大学や専門学校で講師、CGWORLDでリサーチャー、技術解説を担当している元自衛官のCGアーティスト、ますくです。
長年、創作活動が満足にできるモバイルPCと出会えず不満を持っていましたが、理想のクリエイティブモバイル環境について考え、ついに出会えた究極のモバイルクリエイティブPCASUS ROG FLOWX13」を紹介します。

記事の目次

    モバイルPCの必要性

    デスクトップ環境は効率的に仕事を行うために非常に重要な環境です。しかし安定性と引き換えに場所に囚われ机に向かうまでの物理的、精神的な距離が遠くクリエイティブと向き合うまでにコストがかかるため、スマートフォンやタブレットのような距離感で、もっと身近に持ち歩くことができ、思いついた瞬間にすぐに創作と向き合える、気軽に扱えるモバイルクリエイティブ環境がほしいと思ったことはないでしょうか。

    パソコンの前に引きこもっているよりも、外の世界に出て様々な刺激を受けることで新しいアイディア外出先でモノづくりができるクリエイティブ・モバイル環境が必要だと考え、様々なモバイルPCを購入してきました。

    ぱっと思い出せるだけでも、IBM、VAIO、Intuos、SurfaceBook2、GPD WIN 2、SurfaceGo、SurfaceGo2、SurfaceLaptopStudio2、iPadPro13、iPad mini 6、Mac BookPro 16、M1 MacBook Air、M1 Mac Book Pro、Wacom MobileStudio Pro、Wacom MobileStudio Pro 13、Wacom mobile Studio 16など、なかなかな散財を経験してきました。

    それでもなかなか理想的なクリエイティブ・モバイル環境にはたどり着けず、ついにたどり着いた理想のクリエイティブ・モバイル環境に最も近い存在がASUS ROG FLOW X13です。

    今回はASUS ROG FLOW X13を一月近くお借りして、本格的に運用してみた結果を、本音でレビューして参りたいと思いますので、最後までぜひよろしくお願いいたします。

    クリエイターにとって、理想的なモバイル環境とは?

    究極のクリエイティブ・モバイル環境という言葉を出しましたが、クリエイターにとって理想的なモバイル環境とは一体どのようなものでしょうか。

    ①タブレット性能

    代表的なモバイル創作環境と言えばiPadを思いつく人が多いと思います。Apple Pencilの描き心地は実際の紙とペンのようであり、気軽に持ち運べる軽量堅牢な作りは非常に理想的なモバイル創作環境に近いです。しかし、スペックやタブレットOS故に使用できるソフトの制限があり、本格的なCGを作ることは難しいです。

    また、SteamDeckやASUS ROG Allyに代表されるようなハイエンドゲームが遊べる十分なグラフィック性能を持つ小型のモバイルPCも最近のトレンドですが、ゲーム機のような形状をしているためクリエイター用途で満足に使用できるわけではありません。

    iPadのように気軽に持ち運びができ本格的なペン入力ができ、ゲーミングモバイルのような高度なグラフィック性能やソフトウェアの自由度が高いモバイルPCという条件が揃ってこそ、ようやく本格的なクリエイティブのスタート地点に立つことができるのではないでしょうか。

    ②グラフィック性能

    様々なタイプのクリエイターが存在するとは思いますが、CGWORLDの読者層の多くのクリエイターに絞るなら専門的なDCCツールの使えるOSや、コンテンツ開発のできる必要十分なグラフィック性能、また、ペンタブレットとして使用できることもかなり大切な要素となってくるのではないでしょうか。

    モバイルPCの多くが、グラフィックボードの搭載されていないCPU兼用のオンボードグラフィックものが多いです。しかし、グラフィックを作らなくてはいけないクリエイターにとってグラフィックボードが搭載されていることは何よりも重要です。

    ③モビリティ性能

    また、多くのソフトやウィンドウを開く必要のあるクリエイターにとってモニターの解像度も重要になってきます。フルHDでは解像度が足りずUIが表示しきれないソフトも多く、作業効率も落ちるためWQHD以上の解像度が望ましくモニターの発色や色再現性も高いものが求められます。

    また、モビリティ性能も非常に重要です。バッテリー持ちが良いこと、使用時に熱くなりすぎないこと、持ち運びに適した軽量堅牢であることも重要ですが、小型のACアダプターや、低電圧のUSBCでも充電・給電できることも重要です。

