Framestoreで活動中の今川真史氏が解説する本誌の連載と連動して、メイキング動画とコラムをお届けする。
TEXT_今川真史 / Masashi Imagawa(Framestore)
EDIT_斉藤美絵 / Mie Saito(CGWORLD)、柳田晴香 / Haruka Yanagida
テンプレートやグループを用いて作業を効率化
今月は、空を飛んでいる宇宙船を地面から見上げるショットを制作しました。
今回のショットでは、地面の岩など、3DCGを使用する部分の作成にBlenderを使用しています。最近盛り上がっているBlenderですが、使用しようと思ったきっかけはチュートリアルやコミュニティの多さでした。僕はコンポジットメインなので、最終的に素材を出せればいいですし、キットバッシュも使用するので、モデリングやアニメーションの部分はあまり触っていません。今はレンダリングまわりがイマイチわかっていないので、調べつつやっています。コンポジットで必要なAOVsのパスやDeepデータなど、標準レンダラでは結構キツそうな部分も多いので、レンダラだけ他のものを買おうかとも考えています。
また、Houdiniにも興味があり、背景の建物などをプロシージャルでつくって、コンポジットまでの作業スピードを上げていきたいと考えています。NUKEで同様にコンポジットの作業スピードを上げるには、テンプレートやグループをつくって効率化する方法があります。
会社での仕事は、まずプロジェクトに参加したらスーパーバイザーやリードがつくったテンプレートを読み込み、それを基に作業していきます。基本的な素材の読み込み、書き出しなどが事前に用意されているので、重要な作業だけに集中することができるのです。また時間ができたら、自主制作用にテンプレートをつくろうと思っています。
NUKEにはグループという機能もあり、ノードをいくつか格納したものをひとつのノードとして利用することができます。最近個人でつくったのは雷のグローに使うグループなのですが、ノイズやグレード、グローのノードを何重かのレイヤーに分けて使用することで、複雑なグローを再現します。普段仕事や自主制作をしている中で、何個かのノードを使用したテクニックなどを見つけると、次回簡単に使用できるようにグループ化して保存しておくことを心がけています。
会社では、主にリード以上の人たちがテンプレートなどをつくっているのですが、非常に使いやすく、いつか自分もテンプレートなどをつくれる立場になってみたいと思いました。テンプレートやツールをつくるためには、経験に基づいて正解までの最短距離をより早く導き出すことや、Pythonなどテクニカルな部分の知識も必要で、まだまだ勉強と経験が足りないなあと感じています。
Another planet - c03 from Masashi Imagawa on Vimeo.
Profile.
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今川真史/Masashi Imagawa
Framestore/コンポジター
京都造形芸術大学キャラクターデザイン学科卒業。大学1年次に受けた授業をきっかけに、ほぼ独学で3DCGを学ぶ。自主制作作品『THE SEABED』でKLab Creative Fes'17動画部門グランプリ受賞。MPC モントリオールを経て、現在はFramestoreに在籍
www.artstation.com/masashivfx321