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マウスコンピューターから新発売の MB-P5300 シリーズは、NVIDIA Quadro K3000M を搭載するなど、3DCG や映像制作に最適化された高いパフォーマンスと可搬性を兼ね備えたノートPCだ。その実力をデジタル・アーティスト視点でレビューする。
ハイパフォーマンスとモバイルは
両立できるのか
今回レビューした MB-P5300 は、モバイルワークステーションと言っても過言ではない高性能を誇るということで、パワーと可搬性のバランスに重点を置いて検証してみた。
年々 PC の性能がアップし、入門機でもそれほど苦にならずに映像や 3DCG 表現のクオリティを出せるようになったが、制作を進めるうちによりハイスペックな制作環境が欲しくなってしまうものである。そうなるとどうしても拡張性に富んだモバイルワークステーションが選択候補となるのだが、筐体の大きなマシンを持ち運ぶというのはなかなか現実的ではない。打ち合わせ場所や撮影の現場ですばやく編集するようなことが多い筆者にとって、"モバイルワークステーション"という可能性は非常に魅力的である一方、果たして使いものになるのかという率直な疑問も頭をよぎる。実用性に重点をおいてレビューを進めることにしたのだが、今回実際に試用してみて、本機は業務レベルで十分使用できると実感した。特にグラフィックス性能はさすがに Quadro を搭載しているだけあって、筆者が業務で使っているマシンよりも高いパフォーマンスを発揮し、ノート PC でストレスなく操作できることに感動した。またモバイルでありながら SSD と HDD が標準で搭載されている点や、様々な外部ストレージに対応できる幅広いインターフェイス、外部入出力ポートなどワークステーションとしての機能がしっかりと備わっているため、デスクトップ環境でも普通に使用できるだろう。フリーランスや小規模な現場作業、移動の多いアクティブなゼネラリスト、外出先での利用が多いディレクターやプロデューサークラスの人には非常に有効なマシンだと思う。ただ少し残念に思う点は、どうしても本体サイズが大きく毎日持ち運ぶのにはちょっと根気のいるサイズだということか。インターフェイス、ストレージの配置やパワフルなグラフィックス性能ゆえの放熱問題などもあると思うのだが、無理を承知でさらなるコンパクト化に期待したい!
検証 1
流石と言える Quadro K3000M の性能
今回は筆者が日頃使用している MacBook Pro Retina(15 インチ、Core i7 2.3GHz、8GB RAM、GeForce GT 650M。以下 MBPR)と、モバイル代表マシンである MacBook Air(以下 MBA)との比較を試みた。比較には CINEBENCH を使用したが、さすがに Quadro を搭載しているだけあって OpenGL ベンチでは MBPR の約2倍、MBA の約3倍の数値を叩き出した。CINEBENCH の参考として表記されている Quadro FX 5800 の値よりも 1.5 倍ほど高い数値を出しているため、ノート PC と言えども侮れないマシンだと言える。また、CUDA-Z でのベンチマークも GPU Core Performance において MBPR とおよそ2倍の差がつき、Memory Copy の数値も MBPR よりはるかに高い数値を出す項目が見られた。CPU も MBPR と同じ Core i7 であることを考えれば上々のスピードと言え、後述する 3DCG に加え、After Effects 等による高負荷のコンポジット作業にも申し分ないはずだ。
検証 2
実制作での検証(CINEMA 4D)
それでは実際に CINEMA 4D(以下C4D)を使ってみた印象はどうだろうか。CINEBENCH の高スコアが示す通り、C4D での実作業では期待にしっかり応えてくれる結果となった。C4D でグラフィックス性能が必要となる機能はいくつかあるのだが、今回は誰もが C4D においてよく利用する MoGraph に焦点を当ててみることにした。ここでは六角柱を地形オブジェクトのジオメトリに沿って 20 万個配置してみたのだが、描画に時間がかかるもののソフトが落ちることなくビューポートに描画された。これはまさに Quadro の恩恵と言えるだろう。実際に MoGraph を交えた作品をサンプルとして制作してみると、MoGraph で数万個レベルのオブジェクトなら難なく操作ができ、さらにマージして1つのオブジェクトに変換してしまうことで MoGraph の呪縛から解き放たれたかのように快適な作業ができた。六角柱を 15,000 個複製して作成したオブジェクトをさらに複製しても、操作がもたつくことはなかった
(上段左)このように大量のオブジェクトを MoGraph に置いて複製しても、問題なくジオメトリを生成してくれる。(上段右)最終的にこのようなシーンデータになったのだが、アングルなどを変えてもほとんどもたつくことなく快適に作業ができた。(下段)レンダリングした完成形。これだけの大量オブジェクトシーンを難なくレンダリングすることができる
検証 3
モバイルとしての使い勝手は必要十分
モバイルワークステーション的な開発コンセプトのため、カスタマイズ性は当然ながら抑えられているが、外付けデバイス用の拡張性は高く、3スロットの USB+IEEE1394 ポートに加え、eSATAポート、SD カードスロットまで換装されている。メモリも 32GB まで拡張できるため、容量の大きいシーンデータでも作業可能だ。本体の 15 インチディスプレイは解像度も 1,920×1,080 まで表示できるため、3DCG の作業も快適。また標準搭載の DVI、HDMI ポートにより外部モニタでの作業も可能だ。一般的なノート PC よりも厚みがあるため携行性に難はあるが、性能や拡張性を考えるとモバイルワークステーションの新たな選択肢として十分アドバンテージがあると言えるだろう。
(左)外出先で使用するには比較的大きめのマシンだが、快適に作業することができる。(右)サイズを比較すると、広さも厚さも MBPR よりふた回りほど大きいのだが、旧 MBP17 インチよりは持ち運びやすい印象を受けた
TEXT_朝倉涼(Akari,inc / Seventhgraphics)
マウスコンピューター
MB-P5300 シリーズ
製品型番:MB-P5300X-WS
OS:Windows 7 Home Premium 64 ビット
CPU:Intel Core i7-3630QM プロセッサー
チップセット:HM77 Express チップセット
RAM:16GB メモリ(8GB×2)
ストレージ:128GB SSD/1TB HDD
光学ドライブ:DVD スーパーマルチドライブ
その他:IEEE 802.11b/g/n 対応 無線 LAN、Bluetooth V4.0 + LE 準拠モジュール
価格:189,000 円(標準構成)
問:(株)マウスコンピューター
TEL:03-6739-3808(平日:9~ 18 時、土日:10 ~ 20 時)
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