    モビリティが悪いモバイルPCは結局持ち運ばなくなってしまうため、文鎮と揶揄されてしまうことも多々あります。

    ◇クリエイター向けのモバイルPCにはなかなか出会えない

    一般的なゲーミングPCには、高解像度でペン入力ができるものはほとんど存在していません。ゲームにペン入力は必要ありませんし、高解像度であることよりも高フレームレートであることが重視されるためです。

    一方で、Surfaceのようなペン入力ができるタブレットタイプのモバイルPCにはグラフィックボードがなく十分なスペックがない場合が多く、ハイスペックなタブレットPCにグラフィックボードを搭載しているのはかなり稀有なケースです。

    クリエイティブ要件を満たす唯一の選択肢(Microsoft SurfaceとASUSの比較)

    今のモバイルPC市場を見てみると、クリエイティブ用途に使えそうな機種にはゲーミングPCとタブレットPCの2種類があります。

    ゲーミングノートPCはグラフィック性能は高いのですが、フレッシュレートを稼ぐために画面解像度が低いことが多く、ペンやタッチ操作ができるものはほとんどありません。

    タブレットPCはまさにiPadWindowsOSを入れたようなコンセプトのプロダクトですが、グラフィック性能が高くないため多くのクリエイティブ作業が満足にできません。

    グラフィック性能とタブレット性能を両立する機種を探してきましたが、ここ近年ついに実用レベルで登場したのがMicrosoftSurfaceシリーズとASUSROG Flow / ProArtシリーズです。著者が知る限りでは、高いレベルで十分なグラフィック性能とペンタブ性能を兼ね備えたモバイルPCSurfaceのハイエンド機種とASUSのプロダクトしか存在しないため、それぞれの性能を比較していきます。まず、Microsoftの情報からまとめると、SurfaceStudio Bookとその前傾であるSurfaceBookは、私も長年使用してきた、クリエイターのハードユースに耐えうる素晴らしいプロダクトです。著者はSurfaceシリーズの大ファンで、殆どのラインナップを所持してきました。堅牢なボディとMicrosoft純正という安心感がWindowsを使用する上で最大のメリットではないでしょうか。しかし、Surfaceのデメリットとしては最新製品でも1,2世代前のCPU、GPUを搭載していて、他社の最新機種と比べて中身が古く、ブランド志向で非常に高価なところです。Microsoftは堅牢で良い製品を作りますが、慎重に開発を進めるあまり新製品が販売される頃にはCPUやGPUの世代が更新されてしまい、CPUやGPUの進化スピードにプロダクトが追いついていない印象が拭えません。
     
    一方、ASUSAMDIntelNVidiaとの連携開発を行っており、最新型のCPUGPUを搭載したハイエンドモバイルPCを販売し続けていて、非常に開発姿勢がアグレッシブです。長年最新のモバイルPCを追い続けていますが、2DCG3DCG、動画制作、AIアートなど、ハードで本格的なクリエイティブ需要を高いレベルで満たす性能を持っているモバイルPCは、いまのところASUSの製品群しかないと感じています。

    ROG Flow X13をおすすめする理由

    ①LOG FLOWシリーズについて。X13とZ13の違い

    ASUSには様々なラインナップがありますが、今回紹介させていただくASUS ROG FLOW X13は、シリーズの中でも小型軽量で、ゲーミング性能と液タブ性能を持ち合わせたシリーズです。
     
    ROG FLOWシリーズには、2in1型のX13と、タブレット型のZ13があり、両方とも小型軽量でグラフィックボードを搭載し、高解像度ディスプレイにタッチパネル、ペン入力にも対応しています。
     
    Z13はタブレットPCなのにハイエンドなグラフィックボードを搭載していてかなり話題になったのでご存知の方も多いと思います。Z13も非常にインパクトのある機体で、派手なデザインと唯一無二の小型軽量ハイエンドな性能に沢山のレビューが上がっていますのでぜひ調べてみてください。
     
    一方で、あまり知られていないのがX13です。一見地味な見た目の2in1ですが誇張しすぎない無駄のないモダンなデザインが特徴で、私が全てのモバイルPCの中で現在一番好きなプロダクトがX13です。

