スマートフォン向けゲームを企画・開発・運営しているf4samurai。現在、人気アニメ『コードギアス』の最新ゲーム作品『コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ』(以下、ロススト)の開発と運営を行っている。
2022年のサービス開始以来、本作は原作アニメのフィーリングを踏襲した演出によってファンの人気を集め、2023年11月にはサービス1.5周年を迎えた。そこで本記事では本作の開発において、f4samuraiの「3DCGモデル」「3DCGモーション」「エフェクト」「3DCG背景」の4つのセクションがどのように原作を活かしたゲームづくりを行っているかをうかがった。
最後となる第4回では、3DCG背景の制作について、2021年からf4samuraiに中途入社した3DCG背景デザイナーのYoshida氏にお聞きした。Yoshida氏は3DCGで2Dイラストのような背景を表現するのが得意なクリエイターだ。『ロススト』開発チームの中心人物でもあるリードデザイナーのWakabayashi氏とのチーミングによってどのように3DCG背景を描いてきたかを語ってもらった。
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IPゲームタイトルにおける3DCGの作り方
-コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ編-
リード3DCGデザイナーを務めたWakabayashi氏が登壇します。
手描きテクスチャで細部までこだわった3DCG背景
ーーまずは自己紹介からお願いします。
Yoshida:背景デザイナーのYoshidaです。もともとはCGプロダクションに勤めていて、そのあとスマホゲームの運営会社に入り、2021年にf4samuraiに中途入社しました。
Wakabayashi:Wakabayashiです。『ロススト』でリードデザイナーを務めました。
Yoshida氏
背景デザイナー
2021年中途入社
Wakabayashi氏
リードデザイナー
2016年中途入社
——Yoshidaさんの担当業務を教えてください。
Yoshida:ゲーム背景の3DCGを主に担当しています。ツールはMaya、Unityをメインで使用していて、Photoshopでテクスチャを描いています。
Wakabayashi:Yoshidaさんは、入社前のポートフォリオの段階から「2Dイラストに見えるような3D背景」がとても上手だったんです。作品を見たときから「これはそのまま『ロススト』にも活かしていけそうだな。これをゲームに落とし込めたら面白いものができる!」と思っていました。
プロジェクトではその持ち味を活かしながら、日々3DCG背景デザイナーとしての力を発揮してもらっています。
Yoshida:もともと、テクスチャを描くのが好きだったんです。前職でもその技術を評価していただいたので、3DCGデザイナーとして活躍しながら、その技術をもっと伸ばしていきたいと思っていました。
f4samuraiでは、そういった自分がやりたいことをやらせてもらえるという点がとても魅力に感じています。
イベント用3DCG背景
——では、『ロススト』で手がけた背景について、どのように制作したか教えてください。まずはこちらの3DCG背景についていかがでしょうか?
Wakabayashi:こちらは各季節のイベント用です。ひとつめの画像は『コードギアス』シリーズのなかに出てくる‟トウキョウ租界”という地域をイベント用に装飾したものになります。
制作のポイントとして「”トウキョウ租界”で行われているバレンタインイベント」をテーマとし、もともとある街のモデルに装飾をつけています。『コードギアス』の世界観を損なわないように彩り、新しい見せ方を追求しました。
ディテールはYoshidaさんのセンスに毎度まかせています。
Yoshida:近景のモデルはすべて3Dオブジェクトとして制作していますが、遠景のものだと板ポリゴンで描いているのもあります。たとえば手前に見えている木は3Dモデルですが、その奥の森は板ポリゴンですね。ビルも3Dモデルを置いています。
——こういったイベント用の3DCG背景は「こういうモチーフを入れる」というような指示が版元さんや、ディレクター、もしくはWakabayashiさんからあるのでしょうか?
