ZBrushマスターとして独特の存在感を放つVillard・岡田恵太が、ZBrushを用いた勢いのある造形テクニックを毎月紹介していく本連載。今回は「森の守り神」のようなイメージで幻獣を造形していきました。
TEXT_岡田恵太 / Keita Okada(Villard Inc.)
EDIT_三村ゆにこ / Uniko Mimura(@UNIKO_LITTLE)
寒い地方に住む「森の守り神」をイメージした造形
今回は幻獣の制作です。12月と季節的にも寒い時期になったので、寒い地方に住む「森の守り神」のようなイメージで制作しました。あまり飾り立てずシンプルですが、顔や角などは「優しくも力強い」といった感じの造形を意識しています。
主要な制作アプリケーション
・ZBrush 2020
・KeyShot 8
STEP 01:ラフモデルの作成
全体のシルエットやボリュームを決めるラフモデルを作成します。作り込みではなく、バランスやシルエットに重きを置いて制作します。
STEP 02:中間ディテールの作成
全体のバランスをとったラフモデルが作成できたら、顔の造形を詰めながら角の作成や筋肉の彫り込みをしていきます。デッサンと同様に、全体的に進めていった方がクオリティ管理やデータも整理しやすいので、一点(顔だけ、角だけ等)に集中しすぎないよう全体に目を向けながら進めていきます。
▲【5】Sculptris Proのモードを使いながら毛並みを作成していきます
STEP 03:全体をブラッシュアップ
角のラフモデルや毛並みのアタリが揃ってきたので、全体的にブラッシュアップ を進めていきます。
STEP 04:レンダリング
今回は、モデルの「細かい毛があるバージョン」と「細かい毛がないバージョン」をレンダリングします。個人的には、細かい毛がない方がモデルとしては綺麗に見えて好みではあるのですが、細かい毛がある方がより自然な造形物に見えるかなと思います。
完成
優しさが感じられる作品に仕上がりました。筆者の作品は獰猛なイメージのものが多いので、個人的には優しさを感じる作品も新鮮で良いなと思っています。
Profile.
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岡田恵太/Keita Okada(Villard Inc.)
デジタルスカルプター、3Dコンセプトアーティスト。1991年7月生まれ、広島県出身。2012年大阪の専門学校を卒業後、大阪のゲーム会社に就職。2013年に退職し上京した後、1年ほど建設現場の作業員(荷揚げ屋)などをしながらZBrushを独学で習得し東京のゲーム会社へ就職。2015年からフリーランスとなり、PS4用ゲームのDLC『Bloodborne The Old Hunters』をはじめ主にクリーチャーなどのコンセプトモデルを手がける。2017年3月、新会社「Villard」を設立
www.artstation.com/artist/yuzuki
www.villard.co.jp