    ②ハイスペックなのに画面が熱くならない液タブ性能

    ROG FLOWシリーズはハイエンドなグラフィック性能を誇るだけではなく、液晶タブレットとしても使用できることが最大の特徴です。
     
    ZとX2タイプがあり、迷ってしまうかもしれませんが、クリエイター用途では、Z13よりもX13がおすすめです。
     
    Z13も素晴らしいプロダクトですが、Surfaceなどに代表される本体とモニター一体型のタブレットPCは液晶の裏側にバッテリーやCPU、グラフィックボードがあるため、長時間液晶タブレットとしてペン入力し続けていると画面が熱くなり、低温火傷になってしまいます。
     
    しかし、モニターの裏側には何もないコンパーチブル型の2in1PCであれば、キーボードの下にバッテリーやCPU、グラフィックボードが格納されているため、ペン入力を何十時間続けていようと画面が熱くなる心配がないのです。
     
    クリエイターは一つの作品を作るのに何十時間、何百時間とモニターにペンを走らせ続けるようなハードな使い方をするため、画面が発熱しないことはかなり重要なファクターとなります。
     
    Z13にも利点はありますがどちらかといえばゲーマー向けのプロダクトであり、クリエイター的な視点で長時間のペン入力を考えるならばX13に軍配があがります。

    ③モニターの美しさ

    また、家電量販店で他社製品と比較していただくと分かるのですが、画面の発色がとても美しく、晴れの日の日中でも見やすく作業がはかどります。
     
    ROG Flow X13のディスプレイには、過去のラインナップを含めると4KHDなど様々なラインナップがあるのですが、現行モデルでは画面比が16:10、解像度は2560×1600px。 色域DCI-P3カバー率99.1%と広く、高精細かつ色鮮やかな画面で、画像や動画編集が可能です。
     
    165Hzの高リフレッシュレート対応なので、滑らかな描画で映像やゲーム制作も快適におこなうことができます。

    ④実用的な2in1コンパーチブル設計

    ROG Flow X13は小型ゲーミングノートPCとしての性能を兼ね備え、ペン入力もできる「2in1パソコン」と呼ばれるタイプのモバイルPCです。
     
    2in1パソコン」とは、コンバーチブル型とも呼ばれ、通常はノートパソコンとしても使用できますが画面を反対側に折りたたむことでiPadのような感覚で液晶タブレットとして使用できるのが最大の特徴です。
     
    また、キーボード部分をスタンドにすることでテントモードとして使用することもでき用途の幅がかなり広く、プレゼンやイベントでの展示でも活躍しそうです。

    キーボードと分離できないタイプの2in1は不便で中途半端ではないかという疑問を以前は持っていましたが、一体型でヒンジがしっかりしていることで移動中に膝の上でも安定して使用できるため、不安定な場所での作業も難なくこなせるため、今ではタブレットPCをよりもコンパーチブル型の方がモバイル性能が高いと考えています。
     
    電車での移動中、ベッドやソファーの上と場所を選ばず使用できるためかなり便利でおすすめです。



    ◆ノートパソコンモード

    ノートパソコンのままでもペン操作がしやすく、キーボードもとにかく打ちやすい。資料制作やブログの更新、オンラインセミナーや画面共有しながらのオンラインミーティングもばっちりこなせました。



    ◆タブレットモード

    重力センサーが敏感に反応し、iPad のように素早く縦横表示を切り替えながら使用することができます。特に縦長に表示できることはメリットが大きく、ネット記事を読んだり、資料を見るときは一度に表示できる文字料が桁違いでかなり効率があがります。
     
    ヒンジの部分に広いベゼルがあるため持ちやすく、タッチパネルの感度も高いためWebサイトや資料などをスワイプすると慣性でスクロールが可能でとても気持ちが良いです。
     
    また、165hzのハイフレッシュレートのため、スクロール中でも文字がはっきりと見え、長文資料も流し読み可能なところが意外な利点でした。速読可能な読書端末としても相当優秀です。



    ◆テントモード

    ⇑)キーボード部分を折り返し、スタンドとして使用することでモニターをデジタルフォトスタンドのように立てて使用することができる

    ゲームや映画を見て楽しむこともできますし、画面の発色がかなり高いため明るい日中でもプレゼンテーションやデモンストレーション、イベント時のデジタルサイネージとしても使用できかなり優秀です。
     
