジョブの投入に使用するマシンになります。


計算サーバはセントラルマネージャのみと通信でき、セントラルマネージャは計算サーバと作業用マシンの両方と通信できていることがわかります。

HTCondorの立ち上げ

セントラルマネージャと計算サーバでHTCondorを立ち上げます。このあたりの設定は過去の記事を参考にしてください。


無事に環境構築ができ、セントラルマネージャに情報が登録されました。今回は作業用マシンでもジョブを実行可能な設定にしてあるため、計算サーバと作業用マシンの情報が表示されています。

次回予告

駆け足でしたが、基本の環境をつくることができました。次回からこの環境を基にクラウド化のお話を進めていきます。



第15回の公開は、2019年8月を予定しております。

プロフィール

  • 痴山紘史
    日本CGサービス(JCGS) 代表

    大学卒業後、株式会社IMAGICA入社。放送局向けリアルタイムCGシステムの構築・運用に携わる。その後、株式会社リンクス・デジワークスにて映画・ゲームなどの映像制作に携わる。2010年独立、現職。映像制作プロダクション向けのパイプラインの開発と提供を行なっている。新人パパ。娘かわいい。
    @chiyama

その他の連載

  • WORK 033 "OutDoor" / 破壊と広がりの表現

    PHENOMENAL THINGS

    森田悠揮が多様な“現象”を描き出す