>   >  シーン構築時間は20分の1に短縮! 『魔法使いプリキュア!』後期エンディングにおけるUnityの活用法 〜「あにつく2016」レポート<1>〜
シーン構築時間は20分の1に短縮! 『魔法使いプリキュア!』後期エンディングにおけるUnityの活用法 〜「あにつく2016」レポート<1>〜

シーン構築時間は20分の1に短縮! 『魔法使いプリキュア!』後期エンディングにおけるUnityの活用法 〜「あにつく2016」レポート<1>〜

2016年9月25日(日)、秋葉原UDXにて「あにつく2016」が開催された。本稿では、東映アニメーション デジタル映像部による「プリキュアEDにおけるUnity導入事例」セッションの様子をふり返る。

TEXT & PHOTO_真狩祐志 / Yushi Makari
EDIT_沼倉有人 / Arihito Numakura(CGWORLD)

<1>アニメ制作へのリアルタイムCGの活用

「あにつく2016」は、アニメ制作者だけでなく、アニメファンまでを対象とした総合イベントであり、今年で第2回目の開催となる。本セッションに登壇したのは、エンディングディレクターの小林真理氏、Unityシェーダ開発を担当した松本八希氏、Unityテクニカルディレクターの中谷純也氏(3氏とも、東映アニメーション デジタル映像部)。『プリキュア』シリーズのエンディング制作をCGで始めたのは2008年の『フレッシュプリキュア!』からだが、今回は現在放送中の『魔法つかいプリキュア!』後期エンディングにて実践されたUnityならびにデジタルコンテンツ制作向けタスク管理ツールとして着実にシェアを伸ばしつつあるSHOTGUNによるリアルタイムCG制作の舞台裏が披露された。

『魔法つかいプリキュア!』後期エンディングにおけるUnityの活用法 〜「あにつく2016」レポート<1>〜

3分でわかる『魔法つかいプリキュア!』

小林氏はUnityを使用してみて「ゲームエンジンでありながらも、映像制作の面で3DCGソフトとしても使えてマルチレンジ」と思ったそう。エンディング中、前半のパートではMayaによるプリレンダリングリング、後半のシーンが宇宙空間に移ってからのパートをUnityによるリアルタイムCGをベースに制作された。

『魔法つかいプリキュア!』後期エンディングにおけるUnityの活用法 〜「あにつく2016」レポート<1>〜

UnityのUI、(左)パースビュー/(右)ゲームビュー

「光の回り込みとか、昔だったら時間かけてレンダリングして待たなきゃいけなかった表現が、実際にリアルタイムで処理をしながら右側のプレビューで、普通に綺麗な完成に近い画面で見れてしまうんですよね。イメージエフェクトという機能がありまして、いつもだったら撮影用のカラコレや奥行きのフォーカスをAfter Effectsで後処理したりするんですけども、それを直接Unity内で仕上げられてしまうことも強みのひとつだと思ってます」(小林氏)。

さらに小林氏はメリットとして「リアルタイムで確認できてしまうということは、一般的な3DCGソフトのようにレンダリングで画を出すために待つ時間が要らないので、時間的なコストや、レンダリングのためにサーバーをつなぐ環境に投資しなくてはいけないのを削減できます。コストを削減することで、制作スケジュールを圧縮できるでしょう」と、展望した。なおUnityにはレンダリングの概念がなく、「キャプチャー」と呼ばれる機能が代用になっている。

『魔法つかいプリキュア!』後期エンディングにおけるUnityの活用法 〜「あにつく2016」レポート<1>〜

Unityのキャプチャーと、Mayaによるレンダリングとの処理速度を比較したもの

実際にスケジュールの圧縮から別バージョンのエンディングを複数用意し、月替りで提供することが可能になった。1年間、視聴者を飽きさせることなく見てもらうための話題提供だけでなく、エンディング制作以外にもVRやARのコンテンツ開発といった側面もあるのだとか。

小林氏は一方で、制作に際し、R&D(Reserch and Development)の過程でUnity内のカラースペース(色の表現領域)をリニアにするのかガンマにするのか、映像制作用ではなくゲーム開発用なのでワークフローをどうしたらいいのか、キャラクターにアウトラインがないと視聴者が見慣れた画にならないのでどう表現するか、ポスト処理をUnity内でするのかコンポジット(After Effects)でするのか、といった問題を挙げることで、完成までのプロセスを設計したと述べた。

『魔法つかいプリキュア!』後期エンディングにおけるUnityの活用法 〜「あにつく2016」レポート<1>〜

自動化でスケジュールを一部圧縮

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<2>アニメCGに適したシェーダの開発

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