    ROG FLOW X13を持ち歩くだけでプレゼンの機会が増え、かなりのビジネス的なチャンスを掴めます。

    ◆クラムシェル・外付けGPU

    クラムシェルとは、ノートパソコンを外部モニターに接続し、デスクトップのように使うことを指します。ROG FLOWにはUSBCポートとHDMIポートが付属しており、本体直差しで2枚の外部モニターにすぐに拡張することができます。
     
    また、外付GPU ROG XG Mobileに対応しており、自宅や外出先でRTX4090などの本格的なグラフィックボードに接続することができ、本格的なVRやハイエンドゲームのデモ、レンダリングなどを行うことがでるため、クリエイティブのアウトプット側の用途でも使用することができ、デスクトップPCとモバイルの一人二役をこなす驚くべき性能を秘めています。

    ④iPadPro12.9と同等のサイズ感

    X13をおすすめする最大の理由は、iPadと同じ重量、サイズ感であることです。
     
    誰もが一度はiPadWindowsが搭載されたらと考えたことはあるのではないでしょうか。
     
    ROG FLOW X13はほぼiPadPro12.9と同等の大きさ重量で、WindowsOSだけではなくハイエンドなグラフィックボードまで搭載している、小型軽量ハイエンドPCの中でトップクラスのパワーウェイトレシオを誇るモンスターマシンです。
     

    ◆iPad Pro 12.9インチとの比較


     
    こちらは、著者が愛用しているiPad Pro 12.9インチにLogicoolCombTouchケース(キーボード付き)をつけた状態との比較です。ケース単体で780giPad本体が684gなので合計1,464gになります。
     
    iPad Pro 12.9インチにApple純正のmagic keyboardApplePencilを装着したときも1.4キロくらいです。
     
    一方ROG FLOW X13の重さは1.35kgしかありません。更に、不思議なことにキーボード部分に重心があるためか実際の体感はiPadよりも圧倒的に軽く感じます。

    ⇑)真上から見比べた様子。横幅はわずかにX13の方が長いが、その分ディスプレイも高解像度で幅が広い
    ⇑)縦幅の比較。何も装着していないiPadと同等。キーボードやApplePencilを装着するとiPadの方が大きくなってしまう
    )厚みの比較。iPad+キーボードと同等の厚みなのにHDMIポートやMicroSDカードリーダー、イヤホン端子、USBUポートなど豊富なポートが充実していて実用的
    ⇑)展開時の比較。タブレットPC特有のモニタースタンド部分がないため、展開時の奥幅が四分の一ほど少なく、新幹線の中や、狭いカフェなどでも快適に作業ができる

    タブレットPCの不満を解消しつつ、タブレットPCの利点を踏襲しているのはまさに2in1の真骨頂と言えるのではないでしょうか。

    ④バッテリー・ACアダプター

    ハイエンド機の宿命に、バッテリー持ちの悪さが挙げられます。高解像度ハイフレッシュレートでグラフィックボードまで動かしていれば当然バッテリーの減りは早くなってしまいます。

    それでもROG FLOW X13は十分なバッテリー性能があり、通常使用だと4時~6時間程度、エコモードだと10時間以上の動画再生が可能です。

    ハイエンドモバイルの中では驚異的なバッテリー持ちですが、それでも長時間の外出にはACアダプターを持ち出す必要があります。モバイルPCを選ぶ時に、本体ばかりに目が行ってしまい意外と見落としがちなのがACアダプターではないでしょうか。

    ハイエンドゲーミングPCは消費電力も高いため、巨大で発熱するACアダプターが必要なことが多いのですが、ACアダプターは小型コンパクトであることに越したことはないです。

    ROG FLOW X13に付属するACアダプターはかなりコンパクトでスリムです。充電ポートはUSBCのためAnkerなどの社外製のよりコンパクトなACアダプターも使用できるのが最大の魅力です。

    小型のACアダプターが使用できれば、バッテリーの心配は減る。バッテリーを気にして性能をセーブするよりも、小型ACアダプターを常に持ち歩き、フルの性能を楽しむのが正解ではないでしょうか。

    著者がおすすめなのはAnker PowerPort Atom III 45W Slim。名刺よりも小さいサイズで45w給電が可能になります。

    X13には様々な消費電力モードがあり45wのローパワーでも十分に充電しながら使用することができるため、巨大なACアダプターとコンセントケーブルを持ち歩かなくてもガジェットポーチに名刺よりも小さいサイズのスリムなACアダプターを入れて持ち歩けばどこでも充電できるのは、究極のモバイルクリエイティブ環境にふさわしい性能ではないでしょうか。

    こちらは著者が愛用しているRAVPower(ラブパワー)の20000mAhの大容量コンパクトモバイルバッテリーです。60wで十分に充電しながら使用することができるためコンセントのないカフェや新幹線や飛行機での移動、キャンプなどでも1〜2日は十分使用することができます。

    ⑤堅牢性・モビリティの高さ

    堅牢性にも定評があるASUSのプロダクト。今回のレビューでは2週間以上X13を常に持ち歩き、遠慮なくラフに扱わせていただきました。

    樹脂のように軽い金属フレームの表面には指紋の付きにくいマッドブラック加工が施されており、ケースや保護フィルムを使用しなくても傷つかない安心感があり、本体の堅牢性、持ち運びやすさには太鼓判を押します。

    MOLESKINEのクラシック ホリゾンタル バックに入れて頻繁に持ち歩いたが、汚れも付きにくく傷がつくこともありませんでした。

    ソファーやベッドの上でも、外出先でも遠慮なく使い倒した結果、ペン入力を多用してもコーティングが剥がれたり傷つく気配はありませんでした。Amazonで調べたところX13用の保護フィルムもサードパーティから販売されているのでペーパーライクフィルムなどを貼り付ければかなり実用的に使用できそうです。

    ◇ペンタブ性能比較

    モデラーやイラストレーターが一番気になるのはペンタブ性能ではないでしょうか。

    ASUSのROG FLOWやProArtシリーズは別売りのASUS純正のペン『ASUS Pen 2.0 SA203H』に対応していて、USBUで充電可能で一度の充電で連続140時間仕様可能かつ 4096 レベルの筆圧感知を行うことができます。

    ASUSのROG FLOWシリーズやProArtシリーズのペンはNTorigがMicrosoft Surface用に開発したMicrosoft PenProtocol(MPP)方式を採用しているため、SurfaceSlimPen2やWacomのBambooInkPlusなどのサードパーティ製の定番のスタイラスペンを使用することも可能で、スタイラスペンの選択肢が多いところも魅力の一つです。

    今回比較したのはSurfaceSlimPen2Bamboo Ink PlusASUS Pen 2.0 SA203H3種類で、持ち心地、書き味の良さはASUS Pen 2.0 SA203Hに軍配があがりました。

    ZBrushでのデジタルスカルプトも快適に行うことができました。

    一方で、SurfaceSlimPen2にはマグネットが搭載されておりROG FLOW X13の下面傾斜部や画面のベゼル部分にマグネットで吸着できるため持ち運び時はSurfaceSlimPen2が便利だと感じました。

    ProArtやROG FLOW X13にはペンが収まりそうな切掛けや溝があるため、ASUS Penの次回のアップデートでは収納性の向上とマグネット給電に対応していただきたいところ。

    ◇WindowsInkとMPP方式の問題点

    タブレット性能について、ひとつだけ正直に問題点を挙げるとすると「ジッター」と「遅延」の問題があります。

    Surfacecを始めとするWindowsが提供するMPP方式の液晶タブレットにはほぼ全てに発生してしまう問題ですが、斜め線をゆっくり引くとガタガタと波打った線になってしてしまう「ジッター」と呼ばれる現象が起こります。

    これは、MPP方式のデジタイザーペンを認識するセンサーが格子状に配置されているために起こる現象です。

    このジッターを緩和するために後処理でストローク補正をかけているため、描画点のレスポンスがワンテンポ遅れて、描画が数ピクセル遅れてついてくる「遅延」が必ず発生してしまいます。つまり、ある程度スピードに乗らないと、きれいな曲線を描くことができないのです。

    また、このストローク補正を超える速度で速写した場合、ペンが飛ぶエラーが起こります。

    素早いストロークで描くと遅延が気になり、遅延の幅以上に素早く描画すると線が飛んでしまう、また、ゆっくり線をひこうとすると斜め線がガタガタになってしまう問題点があるため、MPP方式のペンタブレットには安定して描けるスピード帯がかなり限られるという制限があります。