Yoshida:特に細かい指定はなかったと記憶しています。つくってみて、相談しながら詰めていく感じですね。まずはモデルをざっくりつくって、それをベ―スにPhotoshop上で加工しながらイメージを固めていきます。
Wakabayashi:版元さんへの確認は毎回ラフの段階で行なっています。そこでOKが出たらそのあとは社内で細かいフィードバックをしながらつくり込んでいきます。
——イベント用の3DCG背景でいちばん意識したのはどのようなところですか?
Yoshida:イベントものである以上、インパクトはある程度必要だと思っていて、またパッと見たときに何のイベントなのか(ハロウィンなのか、バレンタインなのか)がわかるように意識しています。原作を踏襲することにこだわりすぎると季節イベント特有の雰囲気や華やかさが出しづらくなってしまうこともあるので、適度に原作とは切り離して考えつつ、かといってゲーム全体の印象から外れすぎないような塩梅を目指しています。
——ライティングもYoshidaさんが担当されているのですか?
Yoshida:そうですね。まず画面全体としての画をつくるのは私の担当ではありませんが、出来上がったものに対して「もう少しこうしたい」という思いがあれば調整を入れることもあります。たとえば、ロボットたちが画面に入ると見え方が大きく変わったりするので、その際はライティングも調整しています。
ホーム画面・バトルマップ
——こちらの背景は原作アニメに準拠したものですよね。イベント背景とはつくり方も違うと思いますが、意識した点を教えてください。
Yoshida:高速道路のバトルマップは原作アニメから参考になりそうなシーンをいくつか集めて、ゲームとして見栄えが良くなるようにしつつ、原作の雰囲気から外れないように注意して制作しました。イラスト上部にあるパネルに光があたって陰影がグラデーションになるところが特に印象的だったので、光の当たり方を意識して、細部までこだわっています。こちらはほとんどが手描きのテクスチャですね。
Wakabayashi:止め絵で観て違和感が少ないのはすごいことだと思っています。3DCGでそれをやれるのって技術とセンスだと思うんですけど、Yoshidaさんにこのマップをつくってもらったとき、「原作らしさが出ていて、上手くまとまったな」という感覚がありました。
トータルの画の良さはベースで決まる
——今後は背景チームにどんな人が来てほしいですか?
Wakabayashi:‟いい画”をたくさん知っている人に来てもらいたいですね。ディテールにこだわることも大事ですが、3DCG背景は俯瞰してみた時にトータルでいい画になっているかどうかでクオリティが決まります。そのようなことを意識して制作できる方と一緒に働きたいです。
Yoshidaさんはいい画にすることが得意な人で「2Dイラストのような表現を、3DCGに落とし込む」ことに特に強みがあります。さらに画をトータルで良くすることに、並々ならぬ情熱もあって、一緒に働いていて楽しいです。
Yoshida:ありがとうございます。私は2Dイラスト風のテクスチャを描くのを得意としていますが、シェーダーやPost Processing、ライティング表現に詳しい高い技術力をお持ちの方に来ていただければ、今後チームとしての表現の幅が広がるのではないかと思っています。
f4samurai『ロススト』チーム座談会 その4
最終回となる今回の座談会では、『ロススト』のディレクターであるMuramatsu氏について、各メンバーからの印象を伺った。
Muramatsu氏
ディレクター
2017年中途入社
Takagi氏
エフェクトデザイナー
——ここまでに座談会でお話を聞いてきて、f4samuraiの皆さんは『ロススト』のような原作もののゲームを手がけながらも、自分の持ち味や個性を発揮されているのだと感じました。これは、Wakabayashiさんがメンバーの力を発揮しやすい環境づくりをしていたからなのでしょうか。
Wakabayashi:いえ、このようなやり方ができているのは、版元のサンライズさんが3Dのビジュアルに関してはある程度僕らに任せてくださっているからだと思っています。最初からそうだったわけではなく、こちらが意図と熱量を持ってやっているということが、開発スタートからの4~5年の期間で伝わった結果なのかな、とは思いますが……。僕らなりの工夫を凝らす余地があることは、本当にありがたいですね。
——ディレクターのMuramatsuさんについても伺いたいと思います。プロジェクトメンバーの皆さんからみて、Muramatsuさんはどんな印象ですか?