    適切なストロークのスピード感に慣れてしまえばある程度は気にならなくなる問題ですが、WacomやXPPen、Huion、ApplePencilなどのクリエイター向けの液晶タブレットメーカーのプロダクトでは絶対に起こらない問題なので、許容できるかどうかは個人差があると思いますので注意が必要です。


    更に、MPP方式のペン設定では多くの3Dソフトで必要となる中ボタンクリックや、中ボタンドラッグをサイドボタンに割り当てできないという欠点も抱えています。ジッター、遅延、中ボタンドラッグ、線が飛ぶなどの問題は、Surface2以前のMicrosoftには見られない問題でしたSurface3以降でMicrosoftがNTrigを起用して誕生したのがMPP方式とWindowsInkで、これはクリエイターにとって多くの問題を抱えています。MPP方式の問題点を多く取り上げましたが、そもそも、現代ではSurfaceの影響が強すぎてMPP方式でないモバイル・タブレットを探す方が難しくなってしまったので、これは本当にASUSの問題ではありません。

    そして、ROG FLOW X13は、問題の多く残るMPP方式を採用している点を差し引いても素晴らしいプロダクトです。私が今一番推している理想的なモバイル・クリエイティブ環境であることに、変わりありません。

    ただし、気になる人にとってはほんの少しだけ描き味にくせがあるので、WacomやApplePencilのような感覚だと思って購入すると少し苦労することになるかもしれません。イラスト用途でメイン機として検討されている方は一度店頭で試用してから購入することをおすすめします。

    ◇スペックの評価

    ①TimeSpyベンチマークでの検証

    ROGシリーズでは、パフォーマンスと消費電力のバランスを選択することができることが最大の特徴です。

    TimeSpyベンチマークでは、ターボモードで8260、パフォーマンスモードでは7175、エコモードでも3559のグラフィックスコアを出しました。

    今回検証したのはROG Flow X13のRTX 4060搭載モデルですが、TGPが60Wとかなり省エネ設定にチューンされています。

    省エネ設計なのにひと世代前のRTX3060のTGP130W時と同じ性能を発揮しており、かなり燃費良く、レイトレーシングやAI、レンダリング、4K動画の編集などで困ることはないほどのスペックを発揮してくれます。

    ②外付けGPUをつけた状態でのTimeSpyベンチマークテスト

    ROG FLOWには外付けGPUを接続することができます。今回はROG XG Mobile GeForce RTX 4090を接続し、テストを行いました。

    ターボモードで20021、パフォーマンスモードで16891を記録し、デスクトップマシンも含めた全体スコアの中でも、ほぼ最上位の値を示しました。

    ③VRChatでの動作テスト

    今回は、要求スペックが高いことでおなじみのVRChatをプレイしてみました。当然ながら遅延も全く無く、デスクトップモード、PCVRと満足に動作することができました。
     
    iPadとほぼ同じ大きさのモバイルPCで負荷の大きいフルスペックのPCゲームが動くことには感動を覚えます。
     
    外付けのGPUBoxROG XG Mobile4090を接続すればπMaxなどの超高解像度のVRも動くのではないでしょうか。

    ◇さいごに

    最後までお付き合いいただきありがとうございました。
     
    理想のクリエイティブモバイル環境を目指してと銘打ちまして、著者なりに追い求めてきた理想のモバイル環境への探求について語らせていただきました。
     
    理想を追い求めて、多くのガジェットに散財し、やっとたどり着いた著者の考える理想に一番近い究極のモバイル環境「ROG FLOW X13」をぜひ一度、展示会や家電量販店で手にとって試していただきたいです。
     
    電気屋さんではペンが置いてないことが多いのですが、お店の人にペンを試したいといえばMPP方式のペンを貸してくれるので、ぜひペン性能も実感してみてください。
     
    ここまで理想的なガジェットになってしまっているので、ここからどう進化の余地があるか分からないですが、全固体電池によるバッテリー寿命の増加や、ペン感度や精度の向上などさらなるROG FLOWシリーズの発展を願いまして、締めとさせていただきたいと思います。

    TEXT_KATASHIRO+ますく