Wakabayashi:いつも原作IPや本作の『ロススト』のあるべき姿をチーム全体に指し示しながら、その軸を決してブラさないのがすごいなぁと思っています。「やっぱりこの機体はこうだよね」などとこだわりを持ってディレクションしていて、ゲームを遊んでくださるユーザーの皆さんが望む表現を追求しているディレクターだなと。最近までクリエイティブ周りの進行も細部まで見ていただいていたので、文字通りデザイナーチームと二人三脚で3DCGのクオリティを担保してきた方ですね。
Takagi:Muramatsuさんのすごいところは、思ったことをすぐ言うことです(笑)。
Wakabayashi:怖いなあ、それは(笑)。
Takagi:「自分が同じ立場だったら、そこまで言えないな」と思うようなことまで臆せず発言していることが結構あります。ゲームのクオリティを担保するためなら、普通だったら口に出すか躊躇いそうなことまでハッキリ伝えるというか。
Yoshida:たしかに。
Takagi:でもそれってディレクターとして、大事なことだと思います。ディレクターが芯を持っておらず、ブレてしまうと下のスタッフにもゲームにも影響するので、そこは素直にすごい! と思っています。メンバーとケンカになっているときもありますけど(笑)、それも作品に対してのこだわりからくるものだと分かりますしね。
Wakabayashi:そうだね。「あそこでMuramatsuさんが引き下がっていたら、こうはならなかっただろうな」って思うことがありますね。
Muramatsu:う~ん、なんか複雑だけど(笑)。でもそう思ってもらえているのは嬉しいです。ありがとうございます。
—— ここまで全4回のインタビュー、ありがとうございました!
f4samuraiではインタビューに応じてくれた「3DCGモデル」「3DCGモーション」「エフェクト」「3DCG背景」の4つのセクションでクリエイターを募集中。気になった方はぜひ応募してみてほしい。
▼求人情報
■募集職種
①3DCGモデラー | open.talentio.com/r/1/c/f4samurai/pages/87611
②3DCGモーションデザイナー | open.talentio.com/r/1/c/f4samurai/pages/84864
③エフェクトデザイナー | open.talentio.com/r/1/c/f4samurai/pages/84257
④3DCG背景デザイナー | open.talentio.com/r/1/c/f4samurai/pages/84555
※いずれの職種も『コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ』もしくは『新規3DCGゲームタイトル』の開発・運営に携わっていただきます。
<参考記事>
3DCGデザイナーのお仕事紹介 | note.com/f4samurai/n/nb2b4579ddedb
リード3DCGデザイナーインタビュー | recruit.f4samurai.jp/interview/473
■雇用形態
・正社員(試用期間3カ月 ※本採用時との待遇差なし)
※ご希望・ご経験により業務委託でのオファーをするケースもあります。
■勤務地
〒101-0021
東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX 北ウイング14階
■待遇
給与 :
経験・能力を考慮の上、当社規定により決定します。
想定年収(メンバー):450万円 ~
想定年収(リーダー ):650万円 ~
※みなし固定時間外手当(45時間相当分)を含む月給制
(みなし固定時間手当を超える時間外労働分の割増賃金は追加支給)
※賞与制度あり(年2回)
福利厚生 :
通勤手当(上限50,000円/月)、社会保険完備、健保組合保養所、健康診断、他
■勤務形態
月・金:リモート勤務
火・水・木:秋葉原オフィス勤務(原則出社必須)
■休日・休暇
完全週休2日制(土曜・日曜)、祝日、年次有給休暇(入社時付与あり)、年末年始休暇、慶弔休暇、夏季休暇、特別半休制度(1ヶ月に1度使用可能)
※年間休日120日以上
TEXT_葛西 祝 /Hajime Kasai